【RPN】文堂珈琲館part1
前身スレ: http://itest.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1519338178/l50
このスレは、文堂珈琲館という架空の喫茶店を舞台に、各々の作ったキャラに成りきって他の客や店員との会話や関係性を楽しむことを目的としています。
反応すること・しやすさを心がけ、一人で暴走するのは避けてください。
以下の(>>2-4あたり)ルールを守って書き込みましょう。 【愛田谷 善三】
性別… 男
年齢… 25歳
外見… オッサンのように鬱陶しい、眠たげな目、毛先があっちこっちを向いた黒髪、しゃくれ
性格… 優柔不断、面倒臭がり、大らか、感情豊か
能力… 犬並みに鼻が利く
食性… カツ丼好き
13歳の時に飛行機事故で両親を亡くす
自身はただ一人の生存者となるが、流れ着いたのはネイチャー・ワールドの島だった
そこには人間にそっくりなアニメールとアーニマンという動物が住んでいた
アーニマン達は善三を食べようとするが、アニメール達は理由あって彼を守った
アニメールと人間のハーフであるという金と銀の髪をもつ美しい若者と仲良くなり、彼にROYという名前をつける
7年間二人は共に暮らし、いつしか愛し合うようになる
島の自然の中で、二人は永遠とも思える時間を過ごす
しかし二十歳の誕生日が近付くにつれ善三は発狂し始め、遂には海へ身を投げる
通りかかった船に救われヒューマンワールドに帰った善三は、警察犬並みの嗅覚だけを買われ、刑事となる (ROYから電話があった
どうやって電話のかけ方を覚えたのかなどどうでもいい
やはり連続吸血殺人事件の犯人はあいつだったのだ
どうやって海を越えて来た?
それもどうでもいい
今はただあいつを無事にネイチャー・ワールドへ帰してやることしか考えられない
刑事、失格だ) (喫茶店のドアの取っ手を掴んで思い切り押した
何度やっても開かないのを向こうから小さな店員さんが押して開けてくれた
探すまでもなく、俺の嗅覚は彼の姿を捕らえていた
懐かしすぎて再び気が狂いそうになる獣の香り
昼間の光を全身から発しているかのようなROYが、俺を真っ直ぐ見つめて微笑んでいた) (「なぜここにいるんだ?」と言うと、ROYは耳を伏せ、哀しげな目をした。
「ゼンゾーは会いたくなかったの?」
そんなわけはない! わけがない!
しかし俺がネイチャー・ワールドに近付いただけで発狂してしまうように、お前も……) >>106
「あ、すぐ出るんでいりません
ROY、外へ……誰もいないところで話をしよう」 「待ってよ、ゼンゾー
知ってるだろう? 僕はこっちじゃ最低5時間ごとに食事を摂らないとどんどん歳をとってしまうよ
あっという間に老化して、骨にまでなってしまうよ
見てよ、あそこに美味しそうな獲物がいるんだ」 そう言い終わるが早いか、ROYは狼のように素早く厨房に入り込み、ポニーテールの女性店員の背後をとった 「もうすぐ5時間経つんだ、行儀悪いかもしれないけど『いただきます』も言わないよ」 「ROY! やめろーー!」
そう叫びながら俺は構えた拳銃の引き金を引くことが出来なかった ニャンティがツインテールを逆立ててキンキラお兄さんを海の向こうまで飛ばしてしまった。
誰も叫び声を上げる暇もない一瞬の出来事であった。 「さて、店じまいをしましょう」パンパンと手を払いながらニャンティは言った。 「小枝、あったかいココアを入れました。おやすみなさい」そう言うとニャンティはぎゅっとハグをした。 小枝は、ニャンティに抱きしめられながら、割れた窓を呆然と眺めていた。
背後をとられたことも銃声が轟いたことも、ニャンティがROYを蹴り飛ばしたことも、普通の人間からすれば一瞬の内に起きた出来事で、彼女には認識できなかったのだ。 「え、えっと、ありがとう。おやすみ……あの、でも今一体なにが起こったの……?」 「えーと、そこのお客様?
なんだかよくわかりませんが、色々と事情があるみたいですし……明日またおいでください。
なにか相談に乗れることもあるかもしれません」
知らなくていいです、というようなことを言って去ってしまったニャンちゃんに困惑しながら、私は同じく困惑している男性に声をかける。こういう時も集客を欠かさない。
それが閑古鳥が鳴きがちなこのお店では大切なことだと思いながら。 「え〜〜〜ん! アイルビーバックしてやる〜〜〜!」 そう言い残し、ぼさぼさの頭をした男性はさらに髪を振り乱して去っていく。
私はその背中を見送ると、ドアにかけていたプレートを「open」から「closed」へと裏返し、ココアと共に自室へ戻った。
今日は色々あって疲れたし、もう寝よう。
口の中の甘い余韻をそのままに、私は布団に潜り込んだ。 「今日は日曜日なのでバイトはお休みです。
なのでぶんどーこーひーかんに遊びに来ました。
チョコをふんだんに使ったパンダさんの動物アイスを食べながら、一応本業の国家任務もやってるフリをしとかないといけないので、その書類を3分で片づけたところです」 「昨日のメロンチャーハンがひとつも注文がなかったのはショックでした。
どうにも私は日本人の味の好みがまだまだわかっていないようです。
試しに明日はゴチャン人でもこれが好きな奴はマニアと言われるシュール・クサヤン・チョドゥップの定食にしてみようと思っているんですが、
どうでしょうか。一応相談してからにします。
強烈な大便臭を半径50mに渡って撒き散らす煮込みすぎた豆腐のような魚料理で、
あらゆる障害物を物ともせず貫通しますので、向かいのライバル店への嫌がらせ効果もあると思うのですが」 「小枝ちゃん。今日でなくてもいいので、どこか日本の面白いところへ連れて行ってくれませんか。ヤーフェして下さい。
……ヤーフェの日本語がわからない。すまほで調べます。
ありました、『デートして下さい』です」 「ショウちゃんが食後のコーヒーを勧めて来たが、私はコーヒーが飲めません。
苦いのがどうにも苦手です。臭いものよりも苦手なのです。
ですが私ももうすぐ二十歳になる身、大人の嗜みとしてコーヒーぐらい飲めるようにはなりたいです。
どなたか教えて下さい。コーヒー牛乳さえ飲めない私でも飲めるコーヒーってあるでしょうか?」 カウンター席にちょこんと腰掛けるニャンちゃんは、いつもの制服姿ではなくシンプルな私服を着ていた。
ただ仕事熱心なのは相変わらず、アイスを頬張る片手間に、絶対作らせてはいけない気がするレシピを提案してくるから油断ならない。 うーん、やっぱり日本の食べ物を色々と食べさせてあげるのが一番かな。
「よし。じゃあ、今日のニャンちゃんは私が独り占めということで♪」
日曜日は従兄弟が店を受け持つことになってるから、私も暇人なのだ。
色々と計画を練りたいから、面白いところへはまだ連れていけないけど、ショッピングで食べ歩いたり可愛いお洋服を選んであげるくらいのことなら今すぐでもできる。
苦くない、コーヒー……と呼べるかはわからないけど、そういうものがあるお店も思い当たりはあるし、色々連れて行ってあげよう。
「準備してくるから、少し待っててね」
そう言うと、私はバタバタときたばかりの道を引き返した。 ニャンティは尻尾を嬉しそうに揺らすようにツインテールを揺らし、器に残ったチョコレートをスプーンでちょこちょこ掬いながら言った。
「ヒントになるかわかりませんが、コーヒーは駄目なのにチョコは大好きです。カカオ70%ぐらいが一番好みです」 「あれから考えたんですがROYも人間の法に裁かれることなく自然界の中へ帰っていけたわけですし、
何より海を越えて送り帰す方法はないと思っていたのにまさかあんな方法で……
昨日の小さい店員さんにお礼を言いたいのですが今日はお休みですか?」 「ところでこの町に人間の姿をした野獣が2匹入り込んだようです
似顔絵を描かせましたのでこいつらを見かけたらご一報ください」 【ゴゴ】
性別… 男
年齢… 32歳
外見… 身長190cmの巨体、ライオンのような髪型、ファッションにこだわりがない
性格… 残忍、冷酷、躊躇がない
能力… 怪力、コンクリートを噛み砕く顎力
食性… 雑食だが肉を好む
【ネア】
性別… 女
年齢… 27歳
外見… スキンヘッド、体毛が一切なく、皮膚の表面がヌメヌメしている、細身、蛇顔
性格… 残忍、冷酷、獲物を弄んでじわじわと殺すのを好む
能力… 俊敏、体内で獲物を麻痺させる毒を生成
食性… 雑食だが肉しか食わない
二人ともネイチャー・ワールドに住むアーニマンである
アニメールであるROYが人間の姿をしたイヌ科の動物であるのに対し、アーニマンは野生化した人間である
言葉は話すが原始的で、自然界に適応するための特殊能力をそれぞれが持っている
群れを作って生活するが社会性は非常に低く、群れの中での共食い騒ぎなど日常茶飯事である
二人はアニメールの群れを離れて人間界へ渡ったROYを殺すため町へやって来た
既に23人の人間、11匹の犬、32匹の猫等が彼らの犠牲となっていた >>0128
一旦控え室に入り、荷物を取り出す。
厚手のカーディガンの上から肩掛け鞄を下げ、その中に膨らんだ財布を突っ込むと、私は心踊らせながら、ニャンちゃんの手を引いてショッピングセンターに向かった。 手始めに向かったのは、洋服店だ。
彼女の身長なら子供服でも余裕で着られるから、普段のシンプルな格好とはまた違う、フリルがついてるような可愛い服を沢山買ってみた。
グレーの猫耳パーカーは特に、不思議なくらいしっくりきたのでそれに着替えてもらい、次は一階のフードコートへ。 炒飯、パスタ、ラーメン、カレー、たこ焼き、焼きそば、パフェーー。
出されたものはなんでも食べるニャンちゃんについ面白がって色々と買い与えていたら、いつの間にか人だかりができていた。
ところで次から次へと口の中に放り込んでいたけど、あれだと味が混ざってよくわからなかったんじゃ……?
それから最上階でニャンちゃんオススメのゴチャン映画を観て、胃の中身をちょっとばかりトイレに流したあと、私たちはとある喫茶店に立ち寄った。 「あ、きたよ。ほらこれ」
オシャレな雰囲気が漂うその喫茶店は、若者人気が高く、純粋な喫茶とはまた一風変わった飲み物が多く出されていた。
その一つが今運ばれてきたコレ、ハニーチョコレートである。
チョコレートを牛乳に溶かし、マシュマロとたっぷりのハチミツ(と珈琲ちょっと)をいれたこの飲み物は、アクセントの珈琲がチョコの甘さを、ハチミツがチョコの苦さをそれぞれ引き立てる味わい深い仕上がりになっている。
つまり珈琲が苦手だけどチョコの苦さは嫌いじゃない、そんなあの子にはちょべりぐな一杯というわけだ。
最早ただのホットチョコレートだけど。
でもニャンちゃんは嬉しそうに見える顔で飲んでくれたので、連れてきて良かったと思う。 そして最後に、記念として色違いのリボンをお互いに贈り、私たちはすっかり暗くなった街を仲良く並んで帰ったのだった。
ーー後ろから、飢えた瞳に見つめられていると気付くこともなく。 小枝の従弟、町田凪は帰ってきた2人を見て、ほっとため息を漏らした。
鴨島の容赦ない指示の元、慣れない労働をこなして疲れきったところによくわからない野獣の絵を渡されて、心底うんざりしていたのだ。
彼は鉛のように重い体を引きずってニャンティの方に近づくと、ずいっと生白い手で野獣の絵を押し付ける。
「これ、あの客から。あなたのこと、探してた」
そしてまた店の方へと踵を返し、猫背でずるずると歩いていくと控え室へと姿を消した。 店内に貼られた似顔絵を見て5人の男達がいいネタ見つけたとばかりに騒いでいた。
>>133
キャシャーン(vo)「そんだけ特徴ありまくってんのに捕まえられねぇとか警察は無能かよ!?」
モンスター(G)「そうさ警察ってのは無能なのかい?Hey!」
ゴーレム(B)「ありえねーよなー……。(今日はこの店可愛い娘がいないなんてなー……。来た意味なかったよなー……)」
鉄頭(G)「うむ、有り得ない設定だな。リアルじゃない」
キリサキ(D)「いっつも同じ順番でしか喋らねーお前ら四人のほうが有り得ない設定でリアルじゃねーよw ヘボどもが!ww」 「なんだかフラグが立ってしまっていますね。
今日は私これで帰るので心配です」 「小枝、今日はヤーフェ楽しかったです。ありがとうございました」
ニャンティはペコリとお辞儀をした。
猫耳フードを被り、しかしツインテールはしっかりと外に出していた。
「それでは失礼します。……あ、もし何かあったらトリップなしの私を使って下さっても構いません。
それではお休みなさい」 私も疲れていたし、お客様は帰っていたようなので受け取った似顔絵のコピーは棚にしまい、「展開はまた明日お願いします」という張り紙を出して店を閉めた。
最近過酷な長時間勤務になりがちだったが、この喫茶店はブラックではない。
鴨島さんもニャンちゃんも、他のみんなも無理はせずゆっくり休んでほしいと思いながら私は眠りについたのだった。 誰もがではないかも知れないけれど、多くの人が不安や悩みを抱えて生きている。
いつもはそれを他人には見せずに頑張れるのだけれど
たまに心が弱くなると、心が破裂しそうなほど辛くなり、一人ではいられなくなる。
そんな時にはどこでもいいから人のいる場所へ紛れたくなる。
でも、何処へ?
賑やかな場所は好きじゃない。
二人きりになれる友達など私にはいない 私の名前は水島うつろ。
いつの間にかもう42歳にもなる。
独身。でも子供は二人いる。
二人とも私の元にはいないけれど。
私には何もない。
誇りにできる過去も、待ち焦がれる未来も。
自分を愛せるような現在も。 とても眠たいのに眠れないので夜の町へ出てきた。
あまり賑やかではないほうへ。
逃げてきた。
私という壁の中から。
店はどこも閉まっている。
賑やかではないほうへ出てきたので仕方がない。
こんな暗い通りを女一人歩いていても誰も見向きもしない。
若い頃なら痴漢にも襲われた。
しかし今は痴漢さえ、私なんかには見向きもしない。 この喫茶店、前にも入った。
あの時は貴幸と一緒だった。
白髪頭のあたたかい声のマスターがいて、私達の話を笑顔で聞いてくれた。
でも今は閉まっている。
仕方なく私は何もないまま帰ることにした。
私という檻の中へ。 でも、おかしな貼り紙。
「展開はまた明日お願いします」……
意味はわからないけれど笑ってしまい、少し心が軽くなった。 私はたまたま持っていたサインペンで、その貼り紙に一言書き添えると、家に戻った。
「ありがとう」
そう、書き添えて。 「今日は珍しく早起きしたから、私が一番乗りですね。開店です!」
静かな店内で準備を進め、ついに開店しようという時、ふと外の張り紙になにかが書き添えられていることに気がついた。
えーと、なになに?「ありがとう」?
お礼を言われるようなものではないんだけど……なんだろう、落書きかな。
私は首を捻りながら、張り紙をしまってプレートを「open」へと裏返す。
さて、今日も一日張り切っていこうっと。 「今日のランチは牡蛎オムライスです。
昨日、小枝に日本人の心を教えてもらったのでもう大丈夫です。
メインメニューのオムライスと被っていてしかも170円も安いですが気づかないフリをお願いします。
ちなみに使用する牡蛎は隣室に住む広島のおばちゃんに分けてもらったものなので、数量限定16食です。
なくなり次第どうするかは考えてません。
まぁメロンチャーハンが一食も出なかったくらいなので、売り切れることはないでしょう。
私か小枝か鴨島マスターがケチャップをかけ、おいしくなる呪文を唱えるサービスがつきます。
現在奥の控え室で二人とも鏡を見ながら愛嬌たっぷりの笑顔で『おいくなぁれ、もえもえきゅん』の練習中です」 会社の昼休み。
昨夜の喫茶店へ食べにきた。
日替わりランチを頼んだ。
誰か、私に話しかけてくれないだろうか。
私はただ待っている。
話しかけられるのを待っている。
自分から話しかけることなんてできない
。 話しかけられたら、どう、答えよう。
明るい笑顔で「今日は」?
テレビで見るような世間話?
取られてしまった私の二人の子供のこと?
それともその人が好きな話題を膨らませてあげようか。 開いている。
昨夜冷たく閉まっていた店が。開いている。
それは何て安心できることなんだろう。
店に漂うコーヒーの香り。
マンガ本を読むいい歳のおじさんの子供のような顔。
頭の上を微風のように通り過ぎて行くBGM。
コーヒーカップとティースプーンがカチャリと固い音を立てるのに木のような柔らかさが私の耳をくすぐる。 こんなに居心地が好い空間なのに、私はやはり死ぬことばかりを考えていた。 >>152
身長:178
年齢:25歳
容姿:少し筋肉質で痩せ型
性格:至って平凡
特性:とある世界で魔導師の孫として修行をし旅行中にこの店に迷い込んだ。魔法の殆ど使えないこの世界で帰る方法を模索しながら生活している。
職業:時計修理のお店「藤田時計」で働く。副業あり。
その他
もともと、軍属の魔導師だったため、魔術、呪術はもちろん、格闘術にも秀でている。好きなメニューはホットミルク。 >>155
「マスター。ホットミルクとサンドウィッチ。」
私は扉を開けるとすぐに注文をする。
いつもの店で、いつもの注文、いつものカウンター席に座る。
ただいつもと違ったのは、隣の席に人がいたことだ。何処かにあってここにある。そんな感じの、今にも消えそうな人だった。
「どうも、はじめまして一見さん?」 つい話しかけてしまったが、いきなり過ぎた事は否めない。
しかし、隣に誰かいて話さないなんてもったいない気もする。一人旅はいいが独り旅はいかんと言っていた爺の声が聞こえたような気もした。 変な人が隣に座って話しかけてきた。
空いている席が他にあるのに。変な人。
どこかファンタジー世界のコスプレ好きを感じさせる。
でも変な人は嫌いじゃない。
だって私自身が変な人だから。
普通の人よりも仲間だと思える人のほうが好き。
でも、やはりうまく喋れない。
私の心と外見はいつものように
どんどん食い違って行く。 たぶん私は今、迷惑そうな顔をしている。
むしろ嬉しがっている内面とは裏腹に。 いつものように相手は引いてしまった。
「つまらない奴」とか「迷惑そうだな」とか思われてるに違いない。
心の中ではどうやってその人の笑顔を引き出そうと考えているのに。
とっておきの笑い話をする?
それで笑ってもらえた試しがない。
おどけてお笑い芸人の真似をして一発芸やってみる?
変な私がもっと変な人になる。
その人の話をひたすら聞きに回る?
その人が自分話ばかりする人ならそれで今まで何回かえって寂しくなった? 「ここのランチ美味しいよね。あんまり食べないけど。」
迷惑だったかもしれない
まあいいや。しかし… なんか重い女だな、そう思われてるに違いない。
ごめんなさい不快にさせて。
でも自分ではどうすることもできないの。
その時、ふと音のないテレビを見ると、宮沢りえと森田剛の結婚報道がやっていた。
考えすぎずに言った言葉はスラスラと口を出て行く。
「りえちゃん、今度は幸せになれるといいですね……」 >>167
「そうですね、すごく綺麗です。しかしまあ、結婚…と言う概念がイマイチわからないな。やっぱり一年二年じゃ慣れねぇな…」 >>165
菊久がそう言った直後、背後からクスクスと笑い声がした。
振り返ると小さくて髪型がツインテールの店員が、口の端を少しだけ上げてクスクスと声を発していた。
「惜しいですね。『ここのランチ美味しいよね、食べたことないけど』だったら私も大声で笑い転げていたかもしれません」
ニャンティはそれだけ言うと隣の女性客のほうを向き、料理を前に置いた。
>>162
「かなりお待たせしました。本日のランチ『牡蛎のオムライス』でございます。では特別サービスをさせていただきます」
両手に持ったケチャップで薄焼き卵の上にネコの絵を描き、呪文を唱える。
「おいくなぁれ、もえもえきゅんっ」
女性は面白くも何ともなさそうな白けた顔でネコの絵を見つめていたが、
ニャンティにはもじもじぴくぴくと忙しなく動く女性の両手が、楽しげに見えた。
ちょっと自分と似たものを感じて嬉しくなった。顔はちっとも笑っていなかったが。 「今日は大忙しです。賑やかなのはいいことだ。
ランチ16食、あっという間に売り切れてしまいました。ごめんなさい。
小枝、教えて下さい。日本人は酢豚にパイナップルを入れるのに、どうして炒飯にメロンは入れないのですか?」 「いやあ、組み合わせの善し悪しというか……。炒飯にメロンを合わせても、美味しくなるどころか折角ぱらぱらの炒飯がべちゃっと甘くなっちゃうというか……」
ニャンちゃんが一生懸命作ってくれたものをまずいとも言えず、私は「日本人には早すぎた味」という結論で締めくくることにした。 なぜ笑われたのかよくわからなかった。
やはりここの世界では結婚と言うものはごくごく溢れた物なのか。
ふと”携帯“がなった。平たく美しい石板…などと言っていた事もあったが、ここの世界では魔法が殆ど使えない代わりに科学と言うものが深化してきたらしい。
メールを開いてみると
2体の異形を見つけた。画像を添付する。
とだけあった。副業の時間らしい。
その画像にはおおよそ人ではないなにかが映っていた。画像の下の方に小さく「ゴゴ」「ネア」と言う文字を見つけた。きっと名前なのだろう。
私はサンドウィッチを齧りながらじっくりと見ていた。もちろん、画像ではなくニャンティと言う少女をだ。異形と言えば異形なのだろう。しかし、可愛い… >>171
「なるほど。やっぱりゴチャン人は進んでいるのです♪」ニャンティは嬉しそうにエプロンの紐を揺らした。
「正直最近、ホームシックがひどいです。
夜、パパとママの膝で丸くなって眠っている自分を思い出すと泣きそうになります。
だから昨日のヤーフェは本当に楽しくて面白くてウキウキでした。
日本にも大好きな人が出来たのでニャンティは頑張れます」 「でも……可愛い服を買ってくれてありがとう。でも……
どれだけ可愛く着飾っても私は女の子じゃないです。
猫がどれだけ可愛く着飾っても猫は猫、みたいなものです。
私の最近の悩みはホームシックですが、ずっと悩んでいるのは自分が齋藤飛鳥さんみたいな可愛い女の子ではないことです。
中性は男性にも女性にも恋することが出来ますが、結婚は許されていません。
また恋したとしても、男女に付き物のムラムラする感情?(合ってますかね?)というものが我々中性にはありません。
女の子に生まれたかった……な」 やっぱりいつもと同じだった。
私に話しかけてくれた人は、私に呆れて会話をやめてしまった。
ふふ。でも……
メイド喫茶みたいなの初めてで嬉しかった。
おいしくなぁれ
もえもえきゅん……か。
私も帰ったら鏡に向かってやってみよう。
少しは性格が明るくなるかもしれない。
……そんなわけないか。 会社までの帰り道、だるかった。
私より不幸な人間はいない。
どんな不幸な目に遭っても頑張れる人よりも、何もない人のほうが不幸に違いない。
人間には生きる力がいる……なんて、不思議なこと。
ただ食べて眠ってヤッてだけでは生きて行けないなんて……
私には今、生きて行ける力がない。
誰か今すぐ、私の心臓を停めてくれないだろうか。
あるいは私の中から幸せな心臓発作が起きればいいのに。 歩き続けてないと辛くなる。
足を止めたら死にたくなる。
わかってて足を止める。
ううん、違うよ。まだ死なない。
ちょっと歩き疲れただけ。
缶コーヒーでも買って公園のベンチで飲もう。 今日のあのメイドさん、可愛いかったから、何も悩みなんてないんだろうな。
でも羨ましくて妬ましくて殺したく……なんかはならない。
私のぶんまで幸せになってほしい。
そして自分を殺したい。
そう考えながら、公園の茂みががさりと音を立てたのに顔を上げるとライオンがそこに立っていた。 (どうしてこんなところにライオンが?)
そんなことを思う間もなくライオンは私の喉を喰いちぎり、
私は私の腹部を喰い破って内蔵が食われる音を聴いた。
痛くはなかった。これまでしたどのSEXよりも痺れた。
でも私の口は、喉から笛のような音を立てながら、ぱくぱくと動いた。
「死にたくない! 死にたくない!」
「やっぱり死にたく……ない! 死にたく……な……………………」 「……上手く言えないけど、女の子じゃなくてもニャンちゃんは素敵だよ。
見た目も、恋愛の仕方も素敵な個性」
どことなく、ツインテールをしゅんとさせているニャンちゃんの肩をギュッと抱く。
私には性別の悩みは本当には理解できないし、慰めにもならないだろうけど、少しでも埋まらないものが埋まるといいと思った。 さて、今夜はもう閉店だ。
真っ暗な空に浮かぶ紅い月に少しびびった私は、いつもより戸締りをしっかりしてから眠りについた。 「すみません。1分も遅刻してしまいました。
今日はなかなかツインテールが肩より外でまとまってくれなくて……」 「今日はゴチャンのきのこ『ドクダミアン』が大量に手に入りました。
名前の通り、小ぶりで可愛いきのこです。
本日のランチはこのドクダミアンを使ったボン・カレーにしたいと思います。
似たような名前の商品が日本にありますが、関係はありません。
ドクダミアンは熱と空気を加えたものを噛むと、プキュッと快い音がします。
約31分の1の確率でボン! と紙袋を叩いたような爆発音のするものも混じっています。
春の眠気に襲われている人もボン! でシャッキリ! すること間違いなしです。
それでは心地好い音のハーモニーをお楽しみ下さい」 「最近ショウちゃんが喋ってくれません。
やはり私がコーヒーを飲めないのが悪いのでしょうか……」 あっちこっちのテーブルでプキュプキュボンボン騒々しい店内をニャンティの小さなエプロン姿が忙しく駆け回った。
水を運び、オーダーを取り、ボン・カレーやコーヒーを運び、帰ったお客のテーブルを片付ける。
そんな何でもない繰り返しが楽しくて、前へ後ろへツインテールを揺らす。
また新しいお客さんが入って来た。
「いらっしゃいませー」 名前 城山 出雲男(しろやま いずもお)
性別 男
年齢 17歳
性格 積極的、可愛い女の子が大好き
容姿 身長186cm、体重136kg、いつも柔道着姿、やたら光を反射するメガネをかけている
能力 なし
好物 食べられるものなら何でも
寞華高校(ばかこうこう)二年、柔道部員。巨漢だが筋肉はほとんどない。一言で言えばただのデブ。
『千鳥投げ』というオリジナルの必殺技を持っているが、それを使って試合に勝ったことがない。というか試合に出してもらったことがない。
大きな声で喋る時は何を喋っても「のす」しか言えないが、小声なら普通に喋ることが出来る。意外とお洒落なことを言う。
悩み多き年頃にして本気で悩み事が何もなく、常にポジティヴ、悪く言えばバカ。
座右の銘は「乃木坂全員にフラれても欅坂がある」。
秀でた能力は何もないが、TV放送も行われた全国区の大食い大会で97位に入ったことがある。 大きな体をなんとか入口に潜らせて一人で入店して来たのは柔道着姿の高校生であったが、誰もが30歳代の変なオッサンが入って来たとしか思わなかった。
柔道着の胸には名前なのか『ズモー』とネームペンで書いてある。
一人で四人掛けの席に座ると、大声で「のす!」と言った。
注文を取りに来たツインテールの店員が「のすはありません」と答えると、指で手招きをし、店員の耳元で何か囁いた。 「本日のランチ『ボン・カレー』、きのこ特盛ですね? ありがとうございます。あとパンツは白です」 「のすー!」
ズモーは興奮して本当に白かどうかを確認しにかかった。
しかし勢いよく後ろを向いたニャンティのツインテールの先端に鼻先を打たれ、暫くの間静かになった。
のすふー、のすふー、と鼻息だけは荒かったが。
やがてニャンティが料理を持って来た。
「お待たせしました、本日のランチ『ボン・カレー』ドクダミアンきのこ特盛でございます」 料理を見もせずにズモーは再び人差し指でニャンティに耳を貸すよう促す。
「いいですけど今度は耳たぶなめないで下さい」
ニャンティがそうお願いすると3回頷き、こちょこちょと何かを囁いた。 サンドウィッチを食べ終えた。店内は少しお客が増えて混みそうだったので。
会計を済ませて店を出るとき従業員のニャンティに四角い箱を渡しておいた。鴨島さんに渡すようにと言っておいた。
勿論中身は本業の時計で、珍しいデザインだった。話に聞くところでは鴨島さんのデザインらしい。 ズモーを月まで飛ばし、ニャンティは四角い箱を開けてみた。
ゴチャンでは見たこともないような趣向を凝らした渋いデザインの時計だった。
どういうデザインかというと↓(丸投げ) 大小様々の歯車で造られた機械仕掛けの鳥が、枝にとまり時計を咥えているというようなものだ。
金属部分にはダメージ加工が加えられており、文堂珈琲館によく似合うアンティーク調に仕上がっている。 犯人は必ず犯行現場に戻ってくる、とよく言われるが、わたしも犯人の気持ちと同じなんだろう。
もちろん、法を犯すことや、背徳的な行動は身に覚えなどない。ただ、この間椅子に置いていった戯曲のその後が気になっただけだ。
あのツインなテール子ちゃんは、わたしの演劇台本を読んでくれただろうか。
かわいいあの子が、わたしの台本を読みながらハートをきゅっきゅとさせている姿を想像するだけで、それはそれは演劇部員冥利だし。
でも、言っておく。
わたしは、かわいい。かわいい。誰よりもかわいいぞっ。
淡い気持ちを抱えつつ、ほのかな希望を胸にして、レトロチックな珈琲店に足を入れると、ほんのりとわたしの鼻孔を香ばしいかおりが擽った。
「いらっしゃいませー」
亜麻色の髪の女性がにこやかに迎えてくれた。
今日は何を頼もうかとメニュー表に目を通す。しかし、格調高いこの店と釣り合うように、お値段もやや高め(中学生目線だけど)のようだ。
わたしはしがないJCだぞっ。しかも二年生だぞっ。
『日替り動物さんアイスクリーム』がすっごい気になるんだが、七百円だなんて手が出せなさすぎるこの悲しさ。
『チーズハンバーグプレート』も断然食べてみたいのだが、九百五十円の世界はブルジョワジーな輝きで眩しすぎる。
はあ……。大人はいいなぁ。
大人になったら、ゼロが幾つも幾つも並んだような金額を見ても、迷うことなくスマートに注文するんだ。
慢性的金欠病患者のわたしは身の丈に合った「ニャンティ特製ゴチャン風日替りランチ」にしようかな。で、ニャンティってなに? 「ここから、ここまで全部」だなんてセリフ、ちょっと言ってみたいかも。
だから、わたしはスクラッチ宝くじに賭けてみる。この店に来る途中に購入した紙切れは、わたしにとっては一世一代の大博打だ。
財布から取り出した五円玉でごりごりごりと銀色の円を削る。同じマークが揃えば十万円。もしかして、これだけの大金があれば
ウチの演劇部を買収することができるんじゃないのか?と、不埒な考えが浮かぶ。
ふと、思い出したのが後輩の鈴城のことだ。クソがつくぐらいの生意気な男子だ。
エチュードをしているときこと、わたしの考えた素敵なセリフをコテンパにするような勢いでねじ伏せてきたんだ。
理屈っぽく、わたしのセリフの穴という穴をつついて完膚なきまでに叩きのめしてきたんだ。
今度会ったら、鈴城のヤツを男の娘にしてやるからなっ。かわいいわたしを怒らせると、大地にヒビが入るんだからっ。
と、わたしの電話が鳴った。あろうにも鈴城からだ。
着信拒否してやろうかとあらぬ考えもよぎるが、わたしは「あれ……鈴城くん。どうしたの?」と、先輩らしく、女子らしく甘い声で返答した。
わたしの姿が見えない鈴城はころんと騙されるんだろうな。女子を敵に回すと怖いぞ。
「え?大変じゃない?今すぐ行くからね!」と、優しい先輩を装ってわたしは泣く泣くこの店を後にすることにした。
男子殺すにゃ刃物はいらぬ、優しく出ればすぐ騙される。
優しそうな亜麻色の髪の店員さんに見守られながら、この店から去った後、わたしは削りかけのスクラッチを落っことしていったことに気づくのだった。
さようなら。わたしの十万円。かわいいツインなテール子ちゃんにくれてやるっ。