学校でフェイスシールド、必要か、過剰か? 感染症対策のプロに聞いてみた(2)

■感染管理の専門家の見解は?

感染対策のプロである聖路加国際病院、QIセンター感染管理室マネジャーの坂本史衣さん
「学校でのフェイスシールドが必要となる場面はほぼ無いと言ってよい」
学校では近い距離で話しをするときに、互いにマスクをつけることで十分感染予防はできるという。

感染予防策の一つとして、「ユニバーサルマスキング」と呼ばれる対策がある。
「現在、新型コロナウイルスを感染させるピークは発症2日前頃にあると考えられている。
このとき、まだ無症状の感染者が発声することで、口から出てくる飛沫が真正面にいる人の顔にかかり、ウイルスの伝播がおこるリスクが指摘されている」
これを防ぐために、他人と近距離で会話するときにはマスクを着ける。

「押さえておきたいのは、ユニバーサルマスキングの目的は飛沫を出さないこと。吸い込まないことにあるのではない。
もちろん、ユニバーサルマスキングは万能ではないので、手洗いなどのその他の対策と組みあわせて実施することが勧められている」
「マスクから飛沫が漏れ出ることを心配する方がいるが、
普通の大きさの声で話をする場合、飛沫がマスクの隙間やマスク自体を通過して出てくることは考えにくい」

坂本さんは、権威ある医学雑誌「The New England Journal of Medicine」で公開された、マスクの有無でどのぐらい飛沫が飛ぶのかを目に見える形にして実験した動画を見せ、こう述べる。
「マスクのある状態と無い状態で男性が3回声量を変えて発声しているが、マスクを着けている場合、ほぼ飛沫が出ていないことが分かる」
「以上からマスクを着けた近距離での会話で飛沫感染が起こるとは考えにくい。
医療現場でもマスク対マスクの場面ではフェイスシールドの着用を求めていない」
「食事の際にはマスクを取り外すが、対面で会話をしながらでなければ問題ない。
学校でのフェイスシールドが必要となる場面はほぼ無いと言ってよい」

フェイスシールド着用によるデメリットも指摘。
「学校で使用すると医療現場ではありえないほど装着時間が長期化し、呼気で視界を妨げ、暑さがこもるなどのデメリットの方が大きい。」