司会の藤島利久氏による紹介を受け登壇した仙波敏郎氏のスピーチは、「日本の警察は世界一優秀と言われ続けてきたが、かつて私が内部告発に踏み切った時は、私以外の全員が犯罪者だった」との、衝撃的なひと言で始まった。

 仙波氏は、現職警察官として初めて、警察内の裏金づくりを告発したことで有名。「当時、警察の管理職が約6000人いたが、彼らは概して裏金を懐に入れていた」。領収書偽造による、その裏金の総額は、全国で年間約400億円にも上り、私的な飲食に使われていたとのこと。「そういう犯罪行為に、間接的にも手を染めなかったのは私だけ」と胸を張った仙波氏は、「だからこそ、現職時代に計60回講演を行い、あちこちで警察の実態を明かしてきたのに、何らペナルティーを受けなかった」とした。仙波氏は、2009年に愛媛県警を定年退職している。

 仙波氏は「警察が、当人(容疑者)をいったんクロと決めると、検察庁はほぼそれに従う。裁判所も、その通りの判決を下す」とも述べて、総勢30万人の、日本最大の権力組織である警察は、規模を維持するためにも、裏金を使うためにも、「犯人をつくる必要がある」と強調した。「容疑者がメディアに顔を撮影されたら有罪」という暗黙の了解が、警察には存在するという。

 スピーチ終盤で、仙波氏は「日本の警察から、今の50代以上の管理職者が姿を消すまで、もうしばらく我慢してほしい」と発言。「それは、(少なくも)あと10年は日本から冤罪がなくならいことを意味する」と説明を加えた。そして、「警察から迷惑な行為を受けた場合は、ぜひ私に相談してほしい。何らかの助言ができると思う」との言葉を残し降壇した。

 次に、八木啓代氏が「検察がちゃんと調べないなら、自分たちで調べる」との姿勢で知り得た情報を基に、中身の濃いスピーチを披露した。