小島一志先生名言集
「僕が幸運だったのは国語の教科書をそっちのけでロシア文学ばかり読んでいたのを面白がってくれた学校の先生の紹介でチェーホフのみならずトルストイ、プーシキンなど多くの作品の翻訳を手掛けられた中村白葉先生にお会いできた事です。中村先生には当時流行していた日本文学ではなくまだマイナーだったロシア文学にはまり込む子供が面白く思えたのか、様々な話をして頂きました。今思えば当時の中村先生は晩年であり、質問ばっかりする僕は迷惑をかけてしまったのではないかと思いかえす事もあります。
しかし中村先生が僕に何度もおっしゃり、後に先生の碑文にも刻まれる事になった「事実は唯一無二のもの、その重さは比較を絶する」という言葉は僕自身が執筆する時、常に羅針盤のように道筋を照らしてくれているのです。」