新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査
(国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/467-genome/9586-genome-2020-1.html

SARS-CoV-2のゲノム上にランダムに発生する変異箇所の足跡をトレースすることにより、感染リンクの過去を遡り積極的疫学調査を支援している。
中国発の第1波においては地域固有の感染クラスターが乱立して発生し、“中国、湖北省、武漢” をキーワードに蓋然性の高い感染者を特定し、濃厚接触者をいち早く探知して抑え込むことができたと推測される
しかしながら、緻密な疫学調査により収束へと導くことができていた矢先、3月中旬から全国各地で “感染リンク不明” の孤発例が同時多発で検出されはじめた。
このSARS-CoV-2 ハプロタイプ・ネットワーク図が示すように、渡航自粛が始まる3月中旬までに海外からの帰国者経由(海外旅行者、海外在留邦人)で “第2波” の流入を許し、
数週間のうちに全国各地へ伝播して “渡航歴なし・リンク不明” の患者・無症状病原体保有者が増加したと推測される。
この海外旅行者を契機とした同時多発と3月中旬以降の行動制限への理解が不十分だったことを鑑みても、由来元が不明な新型コロナウイルスが密かに国内を侵食し、現在の感染拡大へ繋がったと考えられる。
(中略)
第3、第4の波が来ることは必然であり、今後、クラスター発生を最小限に留めるためにも迅速な情報公開と効果的な感染症対策の構築を図っていく