校内での感染予防策、どこまでやれば? 過剰な対応には弊害も 医師2人に聞く(3)

■学校の閉鎖で失われるもの

南医師は今後について、
「地域の学校を一斉に閉じるとか、教育活動を大幅に制限するという対応は、このウイルスに関して適切とは思えません。
徹底的にやらなくても予防はできるうえに、やればやるほど失われるものが大きくなってしまうからです」と語ります。
家で過ごすことによる子ども自身のストレスのほか、保護者の負担が仕事への支障につながったり、家庭内のぶつかり合いや虐待を招いたり
「回り回っていろんなところに弊害が出てしまいかねない」と心配します。

日本小児科学会の予防接種・感染症対策委員会は5月、さまざまな論文をもとに、会員や医療関係者に対して「医学的知見の現状」を出しました
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20200520corona_igakutekikenchi.pdf)。

「患者で小児が占める割合は少なくほとんどは家庭内感染」「現時点では学校や保育所でのクラスター(集団感染)は極めて稀(まれ)」
「ほとんどの小児症例は経過観察または対症療法で十分とされる」としたうえで、
「教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖が子どもの心身を脅かしている」と警鐘を鳴らしています。

具体的には「学校閉鎖は教育の機会を奪うだけでなく、屋外活動や社会的交流が減少することも相まって子どもを抑うつ傾向に陥らせている」などと指摘しています。

6月に入り、北九州市の小学校でクラスターとみられる事例が公表されましたが、それまで小中学校でのクラスターはほぼありませんでした。
また、子どもは無症状や軽症が多いと報じられています。