バスと地下鉄の併用で混雑緩和へ
もうひとつの取り組みはバスから地下鉄への分散化。京都市は、地下鉄の利用を促進するために「地下鉄・バス1日乗車券」を
今年3月に1200円から900円に値下げし、一方バス1日乗車券を500円から600円に値上げした。「地下鉄・バス1日乗車券」を利用することで
たとえば、京都駅から金閣寺に行く場合、北大路駅まで地下鉄で行き、そこからバスに乗り換えるルートも選択できるようになる。
今年3月から6月までの「地下鉄・バス1日乗車券」の売上は前年比で3倍になり、一方バス1日乗車券の売上は落ちていることから
まだ実数の検証はできていないものの、高見氏は「意図した分散化にはつながっているのではないか」と手応えを示す。
このほか、混雑解消の秘策として、特定の季節の特定の路線で無料の地下鉄振替券の提供も実施している。東山方面でやり始めたのが最初だ。
自動車部担当係長の澤進一郎氏によると、ピークシーズンには、銀閣寺方面から京都駅に戻る午後3時以降のバスが非常に混み合う。
道路も渋滞し、京都三条から京都駅まで1時間もかかってしまうこともあるという。そこで、東山三条バス停から地下鉄東山駅に
乗り換える客に対して、無料振替券を渡した。澤氏は「東山三条でバスを空かせば、その先の祇園や清水寺で乗客を乗せられる」と
その狙いを話す。

今年のゴールデンウィークには同様の取り組みを、金閣寺から京都駅に戻るルートでも始めた。
バスで北大路バスターミナルまで行ってもらい、そこから地下鉄烏丸線で京都駅に戻ってもらう動線を促した。
外国人旅行者の誘導には課題が残るが、一定の利用があったため、今年の紅葉シーズンでもこの無料振替券を継続する考えだ。
ただ、これは対症療法的な取り組み。澤氏は「理想は900円のワンデイパスがもっと普及すること」と明かす。