2008年度予算編成の焦点の一つである公立小・中学校の教職員定数問題で、政府は14日、
文部科学省の約7000人規模の増員要求は原則認めず、代わりに退職した元教員らを数千人規模で
非常勤講師として採用する方針を固めた。
 大量退職が始まった団塊世代のベテラン教員の経験を教育現場に生かせる上、正規採用よりも
人件費が少ないため財政負担も軽くなり、メリットが大きいと判断した。
 非常勤講師は、定年退職した元教員や、社会の様々な分野で活躍してきた人などを採用する
方針で、学校で実際に授業を受け持ってもらう。勤務形態などは今後詰める。
 文科省は、改正学校教育法で教頭と現場の教員の橋渡し役となる「主幹教諭」を置けるように
なったことや、子どもと向き合う時間を確保することを目的に、3年間で約2万人の大増員を
計画していた。08年度予算の概算要求で7121人の増員と、そのための167億円(地方分も
合わせると504億円)の予算を求めた。
 しかし、教職員の定数については、昨年6月に施行された行政改革推進法で、児童・生徒数の
減少に対応し、削減すると定めている。文科省の大幅な増員要求が実現すれば、行革推進法の
趣旨に反する。町村官房長官は12日の記者会見で、「行革推進法を無視して教員定数を増やす
ことができるか。そう簡単なことではない」との見方を示していた。
 非常勤での採用なら、行革推進法にも反しない。さらに、元教員は新人教員とは違って
即戦力として期待できる。
 非常勤講師を活用すれば、予算も大幅に圧縮できる見通しだ。教員の給与は国が3分の1、
地方が3分の2を負担しており、地方の負担も軽くなる。

▽News Source YOMIURI ONLINE(2007年12月15日3時6分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20071215i401.htm