村上春樹氏インタビュー、
「首相が紙に書いたことを読むだけの日本は最悪」
 コロナ禍が浮き彫りにしたのは、
日本の政治家が最悪という事実――そう話すのは、小説家の村上春樹氏だ。

 ――大みそかには年越しの生放送を予定しているそうですが、そこにはゲストとして山極寿一さん(京都大学前学長)と山中伸弥さん(京都大学iPS細胞研究所所長)を迎えるとか。

 僕は学者だとか芸術家だとかいった仕事をする人は、どちらかというと浮世離れしていなければならないと思っています。片足は地面に着いているけれど、もう一方の足はどこか別の所に突っ込んでいる。それぐらいじゃないと、そもそも学者や芸術家にはなれません。

 そしてこういう人の意見は、世の中にとっても大事なのだと思っています。「一歩、向こう側」に足を置いている人の意見がね。なぜならそういう人の意見は必ず、「固まった意見」に風を吹き込むのですから。つまり、政治家のような人が発する、世の中の「ある種の総体としての意見」を崩すわけです。