しかし、5月23日からまた市内で新型コロナウイルスの感染確認が相次ぎ、小学校1校でクラスター(感染者集団)が発生したとみられるなど小中学校の児童生徒にも感染が広がった。29日夕、工場を念入りに清掃して帰路に就こうとしていた従業員らに開始見送りの知らせが入った。

 「給食を楽しみにしていた子供たちや食事作りに追われる親御さんたちの顔が真っ先に浮かんだ」。冨永常務はそう気遣う。工場に積み上げられた小麦粉や米は日持ちするためしばらく保存できるが、操業できなければ売り上げにはつながらず「この事態が続けば経営は更に厳しくなる」。

 市教委によると、市立小中学校の給食は1日約7万食。各校の給食室は給食再開に向けて調理器具の洗浄やグリーンピースなど冷凍食品の準備を進めていたが、再開中止が決まってからは一転、野菜の配送予定を止め、冷凍食品も業者に頭を下げて引き取ってもらうなど対応に追われた。

 小倉南区の小学校の女性調理員(48)は「再開に向けてモチベーションが上がっていただけに残念です」とがっかり。給食室は大きな釜を並べて数百人分の料理を作るため、夏はサウナ状態の暑さになる。例年は春から徐々に体を慣らしていくため「いきなり暑い時期に始まると熱中症になる人もいるのではないか」と不安そうに話した。【松田栄二郎、浅野翔太郎】

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最終更新:6/4(木) 22:47
毎日新聞