お釈迦様の言葉として残されているお経は、仏法の真実を指し示している「指」であると、聞かせていただきました。

 それは、「月を指す指」というたとえのお話であります。

 「月を指す指」のたとえでいうならば、仏法の真実とはまさしく月そのものであります。

 お釈迦様は、月をつかんで私たちの前に差し出すことは出来ませんから、月を指さして下さいました。

 従って、お釈迦様の指(お経)そのものが真実のみ教えなのではなく、その指し示した先にある月(仏法の真理)こそが真実なのでありましょう。

 お釈迦様の指し示した指を自分のものとするために、多くの修行者たちは自らの身を修め、行いを律し、心を清らかにして、お釈迦様の示して下さった真実の世界に近づこうと努力をしてきました。

 しかしながら、その努力をすることの出来る人は、本当に限られています。