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【剣と魔法】ファンタジークエスト【TRPG】
0226シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/11/09(金) 20:46:11.46ID:Xdk4dy5q
坂道を登り切ると、目的地であるケーユチ村が一望できた。
何の変哲もない普通の村って感じだね……。
僕達はケーユチ村を目指してゆっくり下っていった。

村に着くと最近ゴブリンの棲家が出来て困っているとのこと。
正直僕達には関係のない話なんだけど……。

>「……どうしましょう?」

192さんが目配せしながらゴブリンをどうするか問うてくる。
やめてよそんな純粋な眼で見ないで。
僕は普通にスルーしても構わないんだからね。

「おっほん。僕達はしがない冒険者なのですが……。
 村長殿、ゴブリンの棲家が出来て悩みの種になっておられるとか。
 ここで会ったのも何かの縁。そのお困り事、僕達に任せては頂けませんか?」

「おお、それは助かる。宿屋の主人には言っておくので
 今晩の宿代は結構ですじゃ。是非ともよろしく頼みますぞ」

村長と話をつけると、なんと宿代が浮いた。やったね。徳は積むものだよ。
さぁ、今日中にケリを着けてタダで枕を高くして寝ようじゃないか。

「棲家はケーユチ村にほど近い洞窟にある。
 僕が援護するから二人でひたすら斬り倒してくれたまえ!
 なぁに、所詮は低級魔物。きっとゴリ押しでなんとかなるよ!」

お誂え向きに棲家から飛び出してきたゴブリンにショックを唱える。
杖から暗黒の雷が飛び出し、ゴブリンは丸焼きになった。

「なんか時短テクとかあったら存分にやっちゃって!僕も手伝うから!」
0227キヤトラ
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2018/11/09(金) 22:40:50.93ID:HlUInnRA
>「ゴブリンの……とすると、まだまだ出てくるということでしょうか……」
>「……どうしましょう?」

192さんが純粋な瞳でどうするか目配せしてくる。
ちなみにオレ達のようなこの手の勇者というのは魔王を何とかするために
先を急がないといけないはずなのに、何故かお使いイベントを引き受けてしまうのが鉄板である。
その理由をお教えしよう。
勇者といえど常に路銀が潤沢にあるとは限らず、こういう依頼を引き受けると
宿代と飯代がタダになった上に、運が良ければお礼に凄いアイテムが貰えるという特典があるのだ。
つまり答えは一つしかない。
しかしオレが深謀と打算に満ちたその答えを言う前に、シリルが反射的に純粋な善意でもって答える。
結果的には答えは一緒なので何の問題もない。

>「おっほん。僕達はしがない冒険者なのですが……。
村長殿、ゴブリンの棲家が出来て悩みの種になっておられるとか。
ここで会ったのも何かの縁。そのお困り事、僕達に任せては頂けませんか?」

>「おお、それは助かる。宿屋の主人には言っておくので
 今晩の宿代は結構ですじゃ。是非ともよろしく頼みますぞ」

よっしゃあ! タダ宿ゲット! と心の中でガッツポーズをしつつ

「そんな申し訳ない……でも折角なのでお言葉に甘えさせていただきます!」
と有難くタダで宿屋に泊まらせてもらうこととする。

>「棲家はケーユチ村にほど近い洞窟にある。
僕が援護するから二人でひたすら斬り倒してくれたまえ!
なぁに、所詮は低級魔物。きっとゴリ押しでなんとかなるよ!」

早速ゴブリンの住処に向かう。
飛び出してきたゴブリンはシリルの魔法によって丸焼きになった。

>「なんか時短テクとかあったら存分にやっちゃって!僕も手伝うから!」

「じゃあ焙りだして一網打尽なんてどう? スモークスクリーン!」

魔法で作り出した煙幕をゴブリンの住処内に流し込みまくると、
案の定何事かとゴブリンがわらわら飛び出してきた。
あとは混乱しているところを切り飛ばしまくればなんとかなるはずだ。
0229192
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2018/11/14(水) 22:58:11.85ID:WywyIsEn
どうしましょうか、などと聞くまでもないだろうとは思っていたが、ゴブリン退治を受け負う事になった。
報酬など取り決めたら早速現場に。

「おそらくリーダーのようなのが一匹くらいはいると思いますが、それさえ倒せば後はどうにでも」
とるに足らない微々たる短刀術だが、そのくらいの役には立つ。

というわけでゴブリンの住処の前。
最初の一匹はシリルの魔法の餌食に。
さらにキヤトラが魔法の煙で燻り出す。
こうなれば出口のすぐわきに陣取って一匹ずつ仕留めればいい。
0231シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/11/16(金) 23:15:48.88ID:l/jGW+GT
便利魔法による煙で洞窟を焙り出す。
準備は整った。後はゴブリンを一網打尽にするだけだ。
といっても、ぞろぞろと列を為して現れたゴブリンは二十はくだらない。
二人に任せて援護に徹すればいいと思っていたが、少々骨が折れそうだ。

僕も樹海や墓場での探索を経て多少なりとも成長した。
例えば少し昔の僕が水魔法を修得したなんて聞けば驚いて飛び上がってしまうだろう。
今なら魔力も多少なりとも向上しているはず。
"知ってはいたが使えなかった魔法"も幾つか使えるはずだ。

「卑しき者を灼く餞は撒かれた。凍える肝を食み全てを侵せ!」

唱えた魔法はかつて戦ったリッチも使った暗黒魔法。
杖を翳すと空中に魔法陣が浮かび上がる。
陣が錠前を開けるように回転して黒い黴を散布し始めた。

「アンフォーム・モルド!」

触れたものを分解する黴が風に乗ってゴブリンを侵す。
断末魔を上げる暇もなく無言で魔物達が分解され消失していく。
残るのは魔物の残骸らしきものだけだ。

「へっへっへ〜。二人の出番がないくらい効率的だよ!
 ゴブリンももう出てこなさそうだし、これで終わりかな……!?」

ビジュアル面がヒロイックじゃない事以外は最高に使える魔法だよ。
今の魔力的にはちょっとキツイけど燃費も悪くない方だと思う。

粗方ゴブリンを片付けたところ、のそのそと洞窟から出てくるひとつの影があった。
二メートル近くはあろうその影はゴブリンの矮躯とは思えぬほど大きい。
僕は別の魔物が現れたのかと思ってまずぎょっとした。
0232シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/11/16(金) 23:16:10.55ID:l/jGW+GT
「いいっ……!?キングゴブリン……!?」

192さんが言った通り統率役にあたるゴブリンがいたようだ。
僕はそいつが普通のゴブリンに毛が生えた程度の存在だと思っていたが違っていた。
ケーユチ村を襲ったゴブリンの頭目は、異常成長したゴブリンだったのだ。

強さの程は僕も知らないが、ゴブリンより弱いスライムの王(ロードスライム)も十分強かった。
と、すると、こいつの強さは侮れないものだ。野生の魔物なだけに特に注意した方がいい。

「今までのゴブリンは子供くらいのサイズだったけど、
 こいつは体躯が他のヤツとは違う。二人とも気をつけて!」

魔力を流し込み黴を操る。
ふわふわと滞留していた黒い黴がキングゴブリンへと向かった。
キングゴブリンはそれを素早く回避しながら、僕目掛けて突っ込んでくる。

「ばっ……バインド!」

慌てて拘束魔法を唱えてようやく動きを止めた。
足元から現れた黒い触手がキングゴブリンの四肢を拘束する。
いや、そうじゃない。ゴブリンの王は布でも裂く様に易々と拘束魔法を振り解いた。
ぶちぶちと触手を引き千切りながら眼光をぎらつかせて周囲を見渡す。

そして上体を大きく反らして息を大きく吸い込んだ。
すぅ……という大きな音と共に肺が風船のように膨らむ。

「ま、まさか……」

キングゴブリンは息を大きく吐いた。それは突風となって黒黴を吹き飛ばす。
するとアンフォーム・モルドの黴が真っ直ぐ僕達に向かってくるではないか。
しまった。この魔法、発動の仕方は覚えていたけど解呪の仕方は知らないんだった。

「ごごご、ごめんなさい!この魔法、どう解除していいかは知らないんだったー!!」

このままでは僕とキャトラは黒黴の格好の餌食だ!
0233シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/11/16(金) 23:17:02.04ID:l/jGW+GT
【キングゴブリン戦は長引かせる予定じゃないから僕のターンまでに倒してくれると嬉しいかな!】
0234キャトラ
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2018/11/17(土) 21:27:11.31ID:OP6lEHH9
>「おそらくリーダーのようなのが一匹くらいはいると思いますが、それさえ倒せば後はどうにでも」

「リーダーだって……!?」

192さんとゴブリン達を一匹ずつ倒していると、シリルから下がるようにとの合図が。

>「卑しき者を灼く餞は撒かれた。凍える肝を食み全てを侵せ!」
>「アンフォーム・モルド!」

シリルの魔法によって雑魚ゴブリン達が一気に分解されていく。
煙で炙り出し→闇黒魔法で分解とは我ながらビジュアル的に勇者らしからぬ所業である。

>「へっへっへ〜。二人の出番がないくらい効率的だよ!
 ゴブリンももう出てこなさそうだし、これで終わりかな……!?」

そうは問屋が卸さず、満を持してボスキャラが登場。
こういうのは何故か配下が全滅させられてから出て来るのがお約束。

>「いいっ……!?キングゴブリン……!?」
>「今までのゴブリンは子供くらいのサイズだったけど、
 こいつは体躯が他のヤツとは違う。二人とも気をつけて!」

「おうっ、見るからにヤバそうだな!」

>「ばっ……バインド!」

シリルが拘束魔法を唱えるも、それをやすやすと破り、吐息で黒い黴を吹き飛ばしてくる。

>「ごごご、ごめんなさい!この魔法、どう解除していいかは知らないんだったー!!」

「所詮黴ならば……コンカッション!」

目の前で見た目ド派手な爆発が炸裂する。
これは劇場型の怪盗系キャラがド派手に登場する時に演出としてよく使われるもので、
見た目が派手な割に攻撃用として使える程のものではない。
それでも黴を焼き払うには十分だったようだ。
ついでに、キングゴブリンがビビって一瞬固まるという思わぬ追加効果もあった。
図体がでかい割に案外気は小さいらしい。その隙を見逃すオレではない。

「エンチャント――エアリアル!」

両腕を一閃し、ダーツを奴の両目に突き立てる。

「192さん、とどめだ!」

【ずんばらりとやっちゃって!】
0235創る名無しに見る名無し
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2018/11/20(火) 00:18:07.87ID:MT/sXmCD
      / ̄ ̄ 人  ̄ ̄ ̄ ̄\/|
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Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b)
0236192
垢版 |
2018/11/20(火) 22:28:22.33ID:hFXPdYTh
ある程度数を減らしたところでシリルの魔法が一気にゴブリンを殲滅する。
だが、最後に出てきたのは……

「キング……ゴブリン……!?」

見通しが甘かった。ホブゴブリンかせいぜいゴブリンリーダー程度だと高をくくっていたら……
飛び散るであろうカビを警戒してマントの裾で口元を覆うが……

……

キャトラの魔法が黴を焼き払い、キングゴブリンの隙を作った上に目を潰す。
勝負は一瞬、だが、たかが一瞬……!

一気にキングゴブリンの懐に飛び込みつつマントの裾を翻す。
おそらく二人には敵の前を横切ったようにしか見えないだろう。だが、それで十分。

 左手のマンゴーシュがキングゴブリンの心臓に突き刺さる。
 ほんの僅かな手元の動きが体内で大きくうねり、抉る。
 刃を抜いた時、出血や血曇りは殆どなく、しかし致命的である。

この間約2秒、これぞ秘剣・鬼の爪。


【とどめ演出、やっちゃいました。シャンバラでは藤沢周平が聖典扱いされているのかも】
0237シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/22(木) 21:55:45.30ID:n9k6B3vw
192さんが放ったカタナがキングゴブリンに致命の一撃を与える。
巨躯のゴブリンはどっと倒れ伏してそのまま事切れた。

「すごい!流石シャンバラの神殿騎士だ!」

僕は思わずぱちぱちと拍手して192さんのもとへ駆け寄った。
冗談ではなくこの人が神託の勇者でいいんじゃないかな。
たまに思うけどなんで神殿騎士の人に神託しないんだろう。
はっきり言って僕やキャトラ如きにモノを頼まれる能力はないと思う。

勇者って柄でもないし……。だいいち僕は魔法使いだからね。
きっと勇者候補に碌なのがいないな……?
前回の勇者が訳の分からん帽子のおっさんなのも知ってるよ。

「ショック!」

僕はキングゴブリンをショックの電撃で焼き、最後の後始末をした。
瘴気に中てられてアンデッド化しないようにするための措置だ。
ケーユチ村に到着する前もやったので今回もせっせと始末する。

大半はアンフォーム・モルドが完全に分解したので処理の数も少ない。
まぁ、もしゴブリンゾンビになって復活しても聖水(余り)があるけど。

「処理も終わって……圧倒的勝利だ……!」

足を引っ張っておきながら寒い冗談を平然と口にして洞窟をあとにした。
0238シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/11/22(木) 21:56:13.52ID:n9k6B3vw
ゴブリン退治も終わり、ケーユチ村に戻った僕達は宿屋で歓待を受ける事になった。
魔物が活発化して被害が増え始めて以来、村はゴブリンに幾度も苦しめられてきたらしい。
作物を荒らされ、村人の数名も犠牲になったという。時には旅の商人も襲ったとか。

という訳で、宿屋はちょっとしたドンチャン騒ぎに包まれたのだった。
皆エールを片手に飲めや歌えやで僕も少し愉快な気分だ!

「……というわけで、僕は魔法を封じられてなお、
 樹海でちぎってはなげ、ちぎってはなげの活躍を……」

皆、冒険の話を聞きたいらしく僕は真実をありのまま伝えた。
世界とは困難と危険に満ちており――しかし、知恵と勇気で乗り越えられる事を。
女神の話は流石にしないけど、それらしい冒険ならもう二度もしてるじゃないか。

「亡くなったアデクも浮かばれるだろうよ。
 お前さんら、ありがとうな!おかげでこの村に平和が戻った!」

村人の一人が杯を掲げ、僕も楽しい時間をありがとうと杯を掲げた。
宴もたけなわの一方で心が急速に冷え込んでいくのを感じる。
彼らは知らないんだ。この平凡な世界に危機が迫っている事に。
闇の軍勢を率いる魔王が復活しつつある事を、皆は知らない。

魔王が復活すればこのオルビア王国にも闇の軍勢が攻めて来るだろう。
僕はこれまでの冒険で、故郷よりも広い世界を知った。
この国には今まで冒険してきた場所も、僕の故郷もある。
幻想殺しの樹海、ハジマーリの街、ルイージの墓場。そしてケーユチ村。

樹海やハジマーリの街、ケーユチ村が滅びるのはとても恐ろしいことに感じた。
つけ加えれば(占いを信じるならだが)この冒険には僕自身の命も懸かっている。
今までは"女神の神託を受けた"という事について深く考えてこなかった。
でも、これからの旅には強い決意や覚悟が必要な気がした。

「まぁ今はいいや。木苺のパイおいしいね!」
0239シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/22(木) 21:57:12.90ID:n9k6B3vw
夜も更けて飲み会が落ち着いた頃。
僕達は広間に残って旅のルートを確認する事にした。
東の聖都シャンバラまでの道程は長い。

「湾港都市ナントカから海路で行くのかぁ……。
 ナントカはオルビアの中でも貿易が盛んなんだって。
 僕、海って見たことないなぁ。見渡す限り水が広がってるんだよね?」

地図を睨みつけながらじっと経路を見つめる。
そしてふとオルビア王国の国土の最西端の森の辺りを眺めた。
地図上には何も描かれていないが、そこには僕の故郷がある。

魔法使いだけの秘密の里、カルデア。
故郷には一般的に穢れた魔法使い扱いされかねない人も多くいる。
彼らは魔法の発展ために時として禁呪や古代魔法を研究する事もあるのだ。

無用な争いを避けるため場所を口外するのは厳禁となっている。
もっとも話したところで里の魔法使い以外出入りできない。

「そういえばキャトラの故郷ってどこなの?僕は西の方なんだ。
 田舎過ぎてよく地図だと端折られててさぁ……ははは」

故郷の慣例でカルデアとは関係ない場所を適当に指差して笑った。
小さい嘘を吐くまでの事ではないが、僕はふと思ってしまったのだ。
この国のことを、世界のことをよく知らない。そして旅の仲間の事も。

これからどんな旅になるのか分からない。
長い旅路の仲間なんだ。皆の事を少しずつ知っていきたい。

「ところで192さん、シャンバラってどんなとこなの?
 聖都ってくらいだしきっと壮麗な街なんだろうなぁ……」

僕は呑気な口調で椅子にもたれかかった。


【幕間タイム。このまま明日ってことにして旅を再開してもおkだよ】
0240キャトラ
垢版 |
2018/11/22(木) 23:30:57.42ID:Y5RkobCf
>「すごい!流石シャンバラの神殿騎士だ!」

「マジでそれ!」
0241キャトラ
垢版 |
2018/11/22(木) 23:31:18.12ID:Y5RkobCf
>「すごい!流石シャンバラの神殿騎士だ!」

「マジでそれ!」
0242キャトラ
垢版 |
2018/11/22(木) 23:32:26.19ID:Y5RkobCf
(ちなみに数々の武勲を立てている英雄ではなくしがない一介の雑兵Aとか村の少年Aとかが
勇者に選ばれがちなのは、その方が作話上の都合でドラマチックだからだと思う。多分。)

>「処理も終わって……圧倒的勝利だ……!」

「おう、圧倒的勝利だな……!」

(シリルの台詞に仕込まれた高度な韻に気付かないキャトラであった)

そして村に戻って勝利を報告し、お約束の宴会に突入。
ここぞとばかりに料理を食べまくる。

>「湾港都市ナントカから海路で行くのかぁ……。
 ナントカはオルビアの中でも貿易が盛んなんだって。
 僕、海って見たことないなぁ。見渡す限り水が広がってるんだよね?」

「そうなんだ、それは楽しみだね!
そうそう、見渡す限りの水の果てに海と空の境目が見えるんだ!」

>「そういえばキャトラの故郷ってどこなの?僕は西の方なんだ。
 田舎過ぎてよく地図だと端折られててさぁ……ははは」

「この森のこの辺りに妖精猫の里があるんだけど子どもとか心の綺麗な人しか入れないんだ。
シリルなら大人になってもきっと入れるだろうからいつか遊びに来るといいよ」

(そう言ってキャトラが指さしたのは、奇しくもシリルの故郷の割と近くだった)

「そういえば10年ぐらい前だったっけ……小さい女の子が迷い込んできたことがあったなぁ。
今思えばその子が外の世界に出るきっかけをくれたっけ」

>「ところで192さん、シャンバラってどんなとこなの?
 聖都ってくらいだしきっと壮麗な街なんだろうなぁ……」

「確かに! 聖都って枕詞だけでかっこいい感じ!」

昔話はそこそこに切り上げ、シリルに便乗し、シャンバラについての話題に移る。

【思わせぶりなことを言ったけど実は昔出会っていたパターンでも全然関係ない別人パターンでも可!】
0244192
垢版 |
2018/11/28(水) 02:17:35.75ID:Cd8lN7iI
かくして、戦いは終わった。厳密にはとどめはカタナではないのだが、まあ些細なことだ。
後始末も済ませ、村に戻るとちょっとした祝勝会である。


……そして、今後の旅についての確認。

次なる目的地は港湾都市ナントカ。
あの街に行くのはもう何十年ぶりになるか……
「ナントカから海路でスカゲラク海峡を越え、アライアンスまで。
 そこからまた陸路で……幾つかルートはありますが、どれがいいかはその時にならないと……」
ひょっとしたら海峡を越えられないかもしれないが。

「シャンバラですか。壮麗、と言うのとは違いますね……
 広大な竹林に囲まれていて、竹が主要な建材ですから」
私も最初はイメージと違って驚いたものだ。
「でも、神殿内部は、その、空気が違うんですよ。
 こればかりは口では説明出来ませんね」
0245創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/11/30(金) 00:59:09.45ID:K6ydb5rY
糞だらけで
俺には説明できない
0246シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/30(金) 21:50:17.10ID:46GK14qR
>>237のレスですが、致命の一撃はカタナでなく正しくはマンゴーシュでした。申し訳ありません。】
0247シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/30(金) 21:51:11.60ID:46GK14qR
>「この森のこの辺りに妖精猫の里があるんだけど子どもとか心の綺麗な人しか入れないんだ。
>シリルなら大人になってもきっと入れるだろうからいつか遊びに来るといいよ」

妖精というのはおおよそ人の目に触れないことが多い。
キャトラの棲家のように基本的に立ち入れない場所に住んでいたりする。
そもそも人に見えない妖精もいるが、見えない妖精の事は僕にも分からない。
大魔道士ともなれば話は別だろうが所詮僕は一介の駆け出し魔法使いなのだ。

「う、うん……機会があればね」

自分が死ぬかもしれない事を思い出して僕は背筋が凍った。
ああ、この占いばかりは師匠の適当でありますように!

>「そういえば10年ぐらい前だったっけ……小さい女の子が迷い込んできたことがあったなぁ。
>今思えばその子が外の世界に出るきっかけをくれたっけ」

キャトラの話に何かひっかかるものを感じたが、よく思い出せない。
まぁ思い出せないってことは大したことじゃないってことだ。
僕は呑気に椅子にもたれかかって192さんの話を聞いた。

>「シャンバラですか。壮麗、と言うのとは違いますね……
> 広大な竹林に囲まれていて、竹が主要な建材ですから」

「たけ、たけ……竹かぁ」

流石東の果て……。実際の街の様相は現地人でなければ分からない。
オルビア王国とは違った文化の色濃いとも聞くが、今まで噂に聞いた話とは随分違う。
神殿があるとか東の聖都とか遺跡が眠る街と聞けばもう石造りみたいな絵を想像してしまっていた。
前にシャンバラくらい知っていると述懐したがそれは改めなければならないようだ。

>「でも、神殿内部は、その、空気が違うんですよ。
> こればかりは口では説明出来ませんね」

192さんがそう言って少し雑談を交わしたあと、僕達はそれぞれの部屋で就寝した。
旅はまだまだ長い。今は始めの一歩を切ったばかりなんだ。
休めるときに休んでおかないとね。
0248シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/30(金) 21:52:39.62ID:46GK14qR
湾港都市ナントカ――。
オルビア王国においてもっとも貿易が盛んな場所だ。
同時に最大の港町でもある。

貿易が盛んなだけあってこの都市には古今東西の品が集う。
武器、道具、調度品、食料と、ありとあらゆるものが行き交っている。
ナントカは活気があり、皆人当たりが良く、明るい人が多い。

ケーユチ村を出発した僕達は魔物と遭遇する事もなく無事ナントカへと辿り着いた。
道中は馬に乗った快適なものだったので特に苦もなかったかな!

「うわー!これが海かぁ!」

波止場の手すりからのりだして僕は思わず大きな声を出した。
これが潮風にあれが水平線!カモメ!帆船!

海にも驚いたけど海を渡るためのキャラック船にも驚いたよ。
横で休憩してた船乗りに笑われてすごい恥ずかしかったけど!
でも僕の反応は無理もない。故郷には小さいイカダしかなかったんだ。

「船の出航は明日みたいだ。今日はどうする?
 遊ぶしかないよね。でもお金がないんだよねー……」

聖都へ向かうにはアライアンスというところまでのようだ。
僕はその町について詳しく知らないので何も言えない。港町なのだろうか?
ところで、借り馬のアルキュオネだが、船に乗るのでなくなく返した。
馬は船輸送に弱くて輸送熱を発症したり体調を崩すから馬主が船に乗せるのは許さない。
だから陸路になったらまた馬を借りることになるという訳だ。

それにしても今日一日どうしよう。旅のお金に手ぇつける訳にもいかないしなぁ。
元を辿ればシャンバラの神殿のお金の訳なんだよね。
ここまでの旅費も含めていずれ返すお金だよ。
露店の食べ物とか色々気になるものがあるのに。

「なんか良いお金稼ぎの手段とかないかなぁ……」

こういう時定番なのは魔物退治だが正直面倒だ。
だいたい退治で怪我でもしたら観光どころじゃない。
手頃な金策の手段はないものか。


【魔法使いは観光のためにお金稼ぎがしたいようだ……】
0249シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/30(金) 22:16:26.31ID:46GK14qR
【×聖都へ向かうにはアライアンスというところまでのようだ。
 〇聖都へ向かうには船でアライアンスというところまで行くようだ。】
0250キャトラ
垢版 |
2018/12/01(土) 09:13:59.09ID:oXti/O5D
>「船の出航は明日みたいだ。今日はどうする?
 遊ぶしかないよね。でもお金がないんだよねー……」

「お、おう。それは困ったな……」

お金を使わずに適当に時間を潰すという選択肢もあるのではないかと思ったが
敢えてツッコまないことにした。

>「なんか良いお金稼ぎの手段とかないかなぁ……」

「そんないいものが都合よく転がってることなんて……」

街の掲示板を何気なく見ていたオレの目にとある仕事募集の広告が飛び込んできた。

【お散歩相手募集中!
 希望属性:ボクッ娘魔法少女・猫耳妖精・神殿騎士お姉さま
 報酬は応相談! 応募者は白いカモメ亭まで!】

おっさんとお散歩することで金銭を受け取るという主に美少女が行うビジネスがあるとは
噂に聞いた事があったが、その類だろうか。
それにしても――

「ははは、属性の指定がマニアック過ぎるっつーの!
こんなんぴったり当てはまる奴らいるのかよ……ん?」

数秒置いてあることに気付いた。

「ってもろオレ達じゃーん! お散歩するだけでいいなんて行くっきゃなくね!?」

(何者かの罠かもしれないという可能性には思い至らないキャトラであった!)
0251創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/12/02(日) 19:03:01.19ID:UDN1ZlDb
そこに飛び込む糞

どうする?キャトラ
0252シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/12/08(土) 20:40:08.69ID:9+GAAwRo
>「ってもろオレ達じゃーん! お散歩するだけでいいなんて行くっきゃなくね!?」

どうやらこのケットシーは疲れているようだ。
いくら懐が寂しいからっていかがわしい商売に手を出すほど愚かじゃない。
一緒にお散歩したいというより別の悪だくみを考えているに違いない。

「そうかな……けど僕は行かないからね。
 なんたって僕は魔法少女じゃなくて魔法使いなんだから!」

他にも何かないか街の掲示板を眺めているとある一文が飛び込んだ。
スカゲラク海峡で船が何隻も沈没している。海峡を抜ける船は注意されたし……。
ええ。スカゲラク海峡を抜けないとシャンバラへ行けないのに。
だがこればかりは僕達の力ではどうにもならない。船乗りと船に任せるしかない。

その問題はさておくとして、働かざる者遊ぶべからず。
というより192さんに借りた馬代を返すためにもここで稼ぐっきゃない。

と、なれば冒険者ギルドに頼るのが吉だ。
湾港都市ナントカにもギルドの施設があるはず――。
僕達は逸るキャトラを宥めて冒険者ギルドへ向かうことにした。

「冒険者の方ですね。何か御用ですか?」

酒場のような風体の店の扉を叩くと待っていたのがギルドの受付嬢だった。
手頃な依頼を探している事を伝えるとバインダーに羊皮紙を何枚か挟んで持って来てくれた。
コカトリスの退治、マレアムス洞窟の探索、名工サテュラの武器の収集などなど。
どれも一筋縄ではいかないものばかりだ……。

「……子猫の捜索みたいならくちんお使い仕事ないんですか?」

「ないですね。この辺りではこれが普通の依頼ですから」

僕はすごすご退散しようかと思い始めた。とてもじゃないが僕のレベルでは達成できない。
プロの冒険者とは日々あのような依頼をこなして報酬を得ているのだ――。

「あ……人を騙して身包みを剥ぐ悪質な盗賊団の調査という依頼もありますね。
 普段は白いカモメ亭にたむろしているようです。どうしますか?」

報酬は20万ゴールド(※1ゴールド=1円)のようだ。
それほど割りは悪くないが白いカモメ亭がどうとかお散歩ビジネスの時に聞いたような……。


【何者かの罠を回避。白いカモメ亭へ行きますか?】
【192さんは大丈夫かな?いつでも戻って来ておkだよ】
0254キャトラ
垢版 |
2018/12/12(水) 20:25:26.74ID:z4P3guZ5
>「そうかな……けど僕は行かないからね。
 なんたって僕は魔法少女じゃなくて魔法使いなんだから!」

「ふーん、そういうもんか」

(あまり物事を深く考えないキャトラであった!
ちなみに厳密には魔法少女とは現代を舞台にしたローファンタジーものにおける概念で
ごく普通の少女が何かのきっかけで魔法の力を授かった存在のことを指すらしいので
魔法が存在する世界を舞台にしたハイファンタジーものである本作におけるシリルは
魔法少女じゃなくて魔法使いという指摘はしごく真っ当なものである。
余談だがローファンタジーものにおいて、異世界からやってきた魔法使いの少女のことは魔女っ娘と呼ぶらしい。
さらに余談だが、魔法使いサ〇ーは魔法の国から現代日本にやってきた設定だから
その分類でいけば魔女っ娘ということになるのだが、魔法使いという枕詞が付いている。
つまり魔法使いは魔法を使う人全てを包括する広い概念と言えるだろう。
魔法少女講釈はこの辺でさておくとして……)

>「冒険者の方ですね。何か御用ですか?」

>「……子猫の捜索みたいならくちんお使い仕事ないんですか?」

>「ないですね。この辺りではこれが普通の依頼ですから」

>「あ……人を騙して身包みを剥ぐ悪質な盗賊団の調査という依頼もありますね。
 普段は白いカモメ亭にたむろしているようです。どうしますか?」

「強い奴らなら騙すなんて面倒くさいことをせずに問答無用で襲い掛かって身ぐるみ剥ぐだろう。
……わざわざ騙すということは腕っぷしにはそれ程自身がないということだな!
案外狙い目かもしれない!
白いカモメ亭に行ってみよう!」

(お散歩ビジネスと同じ場所ということは特に気にしないのであった!
というかすでに忘れているのかもしれない!)

そしてやってきました白いカモメ亭。
そこには見るからにチャラい集団がたむろしており、
見るからに駆け出し冒険者っぽい少女達が話しかけているところであった。

「お散歩するだけでお金くれるってマジ!?」
「マジマジ!」

(どうやら街中の色んな掲示板を使って他のパーティーにも罠をしかけていたようだ)

マスターのところに行ってこっそり聞いてみる。

「あれってここの店を通してる仕事なのか……?」

「いや、うちは何も知らないぞ」

(どう見ても悪質な盗賊団です。本当にありがとうございました)
0256シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/12/14(金) 22:25:02.28ID:FSJ2nme6
――白いカモメ亭。
様々なものが行き交うナントカに於いて、この酒場は癒しである。
広々とした酒場の一角には見るからに軽薄そうな集団が冒険者達と会話を弾ませていた。

>「お散歩するだけでお金くれるってマジ!?」
>「マジマジ!」

冒険者達はまだその道を歩み始めたばかりの少女達だ。
武闘家、僧侶、戦士、遊び人、そして魔法使い。
魔法使いは灰色のローブを纏い、少年とも少女ともつかぬ顔立ちをしていた。
星を散りばめたような銀の髪が一際目を引き、翡翠の瞳で相手を見つめる。

軽薄そうな集団の中でも率先して話を膨らませている男は思わず息を呑んだ。
その瞳に見つめられると足を踏み外して深淵へ堕ちていくような、不思議な魔力を秘めている気がした。
相手は魔法使い、のせられてはいけない。男は意識を切り替えて自身の仕事に戻った。

彼は冒険者を誘い出して強盗を働くことを企んでいた。
軽薄な集団は近年湾港都市ナントカを騒がせている盗賊団であり、
架空の商売を持ち掛けて金品を盗む悪事を働いていた。

>「あれってここの店を通してる仕事なのか……?」

>「いや、うちは何も知らないぞ」

酒場のカウンターにいる仲間の合図を嚆矢に魔法使いは動いた。
罠に絡めとられた冒険者達を毒牙にかけるべく盗賊団達は白いカモメ亭を出ようとした時。

「――"バインド"」

魔法使いが呪文を紡ぐ。
軽薄な集団は瞬く間に地面から伸びる靄のような触手に拘束された。
触手は盗賊団の面々を容赦なく蓑巻きにし、酒場に混乱の波が押し寄せる。

魔法使いの名はシリル・フラマリオン。
しがない暗黒魔法の使い手にして冒険者である。
冒険者ギルドから依頼を受け、彼らを捕らえるのが今回の仕事だった。

「僕の仲間が衛兵団を呼んでいる最中だ。無駄な抵抗は止めておきたまえ」

シリルは仲間の神殿騎士の顔を思い浮かべてそう言った。
言うや否や、どかどかと忙しない複数の足音が聞こえてきた――。
恐らくはナントカの衛兵達だろう。
0257シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/12/14(金) 22:25:25.73ID:FSJ2nme6
衛兵達に盗賊を引き渡し、ギルドから報酬を得ると、まずは借り馬代を仲間に返した。
たとえ旅の仲間といえど借りたものは返すのが常識。
報酬は借りた金を返してもお釣りがくる程度にはある。

「明日には船だね。折角だから今日は遊ぶとしようじゃないか!
 買い物にでも行ってパーッと欲しいものを買うとしよう」

そう言って旅の仲間であるキャトラに小遣いを渡すと、一同は湾港都市を練り歩いた。
大道芸を見たり、海鮮料理に舌鼓を打ったり、買い物を楽しんだり……。
最後にシリルは露店で懐かしいものを見つけた。
魔法使いには欠かせないアイテムのひとつ、魔導書である。

「懐かしいなぁ。昔は四属性の本を学校で読み漁ったっけ。
 当時は土魔法以外はてんでものにならなかったけど……よし、すみません……」

ちょうど風と土の魔導書が売ってあったので二冊を購入。
背負っている旅用の荷物入れに放り込むとそのまま歩き出す。
気が付けば日が沈みそうになっていた。
海の波間が夕日を照り返し、幻想的な光景を作り出している。
シリルは湾港都市にきて初めて海を見たので、それがとても珍しいものに映った。

明日になればいよいよ港町アライアンス行きの船に乗る。
そこからは陸路で聖都シャンバラを目指すことになるのだ。
オルビア王国の最東端に一体何が待ち受けているのか――。
魔法使いは嫌な予感とともに身を震わせた。


【盗賊達を見事逮捕。遊びに練り出す。一日が終わりそう】
【話の回転を良くするために文体を変えてみました。引き続きよろしくお願いします】
0259キャトラ
垢版 |
2018/12/15(土) 20:12:56.09ID:LLyKu8yu
192さんが、街の衛兵団を呼んでくるという。流石は神殿騎士、用意周到だ。
念のためにマスターに聞いて、彼らが件の盗賊団だと確信したオレは、シリルに合図を出す。

>「――"バインド"」

シリルの魔法が、盗賊団を文字通りに一網打尽にする。

>「僕の仲間が衛兵団を呼んでいる最中だ。無駄な抵抗は止めておきたまえ」

「ち、ちっくしょ――ッ!」

「逃げすかッ!」

運よく触手を逃れ逃げようとした一人に短剣で切りかかると見せかけ、壁ドンの要領で短剣の柄の方を壁に突き立てる。
(刃の方を突き立てると壁を傷つけちゃうからね)

「残念だったな、仲間と一緒に大人しくお縄になりな」

こうして無事に盗賊団を衛兵に引き渡し、多額の報酬を得た。

>「明日には船だね。折角だから今日は遊ぶとしようじゃないか!
 買い物にでも行ってパーッと欲しいものを買うとしよう」

街を練り歩いてみると、シリルがあるものに目を止めた。

>「懐かしいなぁ。昔は四属性の本を学校で読み漁ったっけ。
 当時は土魔法以外はてんでものにならなかったけど……よし、すみません……」

「へぇー、人間はこういうので魔法を覚えるんだな!」

妖精系種族は感覚で魔法を使うため、魔導書を使っての習得というのはあまりしない。

「見て見て、夕日が綺麗! ……シリル?」

一瞬シリルが浮かない顔をしているように見えた。

「あ、もしかして船苦手? ……そんなことない? それならいいけど」

その夜、不思議な夢を見た。
姿ははっきり見えないが、魔法使いのような人影が語り掛けて来る夢。

「どうか――どうか我が弟子を運命から守ってやってくれ」

「運命ってなんだよ。死なないようにとか?」

「それもある。そして、闇に堕ちることが無きように――」

「なんだよそれ、どういう意味だ!? というかお前誰……」

人影の正体を見定めようとするも、目が覚めてしまった。

「なーんか妙な夢見たな〜。ま、いっか!」

港に行ってみると、すでにアライアンス行きの船が出航を待っていた。
船賃を渡し、駆け乗る。

「ヒャッハー! 船旅だ!」

こうして船は港町アライアンスへと向かって出発した!
0261シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/12/21(金) 19:19:19.64ID:/zHe7/Hm
湾港都市ナントカを出航した船は、吹き付ける風を帆で受け止めて快晴を突き進む。
船乗りたちが忙しく動くのを眺めながら手元の魔導書のページを捲る。

興味本位で買ったものだが、今読み返してみると中々どうして面白い。
当時は土を少し操るのが精一杯だったが、今やればどうだろう。
もっとも、自分は暗黒魔法の使い手なので使う意味も薄いが……。

自分達に割り振られた船室に入ってみると、
清潔感はあるが調度品すらない物置のような部屋といった感じだ。
ベッドはなくハンモックが吊ってあり、机と椅子代わりに樽が置いてある。

「……清潔なだけまともなのかな」

船賃を払う時に船長があまりの豪奢ぶりに開いた口が塞がらないだろうよと言っていたが……。
皮肉なのは理解していたが、衛生的には悪い環境なので嘘を言ったつもりもないのだろう。
なんというか、これでも過酷な陸路を行くよりマシだ。

キャトラの部屋も同じような具合なのか冷やかしに行こうとすると
192さんに出くわしたので一緒にキャトラに会いに行った。

「やぁキャトラ!度々僕は思うんだけど、君は両手に花だね。
 その徳を理解したつもりで、まぁ、僕の暇つぶしに協力したまえ!」

シリルはそう言ってどっかと樽に座ると机に肘をついて柔和に微笑んだ。
海の風景を眺め続ける訳にもいかず、暇を持て余した魔法使いは暇つぶしに駄弁りに付き合えと言っているのだ。
一緒に旅に出る前の事でも聞こうとしていたが、口火を切ったのは192だった。
0262シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/12/21(金) 19:19:53.19ID:/zHe7/Hm
目的地シャンバラの神殿騎士である彼女が率先して軽薄な会話に混ざる印象はない。
事実、彼女が告げたのはスカゲラク海峡の事についてだった。
彼女はシリル達と出会うまで陸路であったが、湾港都市ナントカには何十年か前に訪れたことがあるようだった。

192曰く、スカゲラク海峡にはある伝承が残されている。
闇の軍勢と魔王がまだ健在であった頃、スカゲラク海峡にはある魔物が棲んでいた。
それは驚異的な大きさを誇る頭足類のような魔物であり、海峡を越えんとする船を何隻も食い荒らしたという。
魔物は嵐と共に現れ、嵐と共に去る。名をクラーケンという。

シリルが掲示板で見た海峡で船が何隻も沈んでいるという情報も加えて、192は気を揉んでいた。
果たして無事に海峡を越えられるかどうか……と。
近年魔物が活性化している事を考えれば、あながち無視できる話ではない。

「遺憾ながらここはクラーケンが来ないように神に祈るしかないよ。
 僕達にできることは少ない。海の魔物相手にどこまで戦えるかも分からないし、ね。
 あと数時間でスカゲラク海峡だ。吉と出るか凶と出るか。僕達の女神に任せておくとしよう」

船は快晴の中を順調に進んでいる。
しかし――海峡に近付くほどに航路は悪天候を増し、嵐の気配が漂い始める。
キャラック船"バロック号"が大波で傾き、船体が大きく揺れる。
吹き付ける強風を察して船長のドレークは帆を畳ませた。
雨の匂いを嗅ぎ取りながら深刻な顔で船員に呟く。

「クラーケンの野郎に出くわすことになるかもしれん……。
 まさか俺の代でこんなことになろうとはな……」

「船長、どうするんですか?」

「どうすることもできんさ……神にでも祈るんだな」

「……アイアイサー」
0264キャトラ
垢版 |
2018/12/26(水) 21:47:07.64ID:YE/TUl4d
>「やぁキャトラ!度々僕は思うんだけど、君は両手に花だね。
 その徳を理解したつもりで、まぁ、僕の暇つぶしに協力したまえ!」

「……う、うん! そういえばそうだね」

自分は性別の意識が薄い妖精族だし、シリルはローブをまとった中性的な雰囲気なので、
言われてみればそうなのか、という感じだ。
しかし決してシリルが美人ではないとかいうわけではなくむしろ逆。
美少年とも美少女ともとれる、性を超越したような整った顔立ちをしている。
暇つぶしとはなんとことはない、雑談であった。
その中で192さんがスカゲラク海峡のクラーケンの伝承を語る。

「スカゲラク海峡って……もろ今から通るとこじゃん!」

>「遺憾ながらここはクラーケンが来ないように神に祈るしかないよ。
 僕達にできることは少ない。海の魔物相手にどこまで戦えるかも分からないし、ね。
 あと数時間でスカゲラク海峡だ。吉と出るか凶と出るか。僕達の女神に任せておくとしよう」

快晴だった天気が一変、海峡に近づくほどに悪天候となり、大波で揺れる船。
様子を見に出て行ってみると、何やら船長と船員が深刻な顔で話している。

>「クラーケンの野郎に出くわすことになるかもしれん……。
 まさか俺の代でこんなことになろうとはな……」
>「船長、どうするんですか?」
>「どうすることもできんさ……神にでも祈るんだな」
>「……アイアイサー」

「おいおい、マジかよ……ってぎにゃあああああああああああ!?」

一際強い揺れが来たかと思うと、吸盤のついた巨大なイカの足のようなものが海面から現れ、船の甲板に叩きつけられた。
たちまちのうちに船上は混沌の戦場と化す。

「ぎゃー! お助けー!」

「お客様の中に勇者、剣士、魔法使い、その他戦える方はいませんかー!?」

「これでも一応神託の勇者らしいからさ……エンチャント”ファイア”!」

炎をまとった短剣で脚に切りかかると、相手は暫しひるんだように見えた。

「あなた方は!?」

「話は後! 残念だけどオレ達には倒せる気がしない……!
なんとか牽制している間に全速力で海峡を抜けてくれ!」
0265創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/12/27(木) 00:21:23.76ID:VS0qGbtv
>>264
エンチャント、ウンコ

お前に狂化剤がぶちこまれる
0266シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/12/28(金) 19:13:51.57ID:5aswIyUk
嵐の中を進むバロック号は遂にクラーケンと遭遇した。
その巨大な足を船上に叩きつけ、海底の底であぎとを広げ沈没を待っている。

>「話は後! 残念だけどオレ達には倒せる気がしない……!
>なんとか牽制している間に全速力で海峡を抜けてくれ!」

「この荒天の中、風も静まっていないのに船を走らせろだって!?
 冗談じゃない。転覆してクラーケンに食われる前にお陀仏になっちまう!」

船員がマストに捕まりながら悪態をつくと、船長は猛禽のように獰猛な表情で笑った。

「面白い、やってみようじゃねぇか。一か八か奇跡を信じて行動してみるとしよう。
 きっと我らが女神も微笑んでくれるだろうよ!」

「船長!」

船長のドレークの台詞と共に、船が再び揺れる。
二本目のクラーケンの足が船に絡みつき、船体を万力のように締め上げ始めた。

「こりゃまずい。クラーケンの野郎は船をぶち壊す気だぞ……。
 おい冒険者共。方法は問わねぇからあいつを何とか引き剥がせ。でなければ船が動かせん」

「方法が一つだけあるよ。僕の仲間次第だけどね」

船室からつかつかとシリルが歩み出てくると、きっと、船体に絡みつくクラーケンの足を見据える。
途中から話は聞かせて貰った、といった風情で参上すると、自身の魔法で何ができるか考えてみた。
ショック、リジェクト、ラセラトリスでは威力が足りない。アンフォームモルドもこの風雨の中で使うのは自殺行為。
水魔法のアクアプレッシャーは――質量攻撃のため、バロック号も傷つけかねない。ならば方法はひとつ。

「キャトラー!そのままエンチャントファイアを維持したまえ!合体攻撃で追い払うぞ!」
0267シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/12/28(金) 19:14:46.59ID:5aswIyUk
記憶のページを捲りながら師匠との修行を思い出す――。
暗黒魔法には、如何なる魔法をも吸収し糧とするアンチマジックが存在する。
自身の今の力量で使いこなせるかは五分五分といったところだ。少なくとも旅に出る前は発動しなかった。
だが今、これ以外にクラーケンを追い払う手段はない。

瞼を閉じ、魔力を練り上げる。
そしてイメージする。暗黒をも飲み込む混沌の力を。

「戒めの鎖錠を破りし混沌の扉よ、魔の力を簒奪し深淵へと誘え!カオスアブゾーブ!!」

詠唱を紡ぎ、杖を前に差し出す。
空間に浮かぶのは全てを飲み込む混沌の扉。風で揺らぐ銀の髪が静止した。
巨大な魔力のうねりが嵐とぶつかり、悪天候が翳りを見せ、弱まっていく。

「対象属性は炎!エンチャントファイアを吸収しろ!」

キャトラの短剣から炎が消え、空中の闇の扉へと飲み込まれていく。
暗黒魔法の上級に位置するカオスアブゾーブは、魔法を吸収し無力化するアンチマジック。
だが、カオスアブゾーブにはもう一つの使い方が存在する。

「これが闇を征する暗黒魔法の真髄だ!僕はこの魔法を一段階上の暗黒魔法へと再構築する!
 奔放なる妖精猫の勇者よ、燃ゆる魂が地獄の業火を呼び覚ます!勇猛果敢に寄せ来る敵を焼き払え!」

それこそが暗黒魔法への変換能力。
上空に展開していた闇の扉から光の柱が降り、キャトラの短剣がそれを受け止めた。
発光する短剣は炎で長剣を形成し、より強力なエンチャントファイアへと生まれ変わった。

「セントエルモの火だ……」

船員の一人が夥しく発光する剣を見て呟いた。

「僕の魔力全部をぶち込んだ!それなら行けるはずだ、一気に決めろ!」


【エンチャントファイアを魔法で更に強化。合体攻撃でクラーケンを追い払う算段】
0268キャトラ
垢版 |
2018/12/31(月) 13:20:10.35ID:UPSWSXIo
>「面白い、やってみようじゃねぇか。一か八か奇跡を信じて行動してみるとしよう。
 きっと我らが女神も微笑んでくれるだろうよ!」

キャトラの無理無茶無謀な作戦に難色を示す船員だったが、船長が乗ってきた。

「さっすが船長! それでこそ海の男!」

逃がすものかと、二本目の足を絡みつかせ船体を締め上げるクラーケン。

>「こりゃまずい。クラーケンの野郎は船をぶち壊す気だぞ……。
 おい冒険者共。方法は問わねぇからあいつを何とか引き剥がせ。でなければ船が動かせん」

「引きはがせって言われても!」

そこにナイスなタイミングでシリルが登場。

>「方法が一つだけあるよ。僕の仲間次第だけどね」
>「キャトラー!そのままエンチャントファイアを維持したまえ!合体攻撃で追い払うぞ!」

>「戒めの鎖錠を破りし混沌の扉よ、魔の力を簒奪し深淵へと誘え!カオスアブゾーブ!!」
>「対象属性は炎!エンチャントファイアを吸収しろ!」

「……?」

一瞬怪訝な顔をするキャトラ。
これは、通常は敵が使う魔法攻撃を吸収するために使われるものだ。
それを味方の補助魔法を吸収するのに使ってどうしようというのか。

>「これが闇を征する暗黒魔法の真髄だ!僕はこの魔法を一段階上の暗黒魔法へと再構築する!
 奔放なる妖精猫の勇者よ、燃ゆる魂が地獄の業火を呼び覚ます!勇猛果敢に寄せ来る敵を焼き払え!」

「そういうことか……!」

魔法を吸収した上でより強力な闇黒魔法へと変換する上級魔術――
短剣のはずの剣により強力な炎の魔力が宿り、一時的に両手剣と化す。

「す、すごい力だ……!」

>「僕の魔力全部をぶち込んだ!それなら行けるはずだ、一気に決めろ!」

裏を返せば、シリルにもう戦う力は残っていないということ。これで決めなければ後がない
だが、恐怖はなかった。何故なら――いける気しかしない!
剣を下段に構えて力を溜め、猫妖精特有の瞬発力をもって猛ダッシュ。

「必殺!――ダークフレイムスラッシュ!!」

なんかそれっぽい技名を叫びながら一気に切り上げると、船体に巻き付いていた肢が一刀両断に切り飛ばされた。
断末魔の悲鳴のようなものが聞こえ、切られた側の巨大な肢が甲板上に転がる。見事な切り口だ。
肢一本切られた程度で死にはしないだろうが、暫しの間戦意喪失させることには成功しただろう。
キャトラは船長や船員達に声を掛ける。

「さぁ、今のうちに! 無事に辿り着いた暁にはたこ焼きパーティーだ!」
0269創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/01(火) 15:41:50.76ID:PjuyDHEj
今年も糞尿一同よろしく
0270シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/01/03(木) 21:59:19.45ID:n1X8Vtwc
キャトラの剣がクラーケンの足を叩き切り、船を発進させる準備は整った。
今は悪天候も心なしか弱まっている。今が逃げる好機だ。

「帆を張れ!全速前進で逃げるぞ!」

「アイアイサー!!」

嵐を突っ切ってバロック号は遂に海峡を抜け出す事に成功した。
シリルはそれを見送るとふらふらと覚束ない足取りで船室へと戻っていく。

「……すまない、無理をしすぎた。
 魔力回復の為に三日くらい寝るだろうけど、心配はいらないよ」

それから誰とも顔を合わせず三日ほど部屋で眠りに就いた。
その間というもの、シリルは悪夢のようなものに魘された。
今まで感じた事のない悍ましい何かが手ぐすねを引いて待っているような――。
そんな気味の悪い感覚が肌に纏わりついて離れなかった。

「……はっ、夢か……」

シリルが目を覚ました時、船はもう港町に迫っていた。
アライアンスと呼ばれる寂れた港町だ。
出航時の快晴とは打って変わって曇天に包まれている。

「相変わらずシケた町だな。ここはいつもどんよりしてやがる。
 さっさとナントカに帰りたいところだが、海峡にはクラーケンがいやがるしな……」

「船長、ここからならロンバルディア王国が近いですよ。
 あっちでまた旅客船で一旗上げましょうや」

「……そうだな。クラーケンが斃されるまでナントカは封鎖されて
 船が出航できる状況じゃなくなっちまうだろうしな……その間商売あがったりも御免だ」

「うぅん、また船乗りの雑談か。君達も飽きないね。もう着くのかい?」

「あいよ、冒険者様。もうじき港町アライアンスだ――それまでどうか大人しくしてな!」
0272創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/04(金) 16:11:14.07ID:oBw5dg7Z
緊急アライメント!


ウンコ接近、ウンコ接近!


(ウンコ大明神が接近しつつある)


全員警戒!
0273キャトラ
垢版 |
2019/01/06(日) 22:27:32.31ID:bESVI86a
>「帆を張れ!全速前進で逃げるぞ!」
>「アイアイサー!!」

やれるだけのことはやった。
後は船員達に託して無事に海峡を抜けることをひたすら祈るだけだ。
そして――永遠に続くかと思われた海峡をついに抜けたのだった。

「やった……助かったんだ! ……シリル?」

>「……すまない、無理をしすぎた。
 魔力回復の為に三日くらい寝るだろうけど、心配はいらないよ」

やはりあの高位魔術は相当負担が大きいものだったようだ。
しかし三日くらいと言われて、まさか本当に昏々と眠り続けるとは思っていなかった。
丸一日経っても目を覚まさないため、様子を見に行ってみると、シリルは悪夢のようなものにうなされていた。

「シリル……おい、起きろ!」

あまりにもひどかったため、揺すり起そうとするが一向に起きない。

「これは……ただの夢じゃない……!? まさか、何者かが精神に干渉している……?」

気が気ではなくシリルが無事に目覚めることを祈り続けたキャトラ。
そして宣言通り三日経ったころ、シリルは目を覚ました。

>「相変わらずシケた町だな。ここはいつもどんよりしてやがる。
 さっさとナントカに帰りたいところだが、海峡にはクラーケンがいやがるしな……」
>「船長、ここからならロンバルディア王国が近いですよ。
 あっちでまた旅客船で一旗上げましょうや」
>「……そうだな。クラーケンが斃されるまでナントカは封鎖されて
 船が出航できる状況じゃなくなっちまうだろうしな……その間商売あがったりも御免だ」

船乗り達の雑談を何気なく聞いていると、何事もなかったかのようにシリルが現れた。
気が気ではなかったことを悟られぬよう軽い調子で茶化す。

「おはようシリル。いくら何でもちょっと寝すぎだろ〜!」

>「うぅん、また船乗りの雑談か。君達も飽きないね。もう着くのかい?」
>「あいよ、冒険者様。もうじき港町アライアンスだ――それまでどうか大人しくしてな!」

そして―― 一行は港街アライアンスに到着した。
ここから陸路でシャンバラを目指すこととなる。

「ありがとう、お世話になったよ」

と、船長や船員達に礼を告げ、別れようとしたときだった。

「おお、これを持っていきな」

船長が何かが入った袋を渡してきた。受け取ると、ずっしりとした重みがある。

「ほんの気持ちだが受け取ってくれ。お前らがいなきゃ俺達全員船ごとお陀仏だったからな」

「あ……ありがとう! 大事に使わせてもらうよ!」

こうして、クラーケン牽制の報酬をゲットし、降り立った港町には防具屋や武器屋など様々な店が並んでいる。
路銀がなくならない程度に装備を整えておくのもいいかもしれない。
0275シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/01/12(土) 22:39:39.13ID:CltuLFui
なんとクラーケンを追い払ったお礼にお金を貰った。
自分の命を守るためにやったことなので正直受け取る義理はない。
だが折角の厚意なのでありがたく頂戴することにしたのだった。
さらに折角なので装備を整える運びとなり、お買い物に乗り出すことになった。

暗雲が垂れ込め、日中にも関わらずどんよりと暗いアライアンス。
武器屋のひとつが目に映り入ってみる。どことなく湿っぽい雰囲気だ。
店主の顔も影が差し込んでいて浮かない色をしている。

「いらっしゃい。魔法使いかね。何をお求めかな」

「杖が欲しいな」

「あるよ。魔杖ロアクルスなんてどうだい」

店の奥から引っ張り出してきたのは十字をあしらった銀製の杖だった。
元来杖とは魔法使いの魔力を高め、魔法発動の補助を行ってくれるためのものだ。
ロアクルスは高名な魔道士が使っていたという杖で、南方の商人が譲ってくれたものらしい。
破邪の効果があり、怪しいものや瘴気から身を守ってくれるという。

「なんつうかな。武器商人の勘って奴よ。
 こいつがお前さんのトコに行きたがってる……。
 代金は譲らねぇけど、できることなら買い取ってくれないか」

「珍しい物言いだね……買うよ。今の僕には丁度良い」

三日三晩悪夢に魘されたシリルには丁度良い武器だ。
初心者時代から使い続けてきた樫の杖に別れを告げて新たな武器を得た。
0276シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/01/12(土) 22:40:26.13ID:CltuLFui
アライアンスからシャンバラまでは馬でひとっ飛びの距離だ。
広大な竹林に囲まれたシャンバラには現地の人々が慎ましく暮らしていた。
ところどころに遺構をみることができ、かつてこの土地を支配していたという超古代帝国の名残が見て取れる。
シャンバラに入るなり、シリル達は軽鎧に身を包んだ神殿騎士達に囲まれた。

「な……なにかな。僕は何もしてないよ。本当だよ」

神殿騎士は恭しく頭を垂れると192に声を掛ける。

「192、ご苦労だった。貴方様達がかの神託の勇者。突然のご無礼をお許しください。
 私は001……神殿の外では"鏡の騎士"ロートレックと呼ばれている者です。
 僭越ながら、勇者様達のお名前は?」

一番に名乗りを上げたのは端正な顔立ちをした青年だった。
しかし引き締まった顔立ちは相当の錬磨を積んだ戦士であることを思わせる。
恐らくは192にも劣らない強者なのだろう。

「シリル。シリル・フラマリオンだよ。よろしく。
 えっと、001とロートレック、どっちで呼べばいいのかな?」

「001は神殿の習わしで与えられた名。
 本名はロートレックですが、勇者様のご随意に」

「じゃあロートレック。積もる話もあるから、どこかで話をしよう」

「では神殿へ向かいましょう。聖女様も貴方様達に会いたがっています」

一同は小高い丘の上にある神殿へと向かう。
馬と神殿騎士を引き連れ歩くさまはちょっとした見物のように思えた。
クリスタルのみで建築された静謐な神殿は、鬱蒼と伸びる竹がどうにもミスマッチだ。
道に敷かれた玉砂利を踏みながらシャンバラで最も重要な施設である神殿へと足を踏み入れた。
0277シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/01/12(土) 22:40:53.28ID:CltuLFui
神殿の最奥――予言の間と呼ばれるその場所に、聖女はいた。
黄金を散りばめたような目映い金髪と神性を帯びた瞳に息を呑む。
シリルは途端に緊張した。彼女を前にすると丸裸になった気分だ。
それに、なんだか力がなくなっていく気がする。

「暗黒魔法の使い手に神殿はきついよ。神性に灼かれそうだ」

ぼそりとキャトラに呟いてシリルは黙った。
聖女はにこやかに微笑むと神託の勇者達を出迎えた。

「貴方達が神託の勇者ですね。私はソフィア。
 遠路の旅ご苦労でした。そこにお座りなさい」

小間使い達が椅子を用意してくれると、僕達はそこに座った。

「ありがとう。早速聞きたいことがあるんだ。なぜ僕達を探してたの?
 いや、僕達もシャンバラを目指してたし、192さんには世話になったけど……」

「でしょう。簡潔に言ってしまえば、貴方達の旅の手助けをすること。
 それが私達の神託だったのです……。貴方達が、これから挑む困難な戦いの為に」

シリルは驚いて頓狂な声を上げた。

「た、戦い!?何と戦うって言うんだい?」

「魔王を完全に封印するため――闇の軍勢と戦うのです。
 彼らは今、瘴気を振り撒きながらシャンバラを目指しています。
 より正確には、シャンバラの地下に眠る超古代帝国の遺跡に……」

聖女は女神の神託を一言一句違わず唱える。

「女神は言いました。"神託の勇者達が、超古代帝国の遺跡を攻略し、
 欲望のまま封印の柱を穢す邪悪なる召喚士を止めてくれるはずです"……」


【シャンバラ到着。聖女から新たな神託を聞く】
0278キャトラ
垢版 |
2019/01/15(火) 22:10:33.57ID:uvi30KPQ
思わぬ臨時報酬を得たオレ達は、買い物に乗り出した。

>「なんつうかな。武器商人の勘って奴よ。
 こいつがお前さんのトコに行きたがってる……。
 代金は譲らねぇけど、できることなら買い取ってくれないか」
>「珍しい物言いだね……買うよ。今の僕には丁度良い」

シリルは運よく珍しい杖をゲットしたようだ。
店主の自分の元から早く手放したがっているようにも聞こえる物言いが
少し気にならなくも無かったが、相応しい者に使ってほしいという純粋な厚意ということにしておこう。

「お連れさんは猫妖精のスカウトというところかな? 獲物は短剣あたりかい?」

「当たり! 魔力付与の効果が大きくなりやすいのがあるといいんだけど」

「それならこのミスリル銀製の短剣はどうかね? 素性不明だから安くしとくよ」

見た目は古びているので売れ残っていたのだろう。
試しにエンチャントをかけてみたところ、ミスリル銀製というのは嘘では無いようだ。

「よし、それもらい! あとダーツを一束いいかな?」

こうして武器を新調したオレ達は、シャンバラまで馬でひとっとび。
着いたと思ったら、何故か取り囲まれた。
0279キャトラ
垢版 |
2019/01/15(火) 22:11:51.50ID:uvi30KPQ
「うわ、何だ何だ!?」

>「192、ご苦労だった。貴方様達がかの神託の勇者。突然のご無礼をお許しください。
 私は001……神殿の外では"鏡の騎士"ロートレックと呼ばれている者です。
 僭越ながら、勇者様達のお名前は?」

>「シリル。シリル・フラマリオンだよ。よろしく。」

「妖精猫のキャトラだよ!」

>「えっと、001とロートレック、どっちで呼べばいいのかな?」
>「001は神殿の習わしで与えられた名。
 本名はロートレックですが、勇者様のご随意に」
>「じゃあロートレック。積もる話もあるから、どこかで話をしよう」
>「では神殿へ向かいましょう。聖女様も貴方様達に会いたがっています」

こうして神殿に案内されることになった。
神殿に足を踏み入れると、心なしかシリルの元気が無くなった気がする。

>「暗黒魔法の使い手に神殿はきついよ。神性に灼かれそうだ」

シリルは悪の魔法使いでは無いが、やはりそれでも闇黒魔法と神の力というのは相性が悪いらしい。
それではなぜ闇黒魔法の使い手が神託の勇者に選ばれたのか――謎は深まるばかりである。

>「魔王を完全に封印するため――闇の軍勢と戦うのです。
 彼らは今、瘴気を振り撒きながらシャンバラを目指しています。
 より正確には、シャンバラの地下に眠る超古代帝国の遺跡に……」
>「女神は言いました。"神託の勇者達が、超古代帝国の遺跡を攻略し、
 欲望のまま封印の柱を穢す邪悪なる召喚士を止めてくれるはずです"……」

「えーと、遺跡とやらに封印の一柱があって邪悪なる召喚士が闇の軍勢を引き連れてそれを壊しに来てるってこと……?
それなら遺跡攻略するよりも遺跡の入り口で待ち構えて迎え撃った方が確実じゃない?」

「実は……遥か古にかけられた封印が解けかけているようです。
おそらく闇の軍勢はそこに目を付けたのでしょう。
このまま放置しておけば解けるのは時間の問題――
どちらにせよ遺跡の最深部に赴き再度封印を施さなければなりません」

「再封印……そんな凄い術が使える人なんているのか?」

「お察しの通り並の神官では不可能――ですので私自ら同行させていただきます」

「なんだって……!?」

こうして聖女に案内され、古代帝国の遺跡の入口へと向かう。

【聖女ソフィアが仲間に加わった!
レギュラー参加でもスポット参戦でも気が向いた時のNPC操作でもいいので動かしてみたい人は是非!】
0280創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/18(金) 12:30:28.14ID:GB/KYV+8
【ウンコ大明神登場】

「いやいや、ソフィアってそれ、自作自演じゃん。。、



そう言ってキャラメルマキアートを
でかいウンコにする。


【キャトラに襲撃】
0282シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/01/21(月) 18:20:22.62ID:qmcbbyUS
>「えーと、遺跡とやらに封印の一柱があって邪悪なる召喚士が闇の軍勢を引き連れてそれを壊しに来てるってこと……?
>それなら遺跡攻略するよりも遺跡の入り口で待ち構えて迎え撃った方が確実じゃない?」

状況と神託を繋ぎ合わせればそういうことになる。
だが、女神が託すのはいつだって不確定な情報だけだ。それが真実だとは限らないのではないか。
そして――どうしたことか、シリルは歯噛みして苛立ちを隠そうともしていない。

(自信家の僕と言えど、実力差くらいは分かるよ……闇の軍勢には勝てっこないって!)

そう、土台倒せるわけがない。
闇の軍勢と真っ向から戦うということは即ち――。

"師匠は言った。そう遠くない将来、闇の軍勢と戦い、そして――……
――――勇敢な魔法使いとして華々しく散るだろうと(笑)"

この占いがまさしく的中することになるのだ。シリルは正直家に帰りたかった。
占いを回避するための旅がその実、自身を死地に追い込む旅になりつつあったのだ。

>「実は……遥か古にかけられた封印が解けかけているようです。
>おそらく闇の軍勢はそこに目を付けたのでしょう。
>このまま放置しておけば解けるのは時間の問題――
>どちらにせよ遺跡の最深部に赴き再度封印を施さなければなりません」

要約すると再度封印を施すには聖女の力が不可欠であるという。
つまり再封印に同行してくれるという運びになった。
聖女は話を続ける。

「防備はシャンバラの神殿騎士が担いますが、如何に彼らといえど闇の軍勢が相手では敗北は必定。
 ですが、闇の軍勢と戦わずしてシャンバラを守る手段こそが――」

「闇の軍勢は魔王の眷属だ。再封印を施すことで魔界に強制送還できるんだね」

聖女が静かに頷く。
伊達にシリルも暗黒魔法の使い手ではない。
魔王のこと、魔界のことは多少なりとも頭に入っているのだ。
なんとか死なずに済みそうだ、とシリルは心の中で安堵した。
0283シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/01/21(月) 18:21:18.99ID:qmcbbyUS
話が終わると早速地下に眠る超古代帝国の遺跡へと一行は向かう。
出発には神殿騎士の人たちが見送りに来てくれた。

「シャンバラの守りは我らにお任せください。聖女様もお気をつけて」

001こと"鏡の騎士"ロートレックが神殿騎士を代表して言う。
優男風ながら実力の高さを窺わせる歴戦の面持ちだ。

「よしなに。勇者に選ばれる者達はいずれも後に大成する冒険家達だと聞きます。
 遺跡の探索においてもその力を存分に発揮して下さることでしょう」

「大船に乗ったつもりで……と、言いたいところだけど、今回は小船に乗ったつもりでいてくれたまえ……。
 あの恐ろしいお伽話にもなっている闇の軍勢とニアミスするんだぞ。僕は身体が震えっぱなしだよ」

出立の雑談もそこそこに一同はシャンバラの中央に聳える封印の塔へと赴いた。
中へ入ると永遠とも思えるような巨大な螺旋階段が下へと伸びている。
一段、また一段と松明を片手に降りていくと、その終着には無窮の遺跡が広がっていた。
かつて一夜にして闇の軍勢に滅ぼされたという超古代帝国の名残。

「ここが今や名も無き超古代帝国の遺跡……!広すぎてどこを探せばいいのやらだね!」

遺跡は昔の建築の跡や瓦礫の山で入り乱れていた。最早迷路の様相を呈している。
松明で空間をぶんぶんと引っ掻き回すシリルをよそに、聖女は足元を見て戦慄した。

「……見てください。誰かが先に侵入した形跡があります。
 件の"邪悪なる召喚士"なのかもしれません」

シリルが無言で足元を照らすと、そこにはくっきりとブーツの足跡が残っているではないか。
足跡は点々と遺跡の奥へと続いている。


【遺跡に先客がいる模様……】
0284創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/22(火) 19:18:50.05ID:qIpJgdV6
千客万来

先客はウンコ大明神だった!
0285シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/01/24(木) 22:32:11.81ID:9chcDqAo
【何か思い付きで書いたサイドストーリーを投下するよ。本編にはあまり関係ないから気にしないでね】
0286シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/01/24(木) 22:33:11.43ID:9chcDqAo
<サイドストーリー:鏡の騎士の戦い その1>

神託の勇者達が遺跡の探索に乗り出して暫くの事。
闇の軍勢の襲来に備えてシャンバラの防備に当たっていた神殿騎士が異変を捉える。
予定より早く、むせかえるような濃い瘴気を振り撒きながら、闇の軍勢がシャンバラに近付きつつあった。

闇の軍勢と一口に言ってもその構成は実に雑多である。
そのため爵位を持つ魔族がそれぞれの系統の魔物を支配するのが通例となっていた。
だが、総支配にして唯一の君主たる魔王が封印されて以来、久しくその通例は廃れている。
端的に言ってしまえばシャンバラに現われた闇の軍勢は、魔物・魔族の混成軍団に違いない。

闇の軍勢は猛烈な勢いのまま大挙としてシャンバラに攻め入った。
数にして千は下らない魔物達の群れは聖都に住む人々を蹂躙し、啄もうとするが――。
旧き聖都と謳われた歴史ある都はもぬけの殻だった。

「鏡界剣――"鏡面世界"」

代わりに立ち尽くしていたのは一人の神殿騎士。見るからに優男といった出で立ちの男だ。
だが同時に歴戦の剣士を思わせる静かな炎のような、並々ならぬ闘気を発していた。
地面に突き立てていた剣を引き抜くと、磨き抜かれた刀身が闇の軍勢を映す。
――そう、鏡のように。

「私の名は001……人は私を"鏡の騎士"ロートレックと呼ぶ。
 闇の軍勢よ。聖都に手出しはさせない。貴様たちの相手はこの私だ……!」

偽りの世界に声だけが響き渡った。
鏡の性質を持ち、鏡の如く真実を映しだす。これこそ彼が編み出した剣技『鏡界剣』である。
鏡界剣奥義・鏡面世界は膨大な魔力にて現実世界を写し取り、全てが反転した鏡の世界を作り出す。
その空間範囲はちょうど聖都シャンバラと同程度。並大抵の魔力では実現不可能な芸当である。
術者たるロートレックを起点として広がり、射程圏の者を強制的に鏡面世界へと引きずり込める。

魔物達の群れは驚いた様子でどよめきを隠せずにいたが、魔物を率いる魔族は冷静だった。
悠々と街を闊歩し、その悍ましい容貌に見合わぬ小散策と洒落込んだ。
術者を探すためだ。しかし姿は見当たらない。微弱な人の魔力は感じる。
それでも魔族の優れた眼を以ってしても術者を見つけ出すことは出来なかった。

(鏡界剣――"光彩"。光の屈折を操り姿を隠すまやかしの技。
 探しても無駄だ。どれだけ目が良かろうと私を見つけることはできない)
0287シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/01/24(木) 22:34:32.73ID:9chcDqAo
いまいち統率のとれていない闇の軍勢は三三五五、各々で勝手に動き始めた。
魔物は食料たる人間がいないか草の根を掻き分けて探し、魔族たちは泰然と状況を静観していた。
その隙を鏡の騎士は逃さない。

「鏡界剣――"雲外鏡"」

声だけが鏡の世界に響き渡ると、幾つもの魔力でできた姿鏡が形成された。
この鏡は映した者の真実の姿を、あるいは邪悪な側面を暴き出す。
そして真の姿を暴かれた者は鏡に映った自身に襲われてしまうのだ。

相手が魔族、魔物であれば、どれほどの効果を発揮するか想像に難くない。
闇の軍勢は泡を食った様子で姿鏡の自分と戦い始めた。

(……こんなものか。後は勇者様達が再封印さえ施してくれれば全て終わる)

他の神殿騎士達も共に戦うことを進言してくれたが、ロートレックはそれを固辞した。
聖女がいない今なら、乱暴な表現をしてしまえば神殿騎士のリーダーである自分が好き勝手にできる。
彼は、格別に優しい男だった。聖都の住民にも、聖女にも、神殿騎士達にも、勇者達にも。
傷ついて欲しくなかった。特に、闇の軍勢などには指一本として触れさせたくなかった。
だから彼はもしもの時は一人で時間を稼ぐことにした。

(――気取られたな。魔力の探知に長けた魔族がいるか)

魔族の一人が魔物を引き連れてこちらへやって来る。
頭足類のような容貌にローブを纏い、片眼鏡を掛けた怪しい魔族だ。
身長は魔族にしては然程高くなく、せいぜい180センチ程度だろう。

引き連れている魔物はアンデッド系の魔物。首なしの騎士デュラハンだ。
闇の軍勢の尖兵として有名な魔物であり、本体を鎧の内に隠すため聖水も効き辛い厄介な敵だ。

「見つけたぞ、貴様が術者か。私は"夢幻の闇"メリオニュスだ。
 階級は子爵――と、言えばいいのかな。闇の軍勢は階級を爵位で表すのでね」

頭足類の怪物はモノクルを越しに魔力を探知し続けていた。
デュラハンに大まかな位置を指示すると、首のない騎達士が猛然と剣を振り下ろす。
0288シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/01/24(木) 22:35:15.70ID:9chcDqAo
術者という言い回し通り、鏡界剣は面と向かって斬り合う剣技ではない。
相手を惑わせ、自身を安全圏に置いてから確実に相手の戦力を削いでいく戦闘法。
ゆえに居所を知られてしまえばその力も半減してしまうのは紛れもない事実だ。
ただ、彼は鏡界剣の剣技そのものを披露した訳でもない。

「鏡界剣――"光芒"」

ロートレックが剣を振るうと同時、刀身がブレた。
プリズムを通った光のように剣の刃が増え、デュラハン達の剣を全て受け止める。
光の魔力で複数の刀身を形成して無数の斬撃を浴びせる――それが鏡界剣"光芒"。

「はっ!」

鍔迫り合う剣を弾き、裂帛の気合を込めて一閃。無数の斬撃がデュラハン達を裂いた。
闇と相反する光属性の刃に灼かれて首なしの騎士達は瞬く間に全滅した。
お見事。メリオニュスはその手際の良さにパチパチと手を叩く。

「魔法剣か……やるではないか。貴様ほどの使い手そうはおるまい」

メリオニュスの評価は人間に与えるには珍しいほどの高評価だ。
事実ロートレックは大陸で五本の指に入る剣士だと言われていた。

「だがその剣技、人をまやかし撹乱する技が主体と見た。
 "夢幻の闇"と呼ばれた私に果たして通用するかな……?」

瞬間、魔族の手から衝撃波が発せられた。
暗黒魔法の中級衝撃魔法"ラセラトリス"である。
一度、二度、三度。詠唱破棄で間断なく放たれる衝撃波が騎士を襲う。

「ふふふ、どこまで逃げられるか見物だな!」

優れた魔力感知能力を持つこの魔族に姿を隠しても無意味。
衝撃波は正確にロートレックを狙ってくる。
魔族の魔力で練られた魔法だ。当たれば致命傷は免れない。
0289シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/01/24(木) 22:36:02.09ID:9chcDqAo
魔力の無駄と判断してロートレックは"光彩"によるステルスを解除する。
鏡の騎士が姿を現すと魔族は口角を上げて衝撃波を更に放った。
横に跳躍して魔法を躱すと剣を正眼に構えて鏡界剣を発動。

「うぬ……!?」

メリオニュスの怪訝な声。鏡の騎士が複数人に分身したのだ。
鏡界剣"万華鏡"は自身を分身させ相手を撹乱する技。
手を変え品を変え、相手を惑わせるのがこの剣術の肝だ。

「ふん、ならば叩き潰すまでよ!」

鼻を鳴らして手を振りかざすと大規模な黒い衝撃波が一帯を覆う。
竹を建材とした建築物を叩き潰しながら分身したロートレック全てを薙ぎ払った。
自身を起点に500mを更地に変えて、メリオニュスは勝利を確信した。
剣に一刀両断されていたと気づいたのはその直後である。

「馬鹿な……なぜ……ッ」

地に伏せる魔族を一瞥してロートレックは胸元で十字を切った。
鏡界剣――"鏡花水月"。光が持つ透過する性質を自身に付与する第二の奥義。
悲しいかなメリオニュスの魔法はロートレックに命中していなかった。

「湖面に映る月を引っ掻き回しても、闇夜を照らす光は消せないものだ」

衝撃波を躱し続けた影響か。若干息を切らした様子で呟く。
鏡花水月は一度発動すればおおよその攻撃を躱せる回避技だが、魔力の消耗も激しい。
魔力を切らしてしまうと鏡面世界も維持できなくなる。持久戦を要求されるこの戦いで多用は禁物。
魔族の死を見届けると、やがて"光彩"で再び姿を隠した。


<その2に続く>
0290キャトラ
垢版 |
2019/01/24(木) 22:46:33.19ID:crCEDNFS
>「防備はシャンバラの神殿騎士が担いますが、如何に彼らといえど闇の軍勢が相手では敗北は必定。
 ですが、闇の軍勢と戦わずしてシャンバラを守る手段こそが――」
>「闇の軍勢は魔王の眷属だ。再封印を施すことで魔界に強制送還できるんだね」

「なるほど、そういうことか……!
あはは、考えてみれば闇の軍勢と真っ向対決なんて無謀すぎるよなあ!」

こうして超古代帝国の遺跡へと向かう運びとなったオレ達。

>「シャンバラの守りは我らにお任せください。聖女様もお気をつけて」
>「よしなに。勇者に選ばれる者達はいずれも後に大成する冒険家達だと聞きます。
 遺跡の探索においてもその力を存分に発揮して下さることでしょう」

>「大船に乗ったつもりで……と、言いたいところだけど、今回は小船に乗ったつもりでいてくれたまえ……。
 あの恐ろしいお伽話にもなっている闇の軍勢とニアミスするんだぞ。僕は身体が震えっぱなしだよ」

「闇の軍勢が到着する前に遺跡の最奥に到着して再封印しないといけないってことだよね!?
タイムアタックじゃん、早くいかなきゃ!」

というわけで、話を切り上げて遺跡へと急ぐ。

>「ここが今や名も無き超古代帝国の遺跡……!広すぎてどこを探せばいいのやらだね!」

>「……見てください。誰かが先に侵入した形跡があります。
 件の"邪悪なる召喚士"なのかもしれません」

「どういうことだ!? まさか……遺跡の再封印を阻止するために邪悪なる召喚士が先行して来てるとか!?
ヤバイじゃん、邪悪なる召喚士って名前からして超強そうだし!」

考えていても仕方がないので、足跡を辿っていく。
辿って行った先には、巨大なクリスタルのようなものの前に一人の人物が佇んでいた。
いかにも召喚士風のローブをまとったその人物は、大仰な動作で両腕を広げ口上をあげる。
0291キャトラ
垢版 |
2019/01/24(木) 22:47:56.27ID:crCEDNFS
「ほー、意外に続いているもんだな。余程運が良かったのだろう……。
だがそれも今日で最後。お前たちの冒険はここで終わりだ!」

「ぎゃははははは!」

オレは笑いを堪えることが出来なかった。
何故なら――そいつが奇妙な帽子を被っているからだ。

「何を笑っている!? 言っておくがこの帽子のモチーフはチョコソフトだ!
貴様……一体何を想像したのだ!?」

「いえ、何も」

「まあ良い。我が名は闇の軍勢四天王の一柱――”邪悪なる召喚士”キャラメ=ル=マキアート!」

「うっせーわ! 四天王っつったってどうせ昨今の幹部枠拡大の要求に圧されて5人以上いるんだろ!」

しかも名前、そこは普通ソフト・クリィムとかじゃねーのか!まあいいけど。

「何故我が名を教えたか分かるか……お前達はここで死ぬからだ!」

こうして、邪悪なる召喚士キャラメ=ル=マキアートとの戦闘が始まった。
奇妙な形の帽子を被っているからといって侮ってはいけない。
きっとそれもこちらを脱力させるための作戦なのだろう。

「召喚――渦巻スライム!」

キャラメの被っている帽子と同じような形の奇妙な形のスライムが大量に召喚され、襲い掛かってきた!
0292キャトラ
垢版 |
2019/01/24(木) 22:55:45.63ID:crCEDNFS
【おお、投下してみたいらいつの間にか凄いのが投下されてる!
リロードしてなかったけど丁度きりのいいところで良かった!
本編でコメディ路線(?)に走っちゃってギャップが凄くて申し訳ないけど
きっと帽子とかスライムが奇妙な形なのはこっちを油断させるための作戦で奴は普通に強いのです(震え声)】
0293シリル携帯
垢版 |
2019/01/24(木) 23:14:54.96ID:CV1UayRX
僕も至らぬ所が多いのであまり言いたくありませんが
う◯こネタは控えてください
荒らしにしか見えません
0294キャトラ
垢版 |
2019/01/24(木) 23:23:25.95ID:crCEDNFS
【すんません! 奇妙な帽子ネタは無しで! スライムは普通のスライムで脳内変換お願いします!】
0295創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/25(金) 00:17:22.64ID:q9vMU32V
ウンコ大明神ばくげきき

大量のうんこをばらまく


どうなるお前ら!
0296創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/25(金) 01:28:52.68ID:78sr72OK
>>293
普段トリ付けてるのにそういう時にトリ無しだとお前さんこそ荒らしの成り済ましに見えるぞ
0297シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/01/25(金) 19:10:54.20ID:1FbQfzgU
>>296
すみません、以後気をつけます。
乱暴な書き方をしてしまい重ねてお詫びします。
ようするに荒らしのレスを本編に組み込まないでくださいという事です。
自由度を下げるのはよくないけど、無法地帯でもないので。

空気を悪くしてしまってごめん、嫌な話はこれまで!
三章もいよいよ大詰めだし気合入れて行きましょう!!
0298シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/01/27(日) 18:10:49.31ID:gnpUnfCw
点々と続く足跡を追った先には巨大な水晶の柱が一本伸びていた。
聳え立つ柱の前に人影。男のようだ。彼こそが神託にあった召喚士なのだろうか。
自ら邪悪なる召喚士と名乗ったその男は高らかな口上と共に攻撃を仕掛けてきた。

召喚士が呼び出したのは最弱の魔物スライムだ。生きたゲル状物質が突貫してくる。
シリルはそれを適当に蹴っ飛ばすとサッカーボールのようにドリブルした。
スライムの王、ロードスライムに比べれば恐れるに足りない。

「こんなものっ――――!」

がっしぼかっ!占いに怯えていた自分が馬鹿のようだ。
この程度の召喚士ハジマーリの街を探せばザラにいそうだ。
魔杖ロアクルスでスライムをゴルフスイングすると面白いように飛んでいく。
それを繰り返してスライム掃除を終えたところでシリルが言った。

「召喚士が召喚するのは召喚獣のはず。
 ただものではなさそうだけど召喚するのがスライムじゃなぁ……」

魔杖の柄で地面を突っつきながらシリルは暇してた。
こんなしょうもない相手に時間を割く必要もあるまい。
彼は自分を闇の軍勢四天王だと思い込んでいる一般人なのだ。たぶん。

「せいっ」

魔杖を振りかぶって召喚士の頭を殴打すると彼はその場に倒れた。
所詮後衛職の体力だ。魔物を呼べても本体は大したことがない。
頭部に大きな瘤ができたかもしれないが、致し方なし。

「さぁ、聖女様。再封印を施して全て終わらせましょう」

「は、はい……分かりました」

何の手応えもないがこれでいいのだろうか――これでいいのだ。
大山鳴動して鼠一匹といった着地点だが、平和的に終われるならそれに越した事もない。
現実は世の創作物のように劇的なんかじゃない。
クライマックスは案外呆気ないものなのだ。
0299シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/01/27(日) 18:11:45.09ID:gnpUnfCw
四天王ではなかったが、自称邪悪なる召喚士もまた闇の軍勢の一人に違いなかった。
だが、彼の出自はシリルがなんとなく思った通り掃いて捨てるほどいる初心者召喚士の一人に過ぎない。
彼は力を求めた結果禁術に飲み込まれ、闇の軍勢に憑りつかれてしまった憐れな被害者だった。
闇の軍勢として神託の勇者を倒せば助けてくれると言われ、彼は悪魔に魂を売ったのだ。
だが――レベルの差は歴然で、彼は勇者達に敗北してしまった。

「見事だ。人間では相手にならないようだな……ならば私が相手をしよう」

瞬間、背後のクリスタルの塔が倒壊し、脆く崩れ去っていくのが見えた。
召喚された魔族が放った魔力の塊が水晶の柱を打ち壊したのだ。
諧謔とシリアスの高低差に戸惑いながらシリルは呆気に取られていた。

「自己紹介がまだだったな。私はアスタロト。序列は"公爵"。
 闇の軍勢の一人にして魔王様にお仕えする側近の一人……といったところだ。
 よくやった凡百なる召喚士よ。それでこそ人間を甘言で騙し軍勢に引き入れた甲斐があるというもの」

現れたのは黒竜に跨る魔人。5メートルはあろう巨大な魔族だ。
右手に毒蛇を持ち、天使のような翼を生やした禍々しい威容。

「あ……あの野郎……!なんてことを……!」

「ふ……これが運命だったのだ。諦めるがよい。
 貴様らが神託の勇者か……見るからに脆弱で鬱陶しそうな連中だ」

シリルは額に汗を滲ませ、それを拭う。
力量差が違い過ぎる戦いは何度も経験したが、こればかりはもう……。
奴が地上に上がれば一瞬にしてシャンバラは灰に帰るだろう。
いや――いずれにせよ闇の軍勢が迫ってきている。

「キャトラ……今まで黙ってきたけど、僕は"こうなる運命"だったんだ。
 闇の軍勢と戦い、華々しく死ぬ運命……この戦いにキャトラは巻き込めない。
 逃げて良いよ。無理なんてしなくていいんだ。今なら一か八か逃げ切れるかもしれない」

僕が時間を稼ぐから。
そう言うと、シリルは杖を両手でぎゅっと握りしめて対抗の意志を見せた。
アスタロトはくつくつと嘲笑する。

「……愚かな。よもや勇敢である必要もないというのに。
 跪き命乞いをするなら少しは考えてやるぞ?」


【キャトラ選択:逃げるか?逃げないか?】
0301キャトラPL
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2019/01/28(月) 22:58:25.05ID:Bp8Rcy2G
老害の昔語りごめん!
このスレ最初に見た時に雰囲気がすごく懐かしい感じがしたんだよね
短文でも気軽に参加出来てエルさんみたいなコテとスポットNPC操作の中間みたいな人がいたりするところが
というのも最近は超気合入れないと参加できないガチのリレー小説みたいなスレばっかりになってしまったので
こういうの久しぶりでいいなーって、つい初動のスポット参戦のNPC程度のノリでレスしてしまったのがはじまり
だから名無しネタとか(荒らしじゃないやつ)やスポット参戦もたくさんある賑やかなスレになればいいなーって思ってたんだけど
隙あらばスポット参戦を呼び掛けてみたりもするんだけど誰も来ないしやっぱり今の少ない人口ではそういうノリは無理なのかな〜って思ったりして
昔はスレによっては荒らしレスすら逆手に取ってネタにしてしまえ!って方針のところもあって
今回ついそのノリが出てしまって不快な思いをさせてごめんなさい!

というわけでトリを付けてないのも公式区分としては一応NPC、
という意図なので気が向いたらそちらのレスの中で動かしてもらっても構いません!
シリルさん以外の方も動かしてみたい奇特な方がいたら単発で動かしてみてもらったりしても大丈夫です!
といっても少なくとも対面進行の間は来なくなることはないので安心してね
0302キャトラ
垢版 |
2019/01/28(月) 22:59:59.36ID:Bp8Rcy2G
>「せいっ」

現れた召喚士は、シリルに杖で殴られてあっさりと倒れた。

>「さぁ、聖女様。再封印を施して全て終わらせましょう」
>「は、はい……分かりました」

「やりぃ! 思ったより楽勝だったな!」

と、さっさと再封印をしようと帰る算段を始めたのだが――

>「見事だ。人間では相手にならないようだな……ならば私が相手をしよう」

いきなり背後のクリスタルの塔が崩壊して、何者かがド派手に登場。

「マジ!? 再封印しようとしてたのってあれだよね!?
壊れちゃったけど!? 再封印どころじゃないじゃん!」

>「自己紹介がまだだったな。私はアスタロト。序列は"公爵"。
 闇の軍勢の一人にして魔王様にお仕えする側近の一人……といったところだ。
 よくやった凡百なる召喚士よ。それでこそ人間を甘言で騙し軍勢に引き入れた甲斐があるというもの」

「派手に壊してくれちゃって! どうしてくれるのさ!」

>「あ……あの野郎……!なんてことを……!」

>「ふ……これが運命だったのだ。諦めるがよい。
 貴様らが神託の勇者か……見るからに脆弱で鬱陶しそうな連中だ」

「てめーがやっといて運命だったのだは無いだろ! シリル、こいつやっちまおうぜ!」

だがシリルは、いつにない悲壮な決意を固めたような顔をしていた。

>「キャトラ……今まで黙ってきたけど、僕は"こうなる運命"だったんだ。
 闇の軍勢と戦い、華々しく死ぬ運命……この戦いにキャトラは巻き込めない。
 逃げて良いよ。無理なんてしなくていいんだ。今なら一か八か逃げ切れるかもしれない」

「はぁ!? 意味分かんないんだけど!」

ノリだけで生きているオレとは違い、魔法使いであるシリルには相手との力量差がはっきりと分かるということだろう。

>「……愚かな。よもや勇敢である必要もないというのに。
 跪き命乞いをするなら少しは考えてやるぞ?」

「そうだよな、マジでバカだよな。運命ってのは――ぶち壊すためにあるんだぜ!」

その時だった。
砕け散ったクリスタルの欠片の上に、美しい女性の人影が浮かびあがる。
遥か昔、魔王を封印した時代の聖女だろうか。
0303キャトラ
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2019/01/28(月) 23:00:48.52ID:Bp8Rcy2G
「あなたは……初代聖女様……!?」

聖女ソフィアが驚いたような声をあげる。

『勇敢なる貴方達に我が力の一片を授けます――お願いです、どうかこの世界を……』

クリスタルの欠片の一片が目の前に浮かび上がり、体の中に吸い込まれるように入っていく。
シリルにも同じことが起こっているのだろうか。

「私も出来る限りお手伝いしましょう!――セラフィックローサイト!」

聖女ソフィアが聖句を唱えると、アスタロトは白い光に包まれた。
魔族を弱体化させる魔法か何かだろう。

「――ホーリィ・ウェポン!」

新しく授かった力は、まるでずっと前から自分のものだったように使いこなせた。
呪文を唱えると、手の中に白銀に輝く聖なる弓矢が現れた。

「まずは地上に引きずり降ろしてやる!」

アスタロトが跨る黒竜の翼を狙い、光の矢を連射する。

【キャトラは聖属性の魔法を習得したけどシリルは闇黒魔法使いなので相性が悪いようなら他の属性でも!】
0306シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/02/03(日) 13:55:53.59ID:4AbThEus
シリルの言葉に激昂するキャトラだが、シリルは悲愴な表情のまま動かなかった。
突然死ぬ運命がどうだのと言われても理解が追い付かないのは仕方ない。
だがシリルの胸中はせめて華々しく散る運命ならば、魔族をどうにか食い止めようという魂胆。
この戦いに旅の仲間を巻き込むわけにはいかない。

>「そうだよな、マジでバカだよな。運命ってのは――ぶち壊すためにあるんだぜ!」

偶然か、あるいは彼の声に呼応したのか。
砕け散ったクリスタルの欠片から女性の人影が浮かび上がる。
聖女ソフィアはその形のよい眼を丸くして驚いた。
彼女こそは、今は亡き魔王を封印した時代の初代聖女なのだから。

>『勇敢なる貴方達に我が力の一片を授けます――お願いです、どうかこの世界を……』

シリルの前にクリスタルの欠片が浮かび上がる。
溶けるように胸の内に吸い込まれていくと、
シリルは胸の内で暖かな光がじんわりと拡がるのを感じた。

「暗黒魔法の使い手、シリル。光を恐れないでください。
 貴女に溶けたのは初代聖女様の力。神託の魔法使いたる貴女なら使いこなせるはずです」

聖女ソフィアがシリルに語り掛ける。
初代聖女の光は闇を浄化してシリルを光魔法の使い手に変容させた!
故に暗黒魔法の使い手シリルでも問題なく使いこなせるはず。

光と闇は対となるもの。光魔法の使い手たる今は暗黒魔法は使えない。
だがしかし、それを補って余りあるほどの強力な魔法の数々が頭に流れ込んでくる!

「神託の勇者の言葉通り、運命は変えるためにあるもの――。
 占いや神託は邪悪な未来から皆を救うためにあるのです。決して従うものではありません」

「聖女様……」

聖なる力を手に入れた一同は、魔族アスタロト目掛けて次々と強力な魔法を行使した。
聖女ソフィアが魔族の力を弱体化させ、キャトラが光の矢で黒竜の翼を射抜かんとする。
息の合ったコンビネーションの前に魔族もまた屈するかと思われたが――。
0307シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/02/03(日) 13:57:11.91ID:4AbThEus
光の矢を黒い闘気の盾が阻んだ。
魔族の莫大な魔力で練られた魔力の障壁がキャトラの作戦を叩き潰す。

「自惚れるな、神託の勇者。そして聖女よ。
 貴様らは憎きあの女の力を借りて私との差を埋めただけ。勝負はまだ始まってすらいない」

アスタロトの魔力が膨張していくのをシリルは感じた。
使うのはきっと暗黒魔法だ。元来暗黒魔法とは魔界の事象を喚起する魔族の呪文。
魔族にとっては普遍的なものであり、また共通の武器でもある。
人間が発動するものとはきっと桁が違う。

「"力を奪う呪われし鎖よ"、"光をも呑む暗黒よ"、"爆ぜる鎧が我が身を食らう"、"命綱を断たれし遭難者"……!」

「な、なんだ!?魔法の詠唱を混ぜて読むだなんて……!!?」

シリルは愕然とした。アストロトが唱えたのは他者の力を抑制する妨害系暗黒魔法の呪文ばかり。
それも異なる魔法の呪文を混ぜこぜに詠唱するとは。シリルに嫌な予感が走った。
アスタロトが行ったのは混合詠唱による魔法の同時発動――!?

魔法攻撃の威力を下げる暗黒魔法カースドチェインが。
光魔法の力を抑制し効果を半減させるライトインターフェランスが。
防御魔法の展開を不可能とするアンチマジック、ダークディスチャージが。
相手の挙動を遅くするスロウモーションが。

それぞれの魔法が同時に展開し、漆黒の波動が問答無用で神託の勇者と聖女を弱体化させた。
相手が聖の魔法というバフで拮抗してくるならばデバフを実行して力の差を再び広げてやればいい。
これがアスタロトの考えであり常套手段。キャトラ達は翼をもがれたに等しい。

「そうはさせるか!悪魔のように細心に、天使のように大胆にだーっ!!」

頭に流れ込んでくる情報通りシリルは光の魔法を紡いだ。
唱えたのは妨害系魔法を解除する解呪魔法、キュアリフレッシュ。
アスタロトが紡いだ妨害魔法が全て解除され、キャトラ達は元の状態に戻った。

「勝負はこれからだアスタロト!僕達は君を倒し、シャンバラを守る!」

「愚かな事を言う……!良いだろう、ならば望み通り直接攻撃を以って潰してやる……!
 "罪人を焼く業火よ"、"滲みだす混濁の波濤よ"、"地よ平伏せ魔轟の雷霆"、"腐海に沈みし汚泥が濯ぐ"」

魔界に潜む驚天動地の現象――。
黒い地獄の業火が、淀んだ黒い津波が、穢れた閃光を放つ雷撃が、汚染された泥の海が。
キャトラ達の視界を覆いつくさんばかりの暗黒魔法による上級呪文の群れが襲い掛かった。


【アスタロト、上級呪文を連発して攻撃】
0308シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/02/03(日) 14:06:45.24ID:4AbThEus
>>301
僕の方こそごめんなさい、荒らされっぱなしなので過敏になっていました。
キャトラの言う通り、気軽に参加できる敷居の低いスレがコンセプトです。
というより実力的にそういうスレしか建てられないというのもあるけれど……。
だからもしこのスレを読んでる方がいれば気軽に参加してみて下さいね(宣伝)
0309シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/02/03(日) 14:12:03.98ID:4AbThEus
<サイドストーリー:鏡の騎士の戦い その2>


鏡界剣奥義『鏡面世界』によって構築した偽りの世界に闇の軍勢を拘留して数時間。
シャンバラの神殿騎士ロートレックの仕掛けた時間稼ぎは順調そのものだった。
魔族側も原因が術者の固有結界によるものだと気がついており、手を打っていた。

「メリオニュスがやられた?
 ……しまったな、魔力探知に長けたのは奴だけだと言うのに」

魔族を率いるフォルファクス伯爵は頭を掻いた。
単独で魔族を屠るなど敵の人間も一筋縄では行かない相手――と、僅かに気を引き締める。
今、他の魔族に言って手当たり次第に周辺を焼き払わせているが、中々結界が解ける気配はない。

(……なんて連中だ。"雲外鏡"を自力で脱するだけでなく、街を焼き払い私を炙り出す作戦とは……)

ロートレックの頬に一筋の冷や汗が伝う。
これが現実のシャンバラであったらどうだったろう、と思うと背筋が凍った。
三々五々としている魔物はともかくとして、魔族だけはどうにかしなくては。
このままでは"光彩"で隠れ続けていてもいずれ彼らの大規模魔法に焼き払われてしまう。

(……まずは頭から狙う……!)

ロートレックが狙うのは頭に雄々しい二本角を持ち、顎を撫でる大男。
魔族の中でもひと際巨体で、中心核らしかった。
他の魔族連中と離れた隙を突いて背後から首を狙う。

「しッッ!!」

放たれた剣の一閃は魔族メリオニュス子爵をも一刀両断した必殺の一撃。
毎日の弛まぬ鍛錬のみが生み出し得る純然たる剣戟だ。

(受け止めた……!?)

"光彩"に紛れたまま放った剣の一撃をフォルファクスは動物的勘を以って腕で防いだ。
魔族特有の硬質な肉体を硬直させ、鋼の楯とする技術により、剣は肉で止まりそれ以上刃が食い込まない。
フォルファクスは思わず笑みを零した。
0310シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/02/03(日) 14:13:49.42ID:4AbThEus
「おおっと……フッフ、やるじゃないか。だが剣筋が若いぞ。
 まさか術者自ら私を殺りにきたと。中々勇ましい行動じゃないか、え?」

泰然とした態度を崩さないフォルファクス。
底が知れない相手だ……。一層油断はできない。
だが"光彩"により通常は姿を捕捉できないはずだ。
本来漲っているはずの殺気もロートレックは日々の鍛錬で完全に消している。
水のように静かに、落ち着いた心で――彼は敵を殺せる。

「さて……もう少し手の内を見せてくれ。楽しませてくれよ、この私を」

言われなくても見せてやろう。
ロートレックは曇りない刀身に日光を反射させ、フォルファクスの目を潰しに行った。
光は鏡の魔法の力で増大し、確実に相手を目を潰す。これが鏡界剣"光輝"。

「ぐ……!?」

堪らないとばかりに目を押さえたフォルファクスの隙を突いて、神殿騎士は心臓を狙った。
"通す"ような突きの一閃を放ち、それは見事魔族の左胸を貫いた――!
瞬間、剣は粉々に叩き砕かれ、ロートレックは咄嗟に距離を取った。

「魔族の心臓を狙うなど愚の骨頂だよ。急所が人間と同じ位置にあると思わぬ方が良い。
 さて……これで一つ、君の武器を奪ったわけだが、後は何ができるね?」

刀身を喪ってなおロートレックの意思は潰えていなかった。
何故ならば鏡界剣にはプリズムのように刀身を増やす"光芒"がある。
彼の剣術はまだ終わりではない。

「望み通り見せてやろう、鏡界剣の力を!」

増えた刀身で一気に攻勢に出る。
フォルファクスは両腕を硬化させガードするも、
ハイブロックで空いた脇や肩を狙われなで斬りに晒される。
姿の見えない敵に翻弄され、抵抗できぬまま倒れ伏す。それがロートレックの剣術だ。

「――なるほど。"光"ではなく"鏡"か。この世界を見れば一目瞭然。
 何故ならば人間の世界の言葉で描かれた看板や絵が反転してとても不自然だからね。
 と、なれば種は全て割れた。まやかしの剣術風情でこのフォルファクスを倒そうなどと片腹痛いわ」
0311シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/02/03(日) 14:15:50.38ID:4AbThEus
「口だけは達者のようだが、貴様に手は打たせん!鏡界剣奥義・明鏡止水!」

鏡界剣最後の奥義、明鏡止水――邪念を消し澄み切った心を鏡のようにし、相手を写し取る技。
すなわち相手の技を全て見切ることで後の先を必ず取れる剣。
いわば究極のカウンターだ。これで何が来ようと恐れるものはない。

ロートレックは再び首を狙い、大きく剣を振りかぶった。
しかし、その時彼は見た。鏡の世界が闇で覆われて行く様を。

「残念だが対象は君ではない。この鏡の世界そのものだ!!」

漆黒の闇は徐々に"鏡面世界"を覆い、鏡の世界を黒で塗りつぶしていく。
文字通り、固有結界を新たな固有結界で塗り替えているのだ。
光なき侵食結界、"暗黒世界"に。

「鏡界剣といったか……その剣技には致命的な弱点があるね。
 そう……鏡は見る者すべてを反射し、真実を暴く。だが……決して光源ではないという事だ。
 何が言いたいか分かるね?君の剣は光の無いところでは全くの無力だということだよ……!」

そう。ロートレック自身は光魔法を使えない。
彼を聖なるシャンバラの神殿騎士たらしめているのは、光あってこそ。
光源を元手に鏡のように魔力で増幅させ、光の魔法を行使していたのである。
故に光が一切ないこの闇の固有結界の前にロートレックの剣術は全て封殺されたに等しい。

「そして。魔界に生きる我々にとって闇は本領。昼間のようによく見えるよ。
 子猫のように怯える君の姿がね!!やれ。魔物達よ!」

獰猛な狗のように駆け寄る魔物達を折れた剣で追い払おうとするが、無駄だった。
視覚を奪われたロートレックに抵抗の術はなかった。
襲い掛かる魔物達に鎧ごと食い荒らされ、鮮血をばら撒いた。

(聖女様、申し訳ありません――!)

鏡の暗殺剣・鏡界剣の使い手ロートレック。
大陸で五本の指に入ると謳われた彼もその最期は呆気ないものであった。
硝子細工のように砕け散る鏡面世界を見て神殿騎士達は戦慄した。
闇の軍勢が、シャンバラにやって来る。


<おわり>
0312創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/02/04(月) 08:03:37.05ID:E5QhBeNS
終了した物語をウンコが埋める

もはやウンコの繁殖は止まることを知らない


終了
0313キャトラ
垢版 |
2019/02/06(水) 21:59:43.46ID:gLUPfAOs
>「自惚れるな、神託の勇者。そして聖女よ。
 貴様らは憎きあの女の力を借りて私との差を埋めただけ。勝負はまだ始まってすらいない」
>「"力を奪う呪われし鎖よ"、"光をも呑む暗黒よ"、"爆ぜる鎧が我が身を食らう"、"命綱を断たれし遭難者"……!」
>「な、なんだ!?魔法の詠唱を混ぜて読むだなんて……!!?」

なんとアスタロトは妨害魔法の多重詠唱をいう離れ業を繰り出してきた。
流石は魔族、人間とは格が違うということだろう。
光の矢が目に見えてショボくなり、挙動が遅くなるのが自分でも分かる。

「これ、ヤバイんじゃね!?」

>「そうはさせるか!悪魔のように細心に、天使のように大胆にだーっ!!」

シリルの魔法によって状態異常が解除される。
属性違いとはいえ元々魔法使いだけあって、キャトラとは桁違いに強力な光魔法を使えるようだ。

>「勝負はこれからだアスタロト!僕達は君を倒し、シャンバラを守る!」
>「愚かな事を言う……!良いだろう、ならば望み通り直接攻撃を以って潰してやる……!
 "罪人を焼く業火よ"、"滲みだす混濁の波濤よ"、"地よ平伏せ魔轟の雷霆"、"腐海に沈みし汚泥が濯ぐ"」

状態異常が解除されることを悟ったアスタロトは、今度は分かりやすく大規模攻撃魔法の多重詠唱をはじめた。
あれ程の攻撃魔法を防ぎきれるほどの防御魔法は誰も使えまい。
今度こそ終わりかと思われたその時だった。
突如としてロートレックの幻影が現れ、聖女の前に跪く。

『力及ばず申し訳ありません、聖女様――私の鏡の魔力を貴女に託します。
どうか勇者達をお守りください』

「どういうことだ!?」

戸惑っているオレ達と対照的に、聖女は全てを悟ったようだった。
ロートレックの幻影から聖女に凄まじい魔力が流れ込んでいく。

「ああ、それこそが境界剣の本当の最期の奥義なのですね……。
ロートレック、あなたの犠牲は決して無駄にはしません。
必ず勇者を守り抜き勝利しましょう!」

「馬鹿め! いくら鏡の力を得たとて光の無いところでは全くの無力なのだぞ!」

アスタロトが嘲け笑うのを尻目に、聖女は朗々と呪文を唱えた。

「ミラージュ・リフレクション!」

怒涛の攻撃魔法の波がオレ達に届く寸前、味方全体全方位を覆う巨大な魔力の防壁が展開される。
なんと、それにぶつかった攻撃魔法が全て反射して詠唱者たるアスタロトに向かっていくではないか!

「なっ!?」

「侮りましたね。聖女たる私が光の力を持たぬとでも思ったのですか?」

元々光の魔力を持つ聖女が鏡の魔力を得た、それすなわち最強ということらしい。

「今です! 一気に畳み掛けましょう!」

アスタロトは自らが放った怒涛の攻撃魔法にまみれている。千載一遇のチャンスだ!
0314シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/02/10(日) 22:26:33.75ID:fkpHyGUW
アスタロトの放った四重攻撃魔法が視界を覆わんばかりの怒涛なって迫ってくる。
もう終わりかとシリルも諦めかけたその時、聖女が魔法を紡いだ。

>「ミラージュ・リフレクション!」

攻撃魔法全てが鏡の光のように反射して、その全てが術者に向かっていく。
すなわち、四重の魔法を唱えたアスタロト目掛けてだ。
アスタロトは咄嗟に障壁を張るも、紙屑のように障壁は砕かれ魔法の海に飲まれた。

「ぐっ……おお……!これしきの事で……!」

地獄の業火に、混濁の波濤に、穢れた雷撃に、汚染された泥の海に。
全ての攻撃を食らってなお、魔法は留まる事を知らずアスタロトを飲み込もうとする。
この機を逃せば倒すチャンスは永久に訪れない。ここで畳み掛けるしかない。

「……アスタロト、僕は今まで軽い気持ちで冒険を続け、ここまでやって来た。
 だけどそれじゃだめなんだってことを君との戦いで思い知った……。
 僕は、僕の大切な人や故郷を守りたい。君達なんかに壊させやしない」

魔杖ロアクルスをぎゅっと握りしめて、シリルは言葉を続ける。

「――僕は戦う!闇の軍勢なんかにこの世界は絶対に負けたりしない!」

「……黙れ女神の使い走り、一人では何も出来ぬゴミクズが……!
 その口、二度と聞けんように貴様の決意を粉々に打ち砕いてくれよう!」

二人が詠唱を始めたのは同時。流石は高位の魔族というべきか、
恐るべき耐久性を誇るアスタロトは自身の攻撃を食らってなお呪文を詠唱する余裕があった。

「聖堂に響きし天使の鐘、終焉の喇叭、黙示録の騎士達よ。
 明かされた啓示に運命を渡し、切なる望みを打ち砕け。ああこの世に二度と明けぬ破滅を!」

「天球に溢れし星辰の輝き、宵の明星、北斗に輝く七星。
 星墜つるともまた昇る。再び輝く!無限の煌めきが未知なる力を呼び覚ます!」

そして――詠唱が若干短い分だけ、シリルの最上級魔法が先に発動した。
アスタロトは顔を苦悶に歪ませて最上級暗黒魔法を紡ぎきる。

「――フォトンバーストストリーム!」

「――カオスアポカリプス!」

中空で激突する光と闇の奔流が遺跡を揺るがす。
シリルの攻撃は防がれてしまったが、まだ聖女とキャトラの攻撃が残っている。
今、アスタロトは自身の魔法に襲われ、シリルの攻撃を打ち消すのに躍起になっている。

「キャトラ――このチャンスを逃すな。君に全て託すよ!」


【シリルの放った魔法攻撃を相殺するアスタロト】
0315キャトラ
垢版 |
2019/02/12(火) 23:36:18.53ID:9TMw6wQb
「アイツ、あの状態で呪文を……!」

反射された自身の攻撃を一身に受けながらも呪文を唱えるアスタロト。
しかしシリルも負けじと呪文を唱える。

>「聖堂に響きし天使の鐘、終焉の喇叭、黙示録の騎士達よ。
 明かされた啓示に運命を渡し、切なる望みを打ち砕け。ああこの世に二度と明けぬ破滅を!」

>「天球に溢れし星辰の輝き、宵の明星、北斗に輝く七星。
 星墜つるともまた昇る。再び輝く!無限の煌めきが未知なる力を呼び覚ます!」

>「――フォトンバーストストリーム!」
>「――カオスアポカリプス!」

シリルの魔法の方が少し先に発動し、アスタロトに襲い掛かると思われたところでアスタロトの魔法が発動。
二つの最上級魔法がぶつかりあう。結果――どちらが押されるでもなく、拮抗している。
二つの魔法の威力が全くの互角だったということだろう。
しかしアスタロトはただでさえ自分自身の攻撃魔法にも襲われながらシリルの魔法の相殺にかかりっきりということだ。

>「キャトラ――このチャンスを逃すな。君に全て託すよ!」

相手が相手、生半可な魔法では通用しないだろう。
かといって、専門の魔法使いではないオレには、シリルほどの強力な魔法は使えない。
やはりここは十八番の魔法剣か――そう思い、武器を弓から剣へ変える。
作り出したのは、光り輝く魔法の大剣。
でもあんなところに飛び込んだら最初にアスタロトが自分で放った魔法のとばっちりを食らってお陀仏だ。どうする!?
その思考を読んだかのように、聖女がオレに魔法をかける。

「――ミラージュリフレクション! これであらゆる魔法攻撃はあなたに届きません!
さぁ――任せましたよ!」

体全体が魔法反射の光をまとう。
オレは大剣を掲げ大きくジャンプすると、アスタロトの真上から流星のごとく落下し剣を突き立てにかかる。

「シューティングスター・ストライク!」

聖女の魔法のおかげでアスタロトの魔法はオレには届かず、光の剣はあやまたずアスタロトの体の中心を穿つ――
0316創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/02/18(月) 18:13:44.34ID:JhDZPfsz
しかしアスタロトはウンコになった!

アスタリスク
0317シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2019/02/20(水) 21:43:40.55ID:KXWisIxE
【ごめん!超過してから書くのもなんだけど今多忙だから土日まで待ってください!】
0318キャトラPL
垢版 |
2019/02/20(水) 23:26:28.59ID:uwaXGETV
大丈夫、こっちは飽くまでも公式区分は定期的に現れるNPCだから君は何もルール違反していないッ!
そちらのペースでOKです!
0322創る名無しに見る名無し
垢版 |
2022/06/20(月) 16:16:03.34ID:vII0xQ/V
名前:カス
年齢:36
性別:オス
身長:196
体重:196
職業:詐欺師
性格: 残忍
能力:似顔絵
所持品:空の財布
容姿の特徴・風貌:身長と横幅と体重が同じ
簡単なキャラ解説:絶倫 
0323創る名無しに見る名無し
垢版 |
2023/06/16(金) 09:40:02.34ID:xvFf7DkG
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