さて、稽古についての話で。
これは、法形演練の時に「こういう人は困る」という事例ですが…
まずは「しっかりと攻撃をしない攻者」。
法形演練は、基本としては「こういう攻撃が来た時にこういう反撃をする」という条件設定で稽古を行ないます。
反撃をされるのが嫌で、最初から逃げ腰で、ちゃんと突かない・蹴らない・掴まない・引かない・捩らない…
こういう攻撃に対しては良い稽古は出来ません。
ただ、この裏返しとして、「(防具を着けていないに)反撃を強く当てる守者」も困ります。

少林寺拳法の法形は、条件設定を守って行えば、守者側の反撃が成功するように作ってあるので、双方が正しく行えば、攻者は避けようが
なく反撃が入ってしまいます。
そこで(防具を着けていれば別ですが)威力のコントロールをせずに反撃を入れたら、それは攻者はちゃんとした攻撃をしたくなくなります。
また、これは柔法で有りがちですが「技の掛からない自慢」の人も困りますね。
守者のやり方が違っていて掛からないのは仕方がないですが、こういう人は結構な確率で「攻めの条件設定を変えている(例:「逆小手」の
稽古と言っているのに、ちゃんと引かずに自分の手首を活かして突っ張ってくる、等)」or「逃げ腰でちゃんと攻めていない(腰が引けた
状態で軽く握っただけで、押しも引きも捻りもせず、守者が技を掛けようとすると、体を捻っ
て逃げようとする、等)」というケースが散見されます。
双方が合意の上で「応用の研究をしよう」という時なら良いのですが、技の「原理」を学んでいる段階でこれをやられると、非常に困りま
す。「学び」の妨げになるので。

「今はどういう内容の稽古をしているのか?」を指導者も稽古する側もきちんと認識して、その内容に沿った稽古を行うことが大事ですね。