小島慶子の今週の気になるコト――新型コロナで浮き彫りに。日本のIT化を阻む"お伺い文化" [2]

"ハンコ文化"もそうですね。
あれは儀式。
「ハンコをいただくためにわざわざ足を運んで参りました」「どんなに頑張ってもハンコをいただけないと身動きが取れません」という状況をつくり出し、
相手の自由を制約するための儀式です。

私の友人も外出自粛中に上司のハンコをもらうためだけに出社しました。
権限のある者が、そうでない人たちに膨大な手間暇というコストを強いることで成り立っているハンコ支配。
これが染みついた日本の組織で、IT化が進むはずがありません。
エラい人が下々に苦行を強いる儀式は多いほどいいのです。

6年前に家族の拠点をオーストラリアに移して驚いたのは、いろんな分野でIT化が日本よりも進んでいたこと。
中学生以上はPC持参で通学しサイトにログインして学習を進めるし、銀行や行政の手続きはオンラインで済むし、電子決済は当たり前。
コロナ危機でも、保健省が感染者との濃厚接触歴追跡アプリを導入しました。

これは豪州が進んでいるというより、日本が遅れているんだよなと実感。
今やアジアでは中・韓・台などは時代の先端を行くのに、日本は5G時代が来る前にそろそろファクスとハンコをやめようかと言っているありさまです。
"お伺い文化"が変わらない限り、アナログ日本は健在かも。