なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart27
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・ここは、なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのか?
または、なぜエヴァは楽しまれてるのか?について、その理由を述べたり、議論したり、追究したり、語ったりするスレです。
思ったこと、思うことを書いてみましょう!
・雑談は基本OKだけど程々に。
・節度ある態度で楽しく!
・ここはアンチスレではないので、エヴァや他のアニメを叩きたい人は各アンチスレへ行きましょう。
前スレ&テンプレは>>2-18 『という、ばかりではない。
周径には、ただのプロセッサーだと捉えると、全体が見えなくなってしまう…』
玲音「…」
『情報端末としてNAVIは小学生にまで普及するに至っているが…
ワイヤードでの活動限界は、マシンに依存しているのが現状だ。
周径は、いかなるNAVIの機能を劇的にあげることが出来る』
『私には、もうリアルワールドにはいる意味が無かったの』
玲音「あ…」
『私はリアルワールドにとって、いてもいなくてもどうでもいい存在だった。
それが分かったとき、私は肉体を無くすことに、なんの怖さも感じなくなったの」
玲音「うう…」
『玲音は誰?』
玲音「え」
『玲音は誰?』
『玲音は誰?』
『玲音は誰?』 ありす「でも私たち変だよ。私たち、昨日人が死ぬのを間近に見たんだよ。
それなのに、まるで映画でも見たくらいの感覚でいる」
麗華「だって、昨日の夜確かに私たちあそこにいたけどさ、何かリアリティが無かったって気がする」
樹莉「私もそんな感じかな。ありす、そんな深刻に受け止めない方がいいと思う」
ありす「そうじゃなくて、深刻に受けとめられないから変だって。ね、玲音」
玲音「え?あ、何」
ありす「あれ?それってラブレターとか?」
麗華・樹莉「えー!うっそー」
玲音「ち、違うよ。多分」
麗華・樹莉「みーせてみーせて」
麗華「ケチケチしないで見せなさいよ」
ありす「そんな無理したら可哀想じゃない」
麗華「うーん、茶封筒ね」
樹莉「なんて書いてあるの?」
麗華「うーん」
樹莉「えー」
麗華「何これ」
玲音「…」
麗華「つまーんない」
樹莉「やっぱりね」 ポケットから茶封筒の中から出てきた物を出す玲音。
玲音「プシューケ」 『違うってば!私のボイスメールが覗かれてたのよ!信じらんない!』
『届いたレジュメにあった内容は、当該の情報が含まれておらず、
現在対応を検討しているところです。記者によりますと…』
『キスするのが好きなの。それだけで幸せになれる』
『こないだクラブでガキがアクセラとかで事件起こしたろ?
あれで闇に流してるやつらビビっちまったみたいでよ。全然ブツ入ってこねえんだって』
『プシューケーは台湾の工場で製造されてる模様です。
設計したと言われるのはナイツと呼ばれるグループだと知っていますか?
そもそもそのナイツが実在するものかもわかりません。ワイヤードから』
『気持ちいいよ。死ぬって』
玲音「…」 『ほら、約束した』
『した』
『やーだー。部屋に誰かいるの。緑と赤のシワシワの服着て、子供みたいな小さい人が。
寝室から動けない。ドアのところに立って私をじっと見てる。助けてよー』
玲音「…」
『あなたの秘密の恋人、あなたと一緒にいた写真を持ってるんです。
私は一夜にしないんです。どうです?勝手にやるよりもあなたの会社に…』
『玲音、どうしてこっち来ないの?』
プシューケーを見つめる玲音。 『レインあてのメールが届いています』
玲音「NAVI」
康男「どうだい、玲音」
玲音「…っ」
康男「新しいNAVIには慣れたかい?どうかしたのかい?」
玲音「これ、知ってる?」
康男「知らないなあ」
玲音「お父さんなら」
康男「…」
玲音「お父さんなら、知ってるかなって」
康男「知らないと言っただろ」
玲音「…」 着替えて外に出ると、また黒い車が停まっている。
玲音「あ…!」
再び怖くて走り出してしまうのだった。 再びサイベリアに行く玲音。
階段でキスをしている男女がいる。
男「なあ、いいだろ?」
女「…あ」
男「おい、好きなんだよ」
玲音は思い切ってドアを開けた。 DJの男「レイン。最近どうしてたんだよ。あんまり顔見なかったからよ」
玲音「私…」
DJの男「あれ?今日はやけに少女趣味してんじゃん」
玲音「…」
DJの男「またレイヴやっから俺も頼むぜ」
玲音「…」 タロウ「何お前かっこつけてんだよ」
マサユキ「お前こそ。ははははは」
ミューミュー「はははははは」
玲音「これ、知ってる?」
タロウ「あ。えー!それ、プシューケーじゃねえのか」
マサユキ・ミューミュー「え」
マサユキ「ま、まさか」
ミューミュー「うそー。私初めて見た」
マサユキ「ど、どこで買ったの?」
玲音「知ってるの?」
タロウ「何言ってるの?それ入れたら、こいつでも、ワイヤードでフルアクセス出来るだろうが」
玲音「これ、どうやって使うの?」
ミューミュー「だっさー。そんなのも知らないの?ふふふふふ」
マサユキ「ねえ、これって。これって」
タロウ「バカ、買えるかよお前が。NAVIは何?」
玲音「よく分かんないけど、TACHIBANAの。多分、一番新しいやつ」
タロウ・マサユキ「えーすげー」
タロウ「あのさ。それ、自分で内部にアクセスした?」
玲音「…」
マサユキ「ふーん、あんた中2?中3?」
玲音「2」
マサユキ「だったら情報機関習ってんだろ?NAVIのマザーボードの基本的なレイアウトは、教科書に載ってる。
こいつは、メインプロセッサーの裏側にコネクトするんだ。そこで本来の情報をインターセプトして、
勝手に動作する。作業自体は、プラモ作るよか簡単だよ。静電気にだけ気を付ければね」
玲音「そう、ありがとう」 タロウ「待ってよ。情報はタダじゃないんだぜ。ワイヤードでもリアルワールドでも」
マサユキ「いくらもらう?いくらもらう?」
玲音「えっと…」
タロウ「あんたさ、レインでしょ」
玲音「え」
タロウ「俺、前に一回見てるんだ。ワイヤードでね」
玲音「私を、ワイヤードで?」
タロウ「そん時は、今と全然違ってた」 タロウ「ワイヤードでは、リアルワールドと違う人格を装うっていうのは、まあ普通だけど、
ちょっと極端だね、あんた」
ミューミュー「うっそー」
タロウ「この前この店でバカな事件起こした時にもいたでしょ。何企んでんの?」
玲音「私、何をしてあげたらいいの?」
タロウ「一回、デートしてよ」
ミューミュー「バカ」
タロウ「へへ。でも今の人格じゃなくて、あの、イッちゃってるレインのほうでだよ」
玲音「…っ」
タロウ「じょ、冗談。またその気になったときにでも」
ミューミュー「何言ってんだよ!」
マサユキ「あのさ」
タロウ「いいんだよ。行くぞ」
ミューミュー「うん!何が。ふん!」
玲音「…」 下校途中の美香が黒い車の前を通り過ぎる。
美香「あ、あの…家にご用ですか?どなたですか?あ…」
アジア系の外国人「あなたは、私たちと会っていない」
美香「な、何よ。警察呼ぶわよ」
金髪の外国人「なぜなら、私達は今、ここにいないから」
美香「や、やだ…な、何よ!」 美香「ねえ、ママ。今度来たら絶対警察呼んでよ。聞いてる?ママ。もう」
二階に上がっていく美香。 美香「ふん。
あ…な、何してんのよ。玲音。
…何してんのよ、そんな恰好で」
玲音「うん、静電気がまずいんだって。服は、脱いじゃったほうがいいらしいんだ」
美香「バ、バッカじゃない」
玲音『あ、おかえり。お姉ちゃん』 シンゴジ以前のゴジラブームが何故衰退したかと言えば
初代ゴジラが怨霊的な荒ぶる神だったのに対して、回を
重ねる毎に幼児的退行を繰り返して行き神秘性を喪失し
て行った事が原因である。 親なんていらない
人間なんて、たったひとりなんだよ
誰とも繋がってなんか、ない 暗がりに浮かぶクマやウサギのぬいぐるみたち。
パソコンを組み立てるため、玲音はパソコンの説明書を読んでいた。
康男「…」
玲音「…」
康男「…」 美穂「どうでした?」
康男「…」
美香「玲音、おかしいよ。まあ、今日に限ったことじゃないけど」
康男「いいや、おかしくはないんだ」
美香「ああん?何よそれ」
美穂「美香、お父さんに言葉遣いが悪いわよ」
出ていく美香。
美穂「そうなのね?」
康男「そうなんですよ」
康男の頭をなでる美穂。
美穂を抱き寄せる康男。 男「はあ、なあ、!、うわああああああ!
はあ、はあ、はあ、あああああ!あああああ!くそー!くそー!はあ、はあ、はあ、くそ、くそ」
少女「…」
男「うわあああ!!!あああ!!くそ!くそ!くそ!
はあ、はあ、はあ、はあ。なんなんだよ!なんだってんだよ!くそー!くそー!はっ…はあ、はあ、はあ、うはあ」
少女「ガッチャ」
男「うわああああああ!!!」 樹莉「次の時間ホームルームなんでしょ?ラッキー」
麗華「臨時の職員会議なんて、変だね」
ありす「やっぱり、あれほんとなのかな」
麗華「あれって?」
ありす「高等部の3年の先輩が自殺したって」
樹莉「じ、自殺…?」
ありす「うちの学校だけじゃなくて、こないだも団地の屋上から飛び降りたっていうし。ね、玲音」
玲音「え、あ」
ありす「…」
玲音「ごめん、なあに?」
ありす「…」
樹莉「玲音がそういうの聞いてる訳ないよね」
ありす「自殺のこと?」
麗華「知ってんの?あんたが?」
ありす「ほんと?」
玲音「ていうか。私も聞いただけ」
ありす「どこで?」
玲音「ワイヤード」
ありす「ああ、もう新しいNAVIに慣れたんだ。今度私にも見せてよ」
玲音「うん、いいよ。でもちょっと改造してるの」
樹莉「改造?玲音ってばそんなハッキーな趣味あったっけ?」
麗華「あのさ、最近ちょっと変わったね。あんた」
玲音「え、そう?」
樹莉「そうかな」
麗華「うん、なんかさ」
ありす「…」 ありす「で、ワイヤードじゃ、どんな噂になってるの?」
玲音「えっと。なんかゲームなんだって」
麗華「ゲーム?ネットワークゲームのこと?」
玲音「よく分かんない。私やってないから。でも、死んだ子たちってみんなそれにハマってたって」
樹莉「男子って好きだよね。そういうの」
ありす「ふーん、ゲーム。でもどうして」
玲音「私、う…」
クレープを急いで飲み込む玲音。
ありす「そんなに急に。ノドにつかえるよ」
玲音「だ、大丈夫。私、先に帰ってもいい?」
麗華「いちいち断んなくたっていいけどさ」
樹莉「何か用事?」
玲音「早く帰ってNAVIを組み上げたいの。まだ、ちゃんとしてないから」
樹莉「ふーん、友達よりマシンか」
玲音「え」
ありす「樹莉。よしなさいよ、そういう責め方」
樹莉「別に責めてないじゃん」
ありす「玲音、完成したら見せてね」
玲音「うん。じゃあ、ごめんね」
ありす「確かにあの子変わって来た。あ」
不意に犬のぬいぐるみをぶつけられるありす。
ありす「ああ、ごめんなさい。はい」
少女「ううん、私のほうが悪いの。お姉さん、ごめんね」 玲音「ログイン、れいん」
『Authorize』
玲音「メール…」
『Voice Mail』
『こんにちは、lain。君がくれた質問は僕一人じゃ解決できないので、僕の研究室の仲間に聞いてみた。
もし君が本当にプシューケ―プロセッサーを持っているのだったら、
多分、君の予想通り、発信はバリア部に設定すべきだ。
NAVIのマザーは大体、どこの製品でも規格が統一されているんだけど、多少の使用差はあるからね。
成功を祈ってるよ。じゃ、また何かあったら聞いてくれ』
玲音「…」 《クラブ サイベリア》
レイン「J.J.」
J.J.(DJの男)「ああ?」
レイン「ガキンチョたちがハマってたネットゲーム知ってる?」
J.J.「ああ、ファントマね。よしなって、あんたみたいな大人がやるもんじゃねえよ。
なあ、レイン。うっそ、マジ。俺も空耳聞くようになっちまったかよ。はあ」 少年「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ。
俺は、俺は、もうやめたんだ!関係ねえよ!」
ファントマの戦場に現れるれいん。
少年「うわっ、うわああ!!うう…うう…はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ」
NAVIを割る少年。 少年「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、ここはワイヤードじゃねえんだぞ!何で、何でこんな、はあ、はあ、はあ…」
れいん『待って。逃げないで』
少年「誰だよ!お前もPKかよ!助けてくれよ!」
れいん『私はそこまで行けない』
少年「何なんだよ!」
無数に現れる手形。
少年「あ、ああ!ふざけてんじゃねえよ!ああ…」
少女が現われる。
少年「くっ…う…うわあ…」
少女「ぐわあ!」
少年「ああ、ああ!ゲージファイブ!くたばれ!」
少女「ぐわあ!」
少年「くたばれ!くたばれ!くたばれ!くたばれ!」
少女が死んでも撃ち続ける少年。
少年「くたばれ!くたばれ!くたばれ!くたばれ!くたばれ!くたばれ!」
弾切れしたことに気付く少年。
少年「あ…あ…」 少年「僕、ただ怖かっただけで、ちっちゃい子だったなんて、そんなの。
僕、悪くないですよ。だって、全然知らなかったし。
ファントマは専用のクライアントアプリケーションなんで、
それを使ってワイヤードの中で戦うってゲームです。
僕はちょっと前に、非合法なサーバーから、そのアプリをダウンロードして遊んでました。
そのゲームは、僕らにはダンジョン型のアクションゲームっていうインターフェイスだったんですけど、
幼稚園で使ってるちっちゃい子用の鬼ごっこゲームと何故かリンクしてたみたいで」 『メールが届きました』
玲音「開いて」
『やあ、lain。君がファントマなんてものに興味があるなんて、知らなかったぜ。ふふふふふふ。
一応調べてみたけど、どうも解らん。
ああ、いや、ベースになったゲームは、ワイヤードでも珍しくもないタイプで、多分それを改造しただけだと思う』
玲音「…」
『問題はプログラム同士を複合させるという部分だ』
玲音「…」
『プロトコルに変な穴があるみたいなんだ。僕らの間では、これもナイツの仕業じゃないかって』
玲音「ナイツ…」
康男「玲音、ずいぶん慣れてきたようだね。ワイヤードとの付き合い」
玲音「うん」
康男「ひとつだけ忠告しておこう」
玲音「え」
康男「ワイヤードは、あくまでも情報を伝達し、コミュニケーションするための空間。
リアルワールドと混同してはいけない。忠告の意味、分かるかな?」
玲音「違うよ」
康男「え」
玲音「そんなに境界ってきちんとしてないみたいだよ。もうすぐ中に入れるんだよ。フルレンジ、フルモーションで、私をメタファライズさせて」
康男「そんなこといくら最新でも民生用のNAVIでは」
玲音「出来るよ。改造したから」
康男「プシューケープロセッサーか。しかし」
玲音「心配しないで。私は私だもの」
康男「そうかな」
玲音「…」 『玲音、どうして早くこっちに来ないの?』
その時赤いレーザービームが部屋の中に照らされていることに気付く玲音。
玲音「…あ」
外に黒い車が停まっている。
玲音「…」
赤いレーザービームは二つになった。
金髪の外国人と、アジア系の外国人がゴーグルのような機械をつけて立っている。
玲音「あっちへ行け。あっちへ行け!」
アジア系の外国人「うわ!」
その時、アジア系の外国人のゴーグルのような機械が割れた。
パソコンは再び動き出す。
黒い車は走り去った。 もし、それが聞こえているなら、それはあなたに語り掛けている
もし、それが見えるなら、それはあなたの… 『人はもはや、進化のしない生き物ではないのか。
ガンの発生率が他の動物に比べて極めて少ない。
人類はもはや進化出来ないという学説がある。
もしそれが本当だとしたら、なんと愚劣な生き物に進化してしまったものだ。
自分達を動かしている力のことも知らず。
ただ欲望を満たすためだけに肉体を維持している。
つまらないとは思わないか?
人間なんてそんなものでしかない。
そんな惨めな人間で居続ける必要はないんだ。
抜け出すための出口は、人間はやっと生み出せたんだからね』
玲音「何のこと?」
『ネットワーク。ワイヤードのことさ、れいん』
玲音「あなたは、誰?」
『僕は、神様だよ』 男A「何か食い行く?」
美香「…」
男A「ねえ、腹減らねえ?ふぁーあ。なあ、今度プール行かねえか?」 《渋谷》
たむろする若者達を見る美香。
美香「あーあ…」
群衆の悲鳴が上がるその中を、赤い車がそこを突っ込んでいく。
美香「…」 玲音「お話して」
人形『…』
玲音「ねえ、ねえ」
人形『…』
玲音「お話、して」
人形『どんな話を聞きたいの?玲音ちゃん』
玲音「うーんと、うーん。私が知らないこと」
人形『あなたが知らないことは、存在しないことだわ。
存在しないお話なんて、私は出来ないの。解ってるでしょ?』
玲音「…」
人形『じゃあ、こういうのはどうかしら。
出来事と言うのは、まず最初に預言があるものよ。
出来事は、預言があって初めて現実化するの』
玲音「誰?誰が預言をするの?」
人形『…』 『東京各地で、VCZX道路交通配信情報システムが、間違ったデータを配信。
特に渋滞している交差点などで、信号機と乗用車やトラックの自動走行プログラムが干渉し合い、
暴走するなどの事故が多発しました。
東京渋谷では、死傷者が出るなどの被害が出ておりますが、
情報庁では、既にシステムは普及しており、今後こういう事故は起きないと話しています』 玲音「…」
ローンのティッシュを受け取る玲音。
玲音「あ…」 美香「あ…」
美香もまたローン会社のティッシュを受け取る。
美香「チッ」
タロウ「あの」
美香「え」
タロウ「あの、ナンパして、いいっすか?」
美香「はあ…」
無視して立ち去る美香がタロウにぶつかる。
その時タロウが飲んでいたコーラが、美香の制服にかかる。
タロウ「あ」
美香「ああ」
タロウ「やっべ。またね!」
美香「ちょ、ちょっと!むかつく。あーあ、もう。これじゃあシミになっちゃうよ。ん?あ…」
美香がふとティッシュを見ると、そこに赤い字で文字が書かれていた。
“冥府で溢れている死者共は行き場を失うだろう”
美香「な、何よこれ。縁起悪。はあ。チッ」
女A「何あれ」
女B「やーだー」
男B「おかしいんじゃねえの」
赤信号の交差点で何かつぶやきながら佇む玲音。
美香「あ、玲音。なんなの…あいつ。あ!」
美香がふと新宿アルタビジョンを見つめると玲音が映るのだった。 玲音「…」
置物『預言は実行されるんだ、玲音』
玲音「それじゃあ、預言じゃないじゃない」
置物『いや、預言なんだ。
歴史と言うのは、リニアに流れている時間軸上にて、
ただ点として通過されるものではないんだ。それらは全て線で繋がっている。
いや、繋げさせられてるといったほうがいいかも知れない』
玲音「誰に?誰に繋げさせられているっていうの?」
置物『…』 ありす「玲音」
麗華「あんた、何やったのよー」
樹莉「私知らなかった。玲音ってば結構やるね」
ありす「もうそんなハッキーなこと出来るようになってたんだ」
玲音「何のこと?」
麗華「まーたとぼけんの?」
玲音「私、ほんとに…」
ありす「玲音がやったんじゃないの?」
玲音「何を?」 『昨日の午後、通信ネットワークに起こった異変は、故意に引き起こされた可能性が高いとして、
情報庁情報管理局が捜査を始めました。ネットワークが…』 《ハンバーガーショップ》
店員「合計948円になります。ちょうどいただきます。ごゆっくりどうぞ」
ありす「あ、また入ってるよ」
麗華「また?」
樹莉「何?」
ありす「スパムよ。無差別メール。しつこいんだこれ」
麗華「預言を実行せよだっけ?」
樹莉「どっかの邪教集団の宣戦布告とか?」
ありす「ちょっとこないだ、ワイヤードで知り合ったギークな子と話してて聞いたんだけど、
これを流してるのってナイツかもって」
樹莉「ナイツ?何それ」
ありす「すごいハッカー達の集団みたいな」
麗華「でもさ、ハッカーってつるまないんじゃないの?普通」
ありす「だよね。でもナイツはだから、集団っていうのも違うのかも知れない。
ただワイヤードの中ではすごい力を持っていて、影で色々やっているっていう」
樹莉「じゃ、やっぱし秘密結社じゃない」
麗華「ったくこんなことやってて面白いのかな」
ありす「何となくだけど」
樹莉「え」
ありす「面白いからとか、お金のためとかじゃない気がする」
麗華・樹莉「うーん」
ありす「…」 玲音「…!」
美穂『ワイヤードはリアルワールドの上位階層と見るのが適当です。
即ち、肉体の現実など、ワイヤードに流れる情報のホログラムでしかありません』
玲音「ママ?」
美穂『そもそも、肉体。人間の脳の活動は、シナプスの電気伝達によって引き起こされている、
極めて物理的な現象に過ぎませんからね』
玲音「私は…」
美穂『肉体の存在理由は、そうやって自己の存在を確認するためにあるだけ』
玲音「あなたは、私の、本当のママ?ねえ」 美香が家族全体の様子を見ている。
米を頬張る美穂。
康男が茶のお替わりを美穂に頼んでいる。
スープをぐるぐるとかき回している玲音。
美香「玲音」
玲音「え」
美香「この前さ、渋谷にいなかった?いい、別に」
茶を飲む康男。
米を頬張る美穂。
牛乳を見つめる美香。
気がつくと美香は赤信号の横断歩道にしゃがみこんでいた。
表情が無くなる人たち。 《ハンバーガーショップ》
震えが止まらない美香。
店員「ありがとうございましたー」
美香「!」
女子生徒A「ねえあの子さー、結構イケてると思わない?」
美香「…」
女子生徒B「ねえねえ、この前彼とどうだったの?ねえ教えてよー。いいじゃん」
美香は手を震わしながらコーヒーのフタを開けようとするが、そのままコーヒーもこぼしてしまう。
そしてコーヒーの液体に預言を実行せよと浮かび上がった。
美香「あ…な、何よ、預言って!」
誰もいなくなる店内。
美香「ああ!」 お店のトイレに逃げ込む美香。
美香「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ。なんだっていうのよ。
いつもだったら、パパやママや…!…も、もう。どうして…」
ドアの開閉音が響く。
美香「だ、誰かいるの?ねえ、いるんでしょ」
トイレのドアを開いてみると、明るくなり扉が閉まった。
その扉にビッシリと預言を実行せよと書かれていた。
恐怖を抑えられない美香。 玲音「あなたは、本当の私のパパ?」
康男『ワイヤードに流れているのは、単に電気的な情報だけではないのかも知れない』
玲音「え?」
康男『ワイヤードが形成されたのは、電気や電話などの発達の起源とするなら、
その時点で、もう一つの世界が生まれたという気がしてならない』
玲音「あの」
康男『このリアルワールドに神という存在は概念でしか存在しない。
しかし、ワイヤードならゼウス的存在が、普遍し得るのではないか』
玲音「神様?」
康男『神と呼ぶのが適当かどうかはわからない。少なくとも、神話に登場する、
それと同様の支配的な力を有しているとは思う』
玲音「私、神様と話したことがあるかも知れない」
康男『ワイヤードのゼウスは、その支配力を事によったら既に、
このリアルワールドに及ぼしてる可能性だってある。そう、預言という形で』
玲音「預言?」 家に帰って来て泣き崩れる美香。
ふと見上げるとそこにもう一人の美香が立っていた。
玲音「どうしたの?」
美香「別に。何でもないよ」
ホログラムになって消えるもう一人の美香。
玲音「…」 部屋に入ってパソコンを起動する。
玲音「今日は、誰?」 人と人が繋がれば、微かな声だって大きくなるわ
人と人が繋がれば、命だって長くなる
だから… 康男「玲音、入るよ。
…!
玲音」
玲音「…」
康男「…う」
玲音「…」 れいん「ありがとう。でもそこのレジスタだったらとっくに検証してあるよ。
ふふふ、おかしい、それ。
そうだね、次世代プロトコルが早く決まればいいのにね。そうしたら、私だって…。
ねえ、あなたたち。どうして私にそんなに親切にしてくれるの?
そんなこと思ってない。ただちょっと不思議って言うか…私、友達って少ないから。
ありがとう、ナイツのみんな。ふふ。そうそう、ふふ」 朝、通学路の電信柱に目をやる。
すると玲音は、子供が空を仰いでいる姿を目撃する。
玲音も急いで空を見上げる。
視線を落とすとその子供はもういなかった。 麗華「ずいぶん勉強熱心だね」
玲音「え」
ありす「ねえ、玲音。最近また戻っちゃったみたい」
玲音「え」
樹莉「また私達と遊ぼうよ。ひとりぼっちばっかじゃ暗ーい人生になっちゃうぞ」
玲音「うん、でもひとりじゃないよ」
ありす「え、誰」
玲音「みんなが来てくれるの。あ…そうじゃなくて、私が行くのかな」
麗華「なーんだ、ワイヤードのこと?ネットパルなんて、所詮友情なんか生まれないもんよ」
ありす「変なとこで麗華って古いよね」
樹莉「古いよね」
ありす「ふふふ」
麗華「いいよ、別に古くたって。でもさ、玲音。どんなとこと付き合ってんの?」
玲音「ひ・み・つ」
樹莉「えー」
麗華「もったいぶって。言っちゃいなよ」
ありす「…」 ありす・麗華・樹莉「あははははは」
ありす「ほら、これなら似合う」
麗華「うそ。止めた方がいい」
樹莉「私こっちの方がいいと思う」
ありす「えー、絶対こっちだよ。ね、玲音」 樹莉「ねえねえ、こないだのお店行こうよ。今日はアイス30分食べ放題なんだって」
麗華「もう」
ありす「あははは、あははは」
樹莉「お腹空いたー」
玲音「…」 青信号が点滅し終わって赤信号で渡る4人。
麗華「あれ」
ありす「何?どうしたの?」
4人は空を仰いでいる子供を見つける。
玲音「あ」
樹莉「何あの子」
麗華「うん、なんだろうね」
樹莉「早く行こう行こう」
ありす「行くよ、玲音」 ハンバーガーショップから出てくる4人。
母親に連れられているであろう子供2人が空を仰いでいる。
玲音も空を見上げると、そこにれいんが現われた。
ありす「玲音、ど…あ、うそ」
男「何だよ、あれ」
女「やだー」
ありす「れ、玲音」
玲音は空を仰ぐ子供達を鋭く見つめるのだった。
そして、また空を見上げると、そこには何もなかった。 美穂「最近帰りが早いのね。代わりに玲音の帰りが、近頃遅いのよね。推薦、取れそうなの?」
美香「ぁ…」
美穂「帰ってきた」
美香「ぁ、ぁ…ぁ、ぁぁ、ぁ…」 『東京の空に異常現象が発生しました。この現象に恐怖する街の人々は、不安を募らせています。
これは何者かによる確実なイタズラなのか、単なる自然現象なのか。それとも人為的な…』
玲音「ハロー、NAVI」
『ハロー、lain』
玲音「コネクト、ワイヤード」 口「あんたか、れいんてのは。
大したもんだねえ、そこまでリアルワールドの姿をメタファライズして、このワイヤードに来れるとは」
れいん「チェシャ猫気取り」
口「シシシシ。気取るも何も。俺のユーザーレベルじゃ、これが精一杯なのさ。
耳だけの奴の方が多いんだ。それに比べりゃマシだろう?」
れいん「無駄口はいい。早く情報を」
口「シシシシ。れいんを助けた。それだけでここらローカルじゃ俺は英雄だ」
れいん「ノイズの多い奴。小学生に流行ってる遊び」
口「遊び?子供の遊びなんていくらだってある」
れいん「とろい奴」
口「あれを遊びだっていうのはあんたの直感か」
れいん「子供には何だって遊びになるのよ」
口「おお、あーリザルトを呼び寄せたのか。なーるほど、この人なら答えを知っているかもしれない」
れいん「子供殺しの、科学者」
口「シシシシ。さすがれいんだ。自分でサーチしちまった。
リアルワールドじゃ個室病棟で死を待つただの老いぼれ。シシシシ。
シシシシ。俺は手伝ったんだぜ。少しはね。シシシシ。シシシシ。キッズって聞いてみな」
れいん「ふん、もう分かってる。道案内にもならないチェシャ猫。ホジソン教授、あなたの番よ。教えてくれるわね」 ホジソン「随分生々しい姿だね、お嬢さん」
れいん「キッズって?」
ホジソン「ああ、何と優しい時間だろう。リアルワールドの肉体が朽ちるまで私はここでずっと心安らかに過ごしていたい」
れいん「何が起こっているか知っているでしょ?キッズって何?」
ホジソン「美しい時間…永遠のような静けさ」
れいん「ホジソン教授、十五年前の実験データを見せて」
ホジソン「私は子供達を危険に晒すつもりはなかったんだ」
れいん「十五年前のことじゃない。今、子供達の間で流行っている遊び。あれは教授の実験の再現じゃないの?」
ホジソン「誰かがゴミ捨て場を漁ったんだろうよ。私は全てのデータを消したつもりだったが…」
れいん「ケンジントン実験のこと、教えて」 ホジソン「サイ、超心理的な能力は、大抵の子供は極微弱ながらも持っているものだ。
超能力という大それたものじゃない。ちょっとした勘だとか、コインを曲げるといった程度の物理力」
れいん「この頭についてるのは何?」
ホジソン「アウターレセプターと私達は読んでいた。それをあれが受ける。
これがキッズだ。一つ一つは微弱でも、子供達のその力を、もし束ねることは出来れば…」
れいん「何を期待したの?」
ホジソン「予測のつかないことだよ。それが見たがったんだ、お嬢さん」
れいん「何をさせたの?」
ホジソン「仮説をただ証明することだけが科学ではない。私はそう考えていた」
玲音「そうじゃなくて!ふっ、で、子供達のことは考えなかったんだ」
ホジソン「そう、仰る通り。アウターレセプターが受容した微弱な脳の電磁波をコンヴァートする、
一種の脳の一部の機能だけを肥大させたのは、KIDシステム、キッズというものの正体さ」
れいん「子供達のサイが投合された時にどれほどのエネルギーが動いたのか」
もういや!もう、いい!」 ホジソン「私はキッズを二度と復元出来ないように粉砕したよ。
しかし、どうやらあの機械の設計図面がワイヤードのどこかに流れ、時間の檻の中に沈殿していたようだ」
れいん「それを、誰かが見つけたんだ」
ホジソン「しかも、アウターレセプターなど使わずして現象を引き起こせるようにアップデートまでしてね。
エミュレーションで、あそこまで広範囲に影響を及ぼせるとは実に優秀だと言わざるを得ない」
れいん「それしか思わないの?もう子供なんてどうなってもいいの?」
ホジソン「私が何を思ったところで、あの子たちがリアルワールドに帰ってくるわけではないからね。
ましてや、今の子供達の事となると」
れいん「勝手なもんね。で、今それを使っているのは?」
ホジソン「お嬢さん、私は喋り疲れてしまった。あなたに会えてよかった。
あなたがワイヤードで何をしたいのか、どういう存在になろうとしているのか知りませんが、あなたは強いですよ。とてつもなく強い。
もしもこのワイヤードに神がいるのだとしたら、あなたは祝福された子供です。
れいん「私は、私別に…」
ホジソン「キッズをエミュレートをしているいたずらものどもの強さと別種の強さはどこからくるのでしょうね?」
れいん「いたずらもの?あ!」
ホジソン「それじゃ、私は失礼させてください。少々くたびれました。肉体の残り火の時間がなくなりました。私の望みも叶った」 玲音「うるさい!
あんたたち、何なの?どうして私に色々教えようとしてたのよ?
私もあんたたちのおもちゃだったの?全部遊びなの?何がしたいの、子供を使って。
ただ面白いから?自分達に出来て面白ければ何でもやるんだ?
ふふ、だったらただのサルだ!ふふ、あははははは。どうして声がないの?誰も答えないの?…あ」
その時玲音は、赤い光線が部屋の中で光ってるのを見た。
窓の外を見ると、黒い車に金髪の外国人とアジア系の外国人が立っているのを発見した。
玲音「あいつら!そうか!」 玲音「あんたたち!あんたたちがナイツね?そうなんでしょう?ナイツなんでしょう?」
金髪の外国人「伏せなさい」
玲音「え?」
玲音の部屋が爆発する。
玲音「何なの!?」
アジア系の外国人「あなたの部屋の冷却システムだ」
玲音「え?」
金髪の外国人「冷却システムにパラサイトボムを送り込んだのでしょう」
玲音「他人事みたいじゃない」
金髪の外国人「私達じゃない」
玲音「じゃあ、誰よ?誰がやったのよ!」
金髪の外国人「ナイツです」
玲音「え…あ…」
黒い車は走り去ってしまう。
そしてパトカーのサイレンの音が鳴り響くのだった。 そっとあなただけ、教えてあげる
あなたが知らないだけで、この社会で何が起こっていて、
何が進んでいるのか… 玲音「ううん、違うよ。
私は見ているだけ。
だって、ワイヤードの中の私って…。
うん。私じゃなくなるんだもの。
うん、よく分からない。
え?誰が?」 美香「ぁ…て…ぁ……ん…とぅ…ぅ…」
玲音「お姉ちゃん?」 玲音「お姉ちゃん、最近変わっちゃった。
さあ、それはどうかな。
うん。
知らないよ」 ねずみ『俺は知ってるんだ。
ワイヤードとリアルワールドはリニアに繋がってるんだって。へへ。
俺はどこにだって存在できるんだ。
肉体はどこにあったって、意識だけはどこへでも飛ばせられる』 女「イモーターコンソーシアム夕食会のお時間です」
男「はい」
『メール』
男「あと三分。そしたら下で」
女「分かりました」
男「今度は何をして遊ぶんだい?」 フリーター「へへへ、そーれ!
へへへへへ。そうさ、ばかめ。お、俺はお前らとは違うんだ。へへへへ、へへへへへ」 玲音「リアルワールドなんて、ちっともリアルじゃない」
ありす「玲音、大丈夫?」
玲音「え、何が?」
ありす「最近、玲音また戻ってる。
私達、玲音にもっと元気になってもらいたいと思って、あっちこっち連れてったりして…
ほんとにそう思ってたんだ。でも、もし玲音が嬉しくなかったんだったら、謝る」
玲音「そんなこと、ない。嬉しくないなんて、そんなこと…そんなことない!」
ありす「よかった」
玲音「ありす!」
ありす「うん?」
玲音「あの、ありがとう、心配してくれて」
ありす「友達、でしょ?じゃ」 アナウンサー『本日午後、情報庁情報監視センターのファイヤーウオールが何ものかのクラッキングにより破壊され、
現在ワイヤードネットワークの情報が混乱しています。
このニュースは今この時間に流しているものですが、このニュースが届くのは明日、
もしくは昨日になる事もありますので、ご注意ください』 『ナイツがやったらしい』
『ナイツってなに?』
NAVI『ナイツ。
ワイヤードで大きな影響力を持つと言われる算法騎士団。
構成するメンバーは一切不明。
単に情報を操作するばかりでなく、
非合法な情報機器の開発・流通も行っているとされる』
『れいんが狙われたって』
『れいんって誰?』
NAVI『れいん。それに関する情報は、0件です』 『れいんなら最近見ないな』
『れいんって誰よ?』
『女の子さ』
『女の子?』
『強いんだ!』
『何が強いの?』
『メタファライズ、意思、パワー、目の光、存在』
『ね、聞いてもいいかい?』
『なんだい?』
『あんた、ひょっとしてナイツのメンバーじゃないの?』 残された時を、退屈に生きよう。
神の祝福を
誰だ、おめぇ 主婦「はーい」
運送屋の男性「宅配便でーす」
主婦「あ、判子な。ごめんなさい、お待たせしちゃって」
運送屋の男性「いや」
主婦「はい、判子。え、なに?」
運送屋の男性「あ、NAVIっすよ。新型でしょ?いいなぁ」
主婦「ふふ、内職して買っちゃった」
運送屋の男性「俺なんかこんなバイトしてても、全然買えないっすよ。はい」
主婦「頑張んなさいよ」
運送屋の男性「はぁ…そうっすよねー頑張んないと。
分かんないことあったら、聞いてください。俺、教えますから」
主婦「ふーん、教えてくれるの?」
運送屋の男性「ええ。自信、あるんっす」
主婦「そうやって暇そうな主婦を誘惑してるんだ」
運送屋の男性「いや、そんな、まあ、そうかな…」
男の子「ただいま」
主婦「じゃ、ご苦労様」
運送屋の男性「チッ」 男の子「ママ、あとでキンヤ君内に遊びに行ってもいい?」
主婦「ゲームだったらネットでやればいいんじゃない?」
男の子「だからそのゲームの仕方を教わるの」
主婦「ワイヤードはリアルワールドと一緒なのよ」 玲音が通学路を歩いていると、黒い車が停まっているのを発見する。
その車から、金髪の外国人とアジア系の外国人が出てくる。 玲音「な、なに?」
アジア系の外国人「岩倉玲音さん、私達と一緒に来てくれませんか」
玲音「え?」
金髪の外国人「無理にとは言いません。これはお願いです」
アジア系の外国人「私達はあなたに肉体的な危害を加える意図はありません」
玲音「誰なの?」
金髪の外国人がゴーグルを外すと、玲音はひるむ。
金髪の外国人「私達と来ていただければ、お教えします」 ねずみ『俺はこんな所にいたくないんだ。分かるだろ?俺はここまで出来るんだ。
見てくれよ!俺はリアルワールドとワイヤードの垣根を取っ払ってるんだ。
なぁ、お願いだ。資格は十分あると思うよ。俺も入れてくれよ、ナイツへ。
褒めてくれるだろう?俺が自分一人で突き止めたんだ。
これがあんたたち専用の極秘回線なんだ。なぁ、俺を仲間にしてくれよ!
だっ、誰だ?』
そこに微笑む玲音の姿が映る。 《橘総合研究所 新橋事務所》
玲音「あ…」
男「ちょっと、こっちへ来て。
どうしても本社のファイヤーウオールに認証されない。
アプリ側でやれることはやったんだが。
やっぱり、こんな旧式じゃだめなのかね。ずっとこれでやってきたからね。
今更新型のNAVIに移行する気力が湧かない。
もうこの歳だし。
君のように若ければ…」
玲音「そこのジャンパ」
男「え?」
玲音「これとこのジャンパ、抜いてみてください」
男「すまないが、お願いできるかな」
玲音「え?」 Communication OS
いい雰囲気で立ち上がってる‥ 男「ほう」
ねずみ『れいんか?あんたナイツだったのか!?』
玲音「!」
ねずみ『そうなんだろ、れいん。知らなかった』
れいん『バーカ』
ねずみ『あぁ、待ってくれよ。
ね、ね、この間のガキ共を使った遊びは傑作だったね!
でも、でも僕ならもっと凄いこと思いつくよ。
だから頼むよ。僕も仲間に入れてよ、君達ナイツの…』
玲音「……」 男「ワイヤードには、リアルワールドの政治的な国境はないと言った。
寝言をほざく無政府主義者、悪ふざけが革命だと思い込んでるばか者。
そんな手合いならいくらでもいる。
しかし、ナイツはどうもそういうのとは違うらしい」
玲音「ナイツ…」
男「君がどれだけ自覚的にやっていたのかは知らないが、
君自身のワイヤードでの存在は極めて不自然なものだった。
そしてどうやらナイツはそんな君に特別の関心を抱いたようだ」
玲音「あ、あの…な、なにを、言っているのか、私」
男「ナイツ。君は彼らと一時は直接対話をしていた」
玲音「で、でも、私、あの、なにが」
男「ともかく、奴らは君を何かに利用したがっているらしい。
我々にとってそれはどんな手段をとってでも阻止せねばならないのだ」
玲音「あなた、なに?誰?あなた達」
男「…」
金髪の外国人・アジア系の外国人「…」 ねずみ『ああ、秘密は守るさ、勿論だとも。
君達はデウスを信仰しているんだよな。
僕も従うよ。
でも、本当なのかい?
ワイヤードに神様なんているのかい?
僕にはまだ信じられないけど…
でも、仲間に入ったらもっと知ることが出来る。
そしたら、信仰だって持てるよ。
え?き、君達かい?
来てくれたんだね!
僕を迎えに!』 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています