ここで、あえて使われている言い回しの……
【士族のなれの果て】と言う表現も、冒頭の
【断絶にされた鈴木家】にかかってそうに思う。

断絶後、鈴木家の人間がどうなったかは
わからないけれど、自分らの土地を奪われ、
柳生(六助)家を逆恨みしてても、不思議は無い。

で、鈴木家の人間だったと推測した上で。
そのニセモノの正体は柳生厳周じゃないかと思う。

つまり、柳生三五郎に成りすます前段階として、
柳生六助・厳直のニセモノをやっていたんじゃないかと。
元は武士で地元の人間だから、事情通で有り。
中流武士としての教養もあった訳だ。
息子の厳長の贋作の腕も、厳周の世代から
受け継いだものと考えられる。.

こころの兵法の作者はスットボケタ書き方をしつつ、
情報を残すんで、そういう意図で書いてそうに思う。
……ただ、あくまで、こころの兵法の作者が
当時の取材から推測しただけのモノなのか?
それとも、竹カゴを受け取ってた証言者が
実際は、もっとハッキリした証言をしてたのか?
……そこらは、わからない。

柳生厳長の売った伝書(おそらく、当人が作った偽書)を
柳生鎮雄が古書店に手を伸ばし、すべて買い取り。
(↑新陰流道業六十年回顧録 55Pより)
それが『資料 柳生新陰流』に鎮雄所有の名義で載ってたのも、
皮肉な話だが……どうもニセモノが作った厳直の竹カゴも
鎮雄が買い集めてそうなのが……なんとも皮肉な話だ。