北九州市、無症状の濃厚接触者にもPCR検査 感染確認急増に影響か (2)

 この結果、従来ならば気付かなかった可能性が高い感染者も顕在化した。
児童5人の感染が確認された市立守恒(もりつね)小(小倉南区)も、最初に感染が確認された児童以外の4人は無症状だった。
市幹部も「感染確認の増加は、検査対象を拡大した時点で想定された事態だ。」と受け止める。

 感染者数が落ち着き、保健所などに余裕が出てきたこともあり、PCR検査の対象を広げる動きは全国的な傾向だ。
京都市は5月7日以降、濃厚接触者全員を検査の対象にし、実際に陽性患者の把握につながったケースもある。
厚労省も国内外の研究で発症の2〜3日前から人にうつす可能性があることが分かってきたとして、5月29日、濃厚接触者全員を対象にするよう都道府県などに伝えた。
厚労省の担当者は「陽性者を速やかに見つけるため」と説明する。

 福岡県新型コロナウイルス感染症調整本部メンバーで、飯塚病院(同県飯塚市)の的野多加志(たかし)・感染症科部長は
「無症状者を含めて検査し患者を把握することは、行政が第2波の予兆をつかみ早期に抑えるのに重要なツールになる。
検査や病床の態勢が整っている地域では全国的にもそういう流れになるだろう」と指摘。
その上で北九州市の現状について、市内の広範囲に感染経路が分かっていない患者もいることから
「市中感染が広がっている恐れがある」と改めて警鐘を鳴らした。