小学生時代のコジは読書の鬼として有名だった。
あるエピソードを紹介しよう。
梶原作品の主人公も真っ青な壮絶な貧乏暮らしをしていた小学生のコジにとって
図書館で借りてくる本の読書が最大の娯楽だった。
洪水や台風の日まで図書館に通うコジに周囲の大人たちは
「危険だから今日は家にいろ」と忠告したが
そのたびにコジは「読書のために死ねるなら本望!」と叫んで出ていった。
ある台風の日。
ずぶ濡れになって図書館に入ってきた小学生のコジを見た受付のお姉さんが叫んだ。

「この子は将来きっと日本の文學界を背負って立つ人気作家になるわ!」

それから半世紀後の今。
お姉さんの予感が的中した。