神奈川県警環境課と川崎署は21日までに、歯科医や歯科技工士の資格がないのに一
般家庭で“訪問診療”したり、自宅で義歯作りをしていた「ニセ歯科医」を歯科医
師法と歯科技工法違反の疑いで逮捕、横浜地検川崎支部に身柄送検するとともに、
ニセ歯科医の自宅から治療器具41点を押収した。
捕まったのは東京都大田区大森東5丁目、元歯科医見習須藤春雄(41)。
調べでは、須藤は57年2月下旬からことし1月13日までの間、5回にわたり横浜市鶴
見区古市場富士見町、無職Aさん(56)ら3人の自宅で歯を削り、治療代として計1
5万2000円を受け取った。また須藤は昨年12月、自宅の作業場で大田区の歯科医Bさ
んから頼まれ、義歯計121個を加工、代金計22万1500円を受け取った。
須藤は中学校を卒業して間もない32年から49年まで、都内の歯科医数ヵ所で見習
いをするうち歯の治療法を覚え、52年ごろに独立、53年ごろから「出張治療」していた。
須藤は、Bさんからの依頼だけで1年間に700万円分の義歯を加工、「出張治療」と合わせ月に平均25万円の実収入があった、と自供しているが、同署は他にも余罪が
あるとみて追求している。患者は口コミで須藤を知り、「歯医者に出かけて待たさ
れるよりずっと楽」と、「モグリ」とうすうす気付きながら須藤の治療を受けて
いたといい、「腕の良さ」も評判だった。
同署はBさんが須藤を無資格と知っていて加工を依頼したかどうかも調べている。