輸入コンテナの「迷い猫」に注意 狂犬病ウイルス流入の危険、検疫所「隔離・通報を」

輸入されたコンテナに迷い込んだ猫などの動物から狂犬病ウイルスが国内に流入する恐れがあるとして、動物検疫所(横浜市磯子区)は
注意を呼び掛けている。日本国内での感染による狂犬病の発症は60年余り確認されていないものの、致死率が極めて高い。
発生している海外から輸入されたコンテナ内で猫などが見つかる事例が後を絶たず、10年間で187頭・羽。
捕獲されず逃げ出した場合もあるとみられ、発見時は隔離した上で通報するように求めている。

狂犬病ウイルスは犬に限らず、猫やキツネなど哺乳動物であれば感染する可能性がある。
北米ではアライグマ、スカンク、コウモリなどの感染が確認されている。

狂犬病予防法に基づき犬や猫などの輸出入検疫を行っている動物検疫所によると、輸入したコンテナに迷い込んだ状態で発見された
「迷入猫」は毎年、全国各地から8〜25頭が報告され、2009年〜19年5月16日の間に181頭。
猫以外では、カナダからのコンテナ内で09年にアライグマ、米国から15年にスカンク、16年にウサギ4羽がそれぞれ見つかり、捕獲された。

発見時に衰弱したり、すでに死んだりしている事例がある一方、逃げ出して報告されていない場合もあるとみられる。
これまでに捕獲した猫などからは狂犬病ウイルスは検出されていないという。

狂犬病による死者の約9割がアジアで発生している。18年は16頭の迷入猫が見つかり、コンテナが輸入された国・地域別の内訳をみると、
中国と台湾が各5頭、韓国、メキシコ、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポールが各1頭。
いずれも農林水産相が指定する狂犬病清浄国・地域ではない。19年は5月16日現在で12頭だった。

コンテナは港内だけでなく、内陸の工場や物流施設などさまざまな場所まで直接運ばれ、扉が開けられる。そのため、動物検疫所の担当者は
「迷入猫を国内に逃がさないように、全国の輸入関係者や物流事業者、保健所など意識と情報を共有する必要がある」と強調する。

動物検疫所は、迷入猫が見つかったと通報があれば職員が現地に赴いて捕獲する。
「万一、猫などに人がかまれた場合はすぐに保健所に連絡するように」と話している。

◆狂犬病 狂犬病ウイルスによる感染症で、傷口からウイルスが入り、神経を伝わって脳を侵す。
発症後の有効な治療法はなく、発熱、頭痛などの症状が出て、ほぼ100%死亡する。世界では毎年約5万人が命を落としている。
狂犬病清浄国は日本のほか、アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、米ハワイ、米領グアムの6カ国・地域。
日本国内の感染で人が発症した最後の事例は1956年で1人が死亡。
その後、70年にネパールで犬にかまれた1人が、2006年にはフィリピンで犬にかまれた2人が、それぞれ帰国後に発症して死亡した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190630-00000004-kana-sctch
https://www.kanaloco.jp/article/entry-178400.html