外国人が受験する日本語試験の合格証が偽造され、SNSを通じて日本国内で大
量に販売されていることがわかった。日本語試験を巡っては、ベトナムで留学希
望者による替え玉受験が相次いでいるが、偽物の合格証を購入するのは、すでに
来日している留学生が多いという。日本での就職などに使われているとみられ、
試験団体は対策を検討している。

 「約5年前から、数え切れないほど売りさばいてきた。月30件は依頼があ
る」

 偽造されているのは、公益財団法人・日本国際教育支援協会(東京)が国内で
実施する「日本語能力試験(JLPT)」の合格を証明する「認定書」。日本語試験として最も信頼性が高いとされ、難易度が高い順に「N1〜N5」の5段階
の試験がある。

 他にもFBで偽認定書を販売する業者は多数ある。多くは製造拠点が中国とさ
れ、女も「中国在住」と説明。依頼者が名前や住所、顔写真などを送れば、1週
間程度で中国から国際郵便で現物を届けている。

  一方、来日後も日本語試験を受ける留学生は多い。卒業後に日本で働くこと
を希望する場合、企業などから認定書の提示を求められることが多いためだ。

 入国前審査では、日本政府が試験団体に名前を照会して偽物を見破ることも可
能だが、企業は外見で確認するしかないという。ある人材派遣会社の代表は「本
物であるという前提なので、精巧であれば見抜くのは困難だ」と話す。

■逮捕者も

 中国から届く偽認定書が、空港で発見されるケースも相次いでいる。
 昨年4月に新設された在留資格「特定技能」でも、N4以上が資格取得の要件
の一つになっている。

 試験を行う日本国際教育支援協会は「認定書が偽造され、企業などで使われる
と試験の信頼性が損なわれる。再発防止策を講じる」としている。