それは空が紅色の果汁で浸されている夕暮れ時であった。
黒いトリたちが声高に大合唱している真下でコツコツと歩く老人が一人。
そこから立ち上る貫禄はイチョウを彷彿とさせるものであった。長い年月でどれほど多くの一日を刻んできたのだろう。
そんなわけで一枚の葉っぱが路上にぽつりと大樹から落ちるように、彼も一枚の孤独な葉っぱとしてコクコクと流れる時間とともに忘れ去られようとしていた。
  「家に帰ったらカップラーメンでも沸かすか」
その言葉が現世で話す最後の言葉になるとは誰も知らなかったであろう、なぜなら、彼ですらもそのことには気づかなかったのだから、、、
〜〜〜〜〜〜〜〜〜お望みならば続く〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜