「アイツ、あの状態で呪文を……!」

反射された自身の攻撃を一身に受けながらも呪文を唱えるアスタロト。
しかしシリルも負けじと呪文を唱える。

>「聖堂に響きし天使の鐘、終焉の喇叭、黙示録の騎士達よ。
 明かされた啓示に運命を渡し、切なる望みを打ち砕け。ああこの世に二度と明けぬ破滅を!」

>「天球に溢れし星辰の輝き、宵の明星、北斗に輝く七星。
 星墜つるともまた昇る。再び輝く!無限の煌めきが未知なる力を呼び覚ます!」

>「――フォトンバーストストリーム!」
>「――カオスアポカリプス!」

シリルの魔法の方が少し先に発動し、アスタロトに襲い掛かると思われたところでアスタロトの魔法が発動。
二つの最上級魔法がぶつかりあう。結果――どちらが押されるでもなく、拮抗している。
二つの魔法の威力が全くの互角だったということだろう。
しかしアスタロトはただでさえ自分自身の攻撃魔法にも襲われながらシリルの魔法の相殺にかかりっきりということだ。

>「キャトラ――このチャンスを逃すな。君に全て託すよ!」

相手が相手、生半可な魔法では通用しないだろう。
かといって、専門の魔法使いではないオレには、シリルほどの強力な魔法は使えない。
やはりここは十八番の魔法剣か――そう思い、武器を弓から剣へ変える。
作り出したのは、光り輝く魔法の大剣。
でもあんなところに飛び込んだら最初にアスタロトが自分で放った魔法のとばっちりを食らってお陀仏だ。どうする!?
その思考を読んだかのように、聖女がオレに魔法をかける。

「――ミラージュリフレクション! これであらゆる魔法攻撃はあなたに届きません!
さぁ――任せましたよ!」

体全体が魔法反射の光をまとう。
オレは大剣を掲げ大きくジャンプすると、アスタロトの真上から流星のごとく落下し剣を突き立てにかかる。

「シューティングスター・ストライク!」

聖女の魔法のおかげでアスタロトの魔法はオレには届かず、光の剣はあやまたずアスタロトの体の中心を穿つ――