非常に充実した対談だと思います。
現代日本の神経症症状は、アメリカの属国であることを認めようとしない
「自己欺瞞」に発するという主張は多いに頷ける。しかし、
日本の病はそれだけではない。本書は、この日本の病について、「
内的自己」「外的自己」「自己欺瞞」といった概念装置を駆使しつつ、
岸田、小滝が日本の歴史や戦後政治の諸問題をたたき台にして、
大変な博識で縦横に論じきったものである。そして、その議論のどれもが、
日本政治のメタ理論的なものであるため、現実を根本に立って理解しよう
とする人には参考となること必定だ。
日本には日本独自の政治的・歴史的コンテクストが厳然として存在する。
それを知れば、日本人として考えるべき諸問題について、まともな思考なり
議論なりがもっ!と可能になるはず!なのだ。
本書は、岸田の「唯幻論」が実らせた、豊穣なる果実といえるだろう。


日本人はなぜかくも幼稚になったのか