しかし、トラブルは絶えることなく、1980年の夏ストラマーはハンブルグでザ・クラッシュのパンク以降の音楽的進化に不満を持つスキンヘッド達がライヴを妨害しにきた際に観客の頭をギターで殴り逮捕される。だが当然、そんなことで怯むザ・クラッシュではない。1980年、ザ・クラッシュは新しい音楽性への飽くなき探求を続け(ダブ、ジャズ、ロカビリーもここで加わる)、ジャマイカ、ニューヨーク及びロンドンで3枚組アルバムに十分な素材を蓄え、『サンディニスタ!』を完成させる。アルバムは1980年のクリスマスに発表され、初の英国アーティストによるラップ・ソングとなった「7人の偉人」等が収録された。



皮肉なことに、ザ・クラッシュが音楽的に大胆になればなるほど、その人気は増し、1981年5月から6月にかけてニューヨークのタイムズ・スクウェアのボンズ・カジノで行われた新聞でも大きく取り上げられた17連続公演を含む献身的なツアーの甲斐あって彼らはアメリカをも制覇していった。この頃には、シュガーヒル・ギャングやグランドマスター・フラッシュといったヒップホップ・アーティストを前座に抜擢するようになり、彼らを初めて白人ロック・ファンの目に触れさせ、ロックとラップの相互交流を促した。