――日本の政治家の、どこが最悪なのですか。
 自分の言葉で語ることができなかった。政治家自身のメッセージを発することができなかった。それが最悪だったと思います。

 こんな混乱ですから、人が間違ってしまうのは当然のこと。ならば、「アベノマスクなんて配ったのはばかげたことでした」「Go Toを今やるのは間違っていました」ときちんと言葉で認めればよいのです。国民も「間違うことは仕方がないよ、これからちゃんとやってくれればいいよ」と思うはずです。

 それなのに多くの政治家は、間違いを認めずに言い逃れするじゃないですか。だから余計に政治に対する不信が広がっていくのです。そういう、日本の政治家の根本的な欠陥がコロナではあらわになった気がします。

 米国の大統領だったフランクリン・ルーズベルトは、炉辺談話(ニューディール政策に当たり、ラジオ放送で展開した国民向けの政策説明)をやりました。英首相だったウィンストン・チャーチルも戦争中、ラジオで国民に語り掛けました。

 これはどちらも僕はまだ生まれていなかったけれど、ジョン・F・ケネディのことなら、当時中学生だったのでよく覚えています。彼もきちんと自分の言葉を発信できる人でした。