1974年にジョージ・ハリスンが設立し、昨年ジョージの息子であるダーニ・ハリスンとマネージャーのデヴィッド・ゾンシャインがリスタートしたダーク・ホース・レコーズからリリースされる、ジョー・ストラマーのソロ新ベスト作。
ジョーのソロをまとめたものでいうと2018年に大ボリュームの『001』がリリースされているが、今回の肝はビートルズやストーンズの新ミックス、リマスターを手掛けるポール・ヒックスによるリマスターが施されていることと、3つの未発表曲にある。
未発表曲のうち本作の最後に収められた“Junco Partner”はラフな感触のアコースティック・ホーム・レコーディング・バージョン。
曲が進むにつれどんどん熱が籠っていく演奏が楽しめる。
残る2曲は、2001年11月24日、つまり逝去する約1年前にロンドンのブリクストン・アカデミーでザ・メスカレロスと演奏したザ・クラッシュの“I Fought The Law”と“Rudie Can't Fail”。これが、凄まじく良い。
クラッシュの音楽的革新性の多くを担っていたのはミック・ジョーンズであり、解散後に彼がビッグ・オーディオ・ダイナマイトでラディカルな傑作を連発したのに対し、ベスト盤である本作にさえレゲエやワールド・ミュージックを心の赴くままに奏でたようなリラックスした楽曲が入っていることは事実。
しかし、やはりこの声なのだ。ジョーの人間性がそのまま宿ったようなこの声があるからこそ、クラッシュは至上のパンク・バンドたり得たし、悶絶級に格好良いストレートなロック・ソングのみならず、紆余曲折に満ちたソロ・キャリアにおけるどの時期の楽曲も、聴く者の胸を激しくノックするのだ。
彼がこの世を去ってから今年で19年が経つが、この歌声の熱量は未だ、あまりにもかけがえが無い。