“自主的な残業”を強いられる教員〜校舎の清掃は誰の役割なのか?〜 2

 『給特法』(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の第6条では、
「教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする」とされている。
そして政令の基準とは、いわゆる「超勤4項目」と呼ばれているもので、内容は以下とされている。
 1、生徒の実習
 2、学校行事
 3、職員会議
 4、非常災害、児童生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合等

 上記に含まれていない教室の掃除を教員が強制され、それが残業になるようなものであれば、給特法に違反することになる。
だからこそ、そうならないようになっている。

 どの学校でも校長が「命令」するのではなく、教員が「自主的」にやっているということになっているのだが、
この「自主性」というのが魔法の言葉で、教員を過重労働に追い込んでしまう言葉にもなり得るのだ。
また、過労死認定を争うときにも、この「自主的だったか否か」が争点となる。
命令による過重労働なら過労死が認定されるが、自主的に行った業務であれば過労死として認められにくくなるからだ。

 だから、教員の仕事の多くは「自主的」にやったことが前提となる。
遅くまで職員室に残ってやる仕事も、自宅に持ち帰ってやる仕事も…「やらなければならない仕事」のすべてが「自主的にやった仕事」になってしまうのが現状だ。
校長や教頭が命令できない仕組みになっているからだ。
給特法のために、教員の仕事は「自主的」が建前になってしまっているのである。