「小雅ちゃーん!こーんにーちはー!」
風の通りの良いようにと開け放った玄関から、小雅の仲良しさん達の声が揃って聞こえた。
「はーい!いらっしゃい、待ってたよ」
小雅がお出迎え…とは言っても狭い部屋、振り向いて立ち上がっただけだけれど、小雅はスキップでもしそうな喜びようだ。
お招きという形で遊びに来てもらうのは初めての事だから、嬉しくて楽しくてワクワクしているのだろう。
「おばちゃん、こんにちは!」
「こんにちはでしゅ!」
「二人ともいらっしゃい。あら、コトちゃんは大人色になってきたね」
「そうなの。もうすぐね、小雅ちゃんとシャン子ちゃんみたいに、白と黒がキレイに分かれるの」
「そうかあ、マレーバクさんは成長が早いんだねえ」
「おばちゃんあのね、シャンもね、ピンクだったんでしゅよ」
「そうだったね。シャン子ちゃんのピンクは見事で綺麗で、ニュースになったもんねえ」
「あいっ!えへへ」
「さあさあ二人とも、座って待っててね。おばちゃん、すぐに用意するから」
小雅に手伝いを頼もうとしたら、もう小雅はエプロンを着けて動き始めていた。
「シャン子ちゃんコトちゃん、はい、冷たいおしぼりだよ」
「わあー、気持ちいいでしゅ!」
「首に置いても気持ちいいんだよ、コトちゃん届く?」
「届かなーい」
「置いてあげるよ、おしぼり貸してごらん」
おもてなし気分とお姉さん気分で、いつも以上にシャン子ちゃん達のお世話をしている。
お手伝い、頼むほどの事じゃないわね。
子供達の笑い声と風鈴の音色に耳を傾けながら、スプーンとガラスの器をセットする。音を立てないように、そっと。