兵庫県内の中学校教員だった30代男性は数年前、部活動の顧問や
事務処理などで多忙を極める中、男性教頭から暴言などのパワハラを受けていた。
 パワハラのきっかけは「よく覚えていない」。赴任直後から、
座っている椅子を蹴られたり、宴席で「おもろいこと言われへんのか、あほ」と
怒鳴られたりした。「職員室でも毎日のように、どつかれた」と振り返る。
 見て見ぬふりだった同僚には相談できないまま、半年後、胃の不調から
食欲不振に陥った。家族から「感情の起伏がなくなった」と心配され、
初めて心療内科へ。「抑うつ状態」と診断され、休職後に退職した。
 男性は「自分では覚えていないが、一時は周囲に死をほのめかしていたようだ。
あのまま学校に残っていたら、どうなっていたか」と話す。
 数か月前から塾の講師として働く。子どもを教える仕事にやりがいを
感じながらも、「学校はまだ怖い」。通院は今も続き、抗うつ剤や睡眠薬が
毎日手放せないという。