……外に出ると風が強く吹いていて、白い灰が行く手を遮る。空を重く鈍い雲が覆っている。今日も太陽は見えない。
「……ねえ」
彼女の声には先ほどまでの輝きはない。それどころか、この空のようにどんよりとしている。
「どうしたの。」
「……太陽ない」
「……ええと、ほら、空を見て。」
真上の雲を指差す。彼女もつられて空を見る。
「あの雲の先には、太陽が隠れてるんだよ。」
「そんなの知らない。」
「今日はね、太陽出てこれたんだよ、本当は。けど、やっぱり急に出てくると眩しいじゃない。」
「そんなことない。」
「いやー、えーとね。眩しいし、暑くてみんなびっくりしちゃうゆだよ。」
「私はそんなことない」
「あらそう…。」
どうにも納得してくれないみたいだ。たしかに、彼女からすれば私が騙したみたいに感じるだろう。