学校の子供にフェイスシールド、の怪|オオカミ少女に気をつけろ!(5)

そもそも、学校では新型コロナのクラスターはないか、あるとしても稀なものとされている。
日本小児科学会によれば、オーストラリアにおいて、15の学校で18人の患者が発生し、863 人の濃厚接触があったにもかかわらず、その後に感染が確認されたのは2人だけだったという。
また、ヨーロッパでは、9歳の患者が、症状が出たまま3つの学校やスキー学校で112人と接触したにもかかわらず、誰にもうつしていなかった事例もある。

もちろん今後も感染例は出るとは思うが、10代以下にとっての新型コロナは、この程度のものなのだ。
それに引き換え、はるかに多数の死者数を出してきたインフルエンザにおいては、毎年のように、学校、幼稚園、保育園を中心にクラスターが多発している。

例えば、東京都感染症情報センターの報告によれば、2018-19年に東京都内で発生し、臨時休校になったり保健所に報告されたりしたインフルエンザの集団感染事例は、小学校1,807件、中学校454件、高校75件。
保育園、幼稚園、医療機関などを合わせて全体で4,575件だ。
2017-18年は全体で5,298件、2016-17年は4,363件にものぼる。
他にも学校では、感染力が極めて強い麻しんや、ノロウイルスなどの流行が何度も起きていたはずだ。
だが、フェイスシールドを装着させるようなことなどなかった。

自治体や教育委員会は、あまりにも「新型コロナが怖い」という感情だけに引きずられて、
冷静な判断はもとより、去年までどうだったかということすら忘れてしまったのだろうか。
実態と解離した「感染対策」を子どもに強いて、「安心・安全」などと標榜するのは、
事実やデータよりも感情にとらわれた末に「やってる感」をイメージ的に演出したいという大人のエゴイズムであり、
それは、責任逃れの体質から生まれるものではないかと私は思っている。

「アフター・コロナ」とは、コロナ以前のことを忘却して、トンデモを乱発するという意味なのだろうか
大人ならば、事実、実態に即した冷静な判断で、社会を健全に引っ張っていきたい。