カキーーーーーン。
「ワアアアアアアアアアアッーーーー」
大きく弧を描くボールを見て、にわかに色めき立つスタンド。
ボールはスタンド目掛け飛んで行く。

 歩to弓枝 第一話 2人で日ハム×西武戦。

(スタンド)
歩「ちょ・・・、ゆ・・弓枝ッ!!ボ、ボールがこっちに飛んで来てるよッ!!」
弓枝「えッ!!ど、どこッ!?」
歩「ほ、ほらッ、あそこッ!どんどんコッチに来るよ!」
歩の指差す先にある打球を見つけると弓枝は手に持っていた『LOVE イチロー』と
書かれた誰の応援だか分からない応援ボードを歩に勢いよく突き出す。
弓枝「歩ッ!ちょっとコレ持ってて!」
歩「・・・・?トイレ?」
弓枝「トイレじゃなくて、ホームランボールッ!ホームランボール捕るのッ!!」
後、数秒でボールが着地するであろう箇所。
そして弓枝と同じ目的でその箇所に押し寄せる人々を指差し弓枝が言う。
歩「あッ、危ないよ!あんなに人が集まってるしッ!」
心配する歩を余所に弓枝は応援ボードを脇に挟み、顔の前で手を合わせ、歩を急かす。
弓枝「歩、早く持って!ねッ!お願いッ」
歩「・・・・・・・もぉ、」

・・・・・弓枝は一度言い出したら聞かないんだから・・・・・・・

的な顔をして、手を差し出す歩。
歩「はい」
出されたその手に応援ボードを差し出す弓枝。
弓枝「はい」
出された応援ボードをスルーし弓枝のおっぱいを持つ歩。
歩「はい」


飛び込む打球。
沸く球場。
「ちょッ、そこッおっぱいッ!」の声も聴こえない。