ブリティッシュ・パンクの先駆けとして1976年に結成したザ・クラッシュはその後、時代を代表するカリスマ・バンドへと進化を遂げ、70年代末期から80年代初期という激動の時代において、知的な抗議行動、粋な反骨精神の象徴となる。それと同じくらい重要なことは、彼らが飽くなき音楽の開拓者となり、社会派レゲエからダブ、ファンク、ジャズ、そしてヒップホップを自分たちの音楽に次々と取り入れていったことであり、それが故に彼らは現代のDJやダンス・ミュージック・アーティスト達から最も敬愛されサンプリングされるバンドになったのである。



解散する3年前の1982年には全米トップ10入りを果たした彼らは、我々に途方も無い音楽を残していってくれた。4作の1枚組アルバム、『白い暴動』(1977)、『動乱(獣を野に放て)』(1978)、『コンバット・ロック』(1982)、『カット・ザ・クラップ』(1985)、ローリング・ストーン誌が80年代のベスト・アルバムに選んだ伝説の2枚組アルバム『ロンドン・コーリング』(1979)、そして問題作とされる実験的で音楽的に多彩な3枚組『サンディニスタ!』(1980)である。