3.権限関係なく、教師だから分かること
 2は教師としてを通り越して人としてアウトだが、教員としての権限を抜きに可能なこともたくさんある。
大人が想像する以上に、生徒というのは未熟で、世界が狭い。
その中で、生徒は多かれ少なかれ悩んでいる。
悩みを保護者に・友人に・教員に相談したり、あるいは誰にも相談できず表に出さなかったり……
生徒によって色々だろうが、『悩みの相談相手』に教員を選ぶ生徒は少なくない。
そして、生徒の抱えている悩みの中には、大人ならばあっさり解決策が見つかるような物もあったりする。
あるいは教科書の事例そのままレベルでありきたりに、承認欲求で悩んでいたりする子もいる。
そして、生徒が教員に悩みを相談する場合、たいていは『教員ならば誰でも良い』わけではなく、
生徒から見て”良い先生”である。といっても、生徒から見た良い先生と大人から見た良い先生はそれほど違うわけではない。
あるいは完全な『相談』という形を取らなくとも、授業で少し空き時間が出たときや休み時間の雑談、授業中の私語……
そういったものから教員は「生徒が何に悩んでいるか」が(生徒が思っている以上に)分かる人もいる。
が、そうやって小さな糸口から生徒の悩みを把握できる先生というのはやはり『良い先生』なのだ。

 ……つまり。2とは逆に”生徒の悩みにも気づいてくれる、親切な先生・良い先生”であるとその分『教え子の攻略法も分かる』。
恋愛で口説く攻略法ならばまだいいのだが、もはやそっちの攻略法どころではなく、
『こうすれば騙して体の関係に持ち込めるんじゃないか』や『こいつなら性格的に、脅せば言うことを聞くだろう』
というセキュリティホールを教員の前で丸出しにしている生徒すら想像以上に多い。
とはいえたいていの場合、教員は攻略法が分かっても実行はしない。
その理由の1/3は人間・大人・教師としての職業倫理からで、1/3は発覚したときのリスクと天秤にかけた上での判断で、
1/3はそれをするほど教え子が魅力的ではないという、それだけの理由だ。
隠蔽することに自信があれば、あるいはその理由を乗り越えさせるほど生徒が魅力的ならば……
そうやって、教え子に手を出す教員が出てくるのだろう。