コロナ禍で「日本はニューヨーク化する」とは何だったのか(1)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d7ed04da723a420fa5808a69e023f55024361b07

 東京都内のコロナウイルス新規感染者数が14人に増えた5月24日、小池都知事は100年前のスペイン風邪を例に挙げ、
「特に第2波はウイルスの変異が疑われまして、致死率も第1波にくらべて大幅に上昇したと言われています」と、恐怖を煽った。
都民を信頼し、節度ある行動を期待するのでなく、恐怖を煽り、自らが負うリスクを抑えるのが小池知事流である。

 だが、日本の心臓たる首都の、経済という血流を止めてまで、感染対策は徹底すべきものだったのか。
京大大学院医学研究科非常勤講師の村中璃子医師は、

「感染者数も死者数もまだ増えている欧米では、国境封鎖の解除も決まっています。
流行が収束に向かっている、というのが表向きの理由で、貿易や国交がこれ以上とまると経済的に厳しいからです。
夏のバカンスを楽しみたいという、日本人には考えられないような理由もある。
一方、被害がずっと少なかった日本では、感染者がまだ少しでも増えることを恐れ、生活を元に戻す議論が進みません」

と指摘し、こう話す。

「基本再生産数を2・5として3月初めに提示された当初の流行予測モデルでは、
接触8割減を達成できなければ、日本もあと3日でニューヨークのように流行爆発すると言われていました。
しかし、4月22日の発表では、平日の都市部では6割台の減少しか達成できていなかったのに、そうはなりませんでした。
3月14日時点で2・6だった東京の実効再生産数は、4月10日時点ですでに0・5。最初の流行予測モデルが間違っていたことになります」

 京大ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授も、こう説く。

「専門家会議の資料を見ると、緊急事態宣言が出される前の3月27日に、流行がピークアウトしていたことがわかる。
すると緊急事態宣言は過度な対策で、それ以前の自粛で事足りていたことになります。
また広がるのは接触感染か飛沫感染で、人が吐いた息や飛沫からの感染は、一定以上の量を浴びたり、
相当長時間密閉された換気の悪い室内にいたりしないかぎり、起こらないと考えられます。