朝鮮人が井戸に毒を入れたのがデマだと最初に言い出したのは、
後藤新平内務大臣兼帝都復興院総裁。

後藤新平は、
「正力(松太郎)君、朝鮮人の暴動があったことは事実だし、自分は知らないわけではない。
だがな、このまま自警団に任せて力で押し潰せば、彼らとてそのままは引き下がらないだろう。

必ずその報復がくる。報復の矢先が万が一にも御上に向けられるようなことがあたら、
腹を切ったくらいでは済まされない。

だからここは、自警団には気の毒だが、引いてもらう。ねぎらいはするつもりだがね。」
と正力に語り、正力はあえてデマ作戦で風評の打消しに徹した。