10年追いかけた王の背中、再開の望みを、ロードエルメロイ二世は諦める。
召喚の機会、バトルロワイヤル、聖杯戦争に参加しないという決断をする。

まあ、イスカンダルはすでに死んだ人だし。
その存在は役目を終えてるのに、呼び出して戦わせるとか、そもそも迷惑な話ではあるよな。
イスカンダルの果たしたかった夢、世界征服なんてのも現代では叶えようもないわけで。

会いたいとか、今度こそとか、王の偉大さを証明したいとか、生者の執着に過ぎないんだな・・・。

「死者に囚われた男は厄介だ、面倒なところに引きこまれないように目を離さないでやれ」
と獅子号さんが忠告してくれたけど。

ロードエルメロイ二世は、いくつかの事件を経て、自分自身の戦場があることを知る。

イスカンダルの聖遺物を悪用する敵、自分を慕う弟子や義妹や生徒たちとの関係性。

過去の執着を繰り返すには、彼はあまりに真摯に今を生き過ぎていたんだなw

彼のもがいてきた10年が、築いてきたものが、彼自身の人生を、ある道として形づくっていく。

アニメのラストで、彼は最果ての海で王と、父と、追いかけた憧れと対面する夢を見る。

「お前の隣に並ぶことはできない。道行きの苦しみも、その果ての栄誉も、
ロードエルメロイ二世の戦場で、現実で得るべきものだから」

剛毅な王は、「そうか」、「楽しかったか?ここまでの旅は、」と問うてくれる。

かつての少年は「当たり前だ、お前の背中を追う旅なんだから」と応える。

最果ての海オケアノスの絵は、何度かアニメ内で出てきた演出なんだけど、
父に憧れ追い求める少年、臣下の心の間は、そこに王はいない。

自分の道を行くという決断ができた夜、初めて王の姿が顕われる。

再会し、対等に並び立ち、決別の儀式をすることができる。

それが自立だ。王の臣下の少年から、彼は自分自身の王と成った。