コロナ禍で「日本はニューヨーク化する」とは何だったのか(2)

経路不明の感染者が大勢いる、という反論が出るかもしれませんが、
本人に心当たりがあっても、たとえばそれが風俗などなら正直に調査に協力するでしょうか。
エイズもドラッグユーザーの静脈注射で広がりましたが、感染者が違法ドラッグを使ったと正直に話さず、実態がわからないことが多かった。
確率でいえば、コンドームなしでも性行為でエイズに感染するのは、100回に1回くらいです」

 新型コロナも同じ状況ではないか、というのだ。そして、口うるさく問われるソーシャルディスタンスも俎上に載せる。

「マスク着用の習慣がなかった欧米で重視されているもので、マスクをしていればソーシャルディスタンスを保つ必要はない。
満員電車でクラスターが起きていないのはそのためです。
東京都のロードマップではイベントが人数制限され、ライブハウスはステップ3でも営業できませんが、合理性がありません。
ライブハウスも換気に気をつけ、お客さんはマスクをしてステージから距離を置き、飛沫を浴びないようにすればいいのです。
過剰な自粛が強いられているのは、感染者が出たときに政治家や役人が責任をとりたくないからで、
みな欧米のソーシャルディスタンスの考え方に引きずられ、新型コロナがとてつもなく怖いと洗脳されているかのようです」

 だが、たとえばインフルエンザは怖くないのか。
国立感染症研究所の推計では、今季のインフルエンザの推計患者数は、過去10年で最少だったが、それでも728万人になる。
ちなみに昨シーズンは1200万人超。
5月26日にもワイドショーで、前日の13人というコロナによる死者数を取り上げ、
MCが「そんなに亡くなるインフルエンザはない」と述べたが、
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授によれば、

「インフルエンザが流行した年の超過死亡者数は、推定1万5千人から3万人」
という。
致死率約0.2%とすれば、今年は新型コロナ対策が奏功し、1万人以上の命が救われたことになる。
裏返せば、昨年は対策不足ゆえ1万人以上の命が失われたとはいえないか。
そうであるなら、新型コロナだけに目を向け恐れるのが、いかに愚かであるか気づかされるだろう。

デイリー新潮