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【カーリング】楓【小説】
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0001かえで ◆.sVGZg0ELQ
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2006/03/19(日) 08:17:21ID:/tBKnlOu
小説など書いたことのない俺が
カーリングを題材に執筆してみるスレです

さわりの部分だけカキコしてみますので
ご意見、ご感想を聞かせて下さい。

基本的にSage進行でやっていきたいと思います。

では、よろしくお願いします。
0002かえで ◆.sVGZg0ELQ
垢版 |
2006/03/19(日) 08:26:11ID:/tBKnlOu
 「短い」
 ベンチに座る林にも判るほど
それは頼りないショットだった。
 
 弟6エンド、サード小野寺の2投目は
目標地点に達することなく
与えられた力を使い果たした。

 セカンド目黒萌絵は何度目かのため息をついた。
 リード寺田桜子は呆れたように目を伏せた。

 そしてスキップ本橋麻里は・・・
 大きく頭を振った。
0003かえで ◆.sVGZg0ELQ
垢版 |
2006/03/19(日) 08:37:37ID:/tBKnlOu
<2頁>
 
 メンバーの誰もが小野寺の実力を知っている。
その強さ、そして弱さもすべて。

 1勝3敗で迎えたアメリカ戦。
このゲームを落とせば、2009年世界女子カーリング選手権の
決勝トーナメント進出が厳しいものとなる。

 初戦のスイス戦こそ大勝したが
その後3戦を連敗した。

 その原因が小野寺の不調のせいであることは、
カーリングを知る人間ならば誰もが理解できたはずだ。
0004雪と氷の名無しさん
垢版 |
2006/03/19(日) 08:42:30ID:WDwgr9f4
糞スレ立て過ぎ
自治で目に余るカーリングスレ立てが問題になってる現状がわからんのか
これだからにわかカーリング厨は(r
削除依頼出しておけよ
0005かえで ◆.sVGZg0ELQ
垢版 |
2006/03/19(日) 08:46:40ID:/tBKnlOu
<3頁>

 集中力を切らした日本女子チーム、
正確に記すなら「チーム青森」は最終エンド、
3投を残しギブアップを宣言した。

 試合から2時間後、宿舎の一室でミーティングが開かれた。
最初に口を開いたのは本橋。
小野寺に対する不満の言葉だった。

 「歩ちゃん、やる気あるの?!」

 怒りをこめた糾弾の言葉。
しかし、それを諌める物はいない。
その場にいた全員が同じ思いだったからだ。
0006雪と氷の名無しさん
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2006/03/19(日) 08:52:20ID:pYdABEcj
>>1
むりりん
0007かえで ◆.sVGZg0ELQ
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2006/03/19(日) 08:56:41ID:/tBKnlOu
<4頁>

 本橋がどれほど小野寺を慕っているか
林はよく知っている。

 だからこそ、本橋の言葉に込められた「思い」が
林には理解できた。

 「ゴメン・・・」
 小野寺が消えそうな声で言った。
それに続く本橋の言葉をさえぎるように
小野寺は林の方へ向き直った。
 
 「・・・弓枝ちゃんゴメン・・・。明日からお願い」

 言い終えると同時に、それまでこらえていた涙が
小野寺の眼から溢れた。


0008かえで ◆.sVGZg0ELQ
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2006/03/19(日) 09:06:07ID:/tBKnlOu
<5頁>

 「歩ちゃん、でも・・・」

 林の言葉が聞こえていないフリをして、
小野寺は足早にドアの方へ向かった。

 ドアノブに手をかけたまま数秒が過ぎたが、
何かを断ち切る、或いは、何かに決別するように
小野寺は部屋を出て行った。

 重苦しい沈黙の中、コーチである小林が言った。

 「明日はサード林でいく。予選ラウンド突破は厳しくなったが、
出直すつもりで明日からの試合を戦おう」
0009雪と氷の名無しさん
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2006/03/19(日) 09:47:48ID:0vfMS+VB
「一緒スレ」で今みたいに鳥つけて続ければいいのでは?
カーリングスレが乱立しすぎなので、一人の創作のために1スレってどうかと思う。
1000まで使い切るから他スレで間借りできないってのなら仕方ないかもしれんが。
0010かえで ◆.sVGZg0ELQ
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2006/03/19(日) 09:56:18ID:/tBKnlOu
>>9さん
 解りました。
2CHもまだまだ初心者なもので、ご迷惑かけてしまいました。

アドバイスありがとうございました。
0011雪と氷の名無しさん
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2006/03/19(日) 10:49:28ID:r4IdQvIL
小野寺=サード
マリリン=スキップ
林=リザーブ

設定がコレな時点で付いて行けない
0012雪と氷の名無しさん
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2006/03/19(日) 13:27:08ID:y6UCOiEz
スレ立てしてトリップつけて初心者って。確信犯の痛い本橋ヲタだろ。
全く、春だね。
0013雪と氷の名無しさん
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2006/03/20(月) 16:20:18ID:82gsn1k0
全然創作なんかじゃなく、既存の報道の焼き直しだろ
0015雪と氷の名無しさん
垢版 |
2006/03/21(火) 03:48:13ID:i+LMUj+U
男子カーリングにして試合をアグレッシブに書けば?
サイドストーリーよりもスポーツ物は試合そのものが重要だろ。
0016雪と氷の名無しさん
垢版 |
2006/03/29(水) 09:02:48ID:3LtzPeBG
執筆が嫌になったのかww
0017雪と氷の名無しさん
垢版 |
2006/04/23(日) 20:04:23ID:jg5lLFDr
興味の失せたカーヲタ晒しage
0018雪と氷の名無しさん
垢版 |
2006/04/29(土) 20:52:03ID:9nLamZJG
楓アイル
0019雪と氷の名無しさん
垢版 |
2006/05/06(土) 22:13:45ID:Gh6WfwY6
>15
さっき、試合でやった六尺兄貴凄かったです!ガチムチの色黒兄貴がイエス連呼で
ストーン投げられブラシでこすってました。俺もくわえさせられてストーン食らい無様に
テイクアウトさらしました。8点取られたときは一瞬引いたけど、兄貴の「いやなら
止めていいんだぜ!」の一言で覚悟決め、生まれて初めて握手求めました。そ
の後、脇・チンゲも刈られてビンビンのマラ、思いっきりしごかれ派手にガチムチ
兄貴の顔に飛ばしました。スッゲー男らしく気持ちよかったです。また行くとき
カキコして下さい!帰ってから丸刈りの頭見て、また感じまくってます!
0020雪と氷の名無しさん
垢版 |
2006/05/07(日) 05:48:10ID:6XvN86mm
>>4 >>12
もう立ててしまったスレに途中でちゃちゃを入れて企画倒れにすんじゃねーよ。
モマイらがちゃちゃを入れることで糞スレになるんだよ。
確かにスレ立てすぎはあるけど、面白そうなスレもあるんだから全面否定すんじゃねー。
モライらこそスレあらし、糞スレづくりの張本人だ。
0021雪と氷の名無しさん
垢版 |
2006/05/07(日) 05:59:13ID:6XvN86mm
>>4
こいつバカか!
削除依頼なんかだしてすぐ削除になると思ってんのか、アホ!

>>12
ナニ言ってんだかわかんねーよ。
もうちょっと勉強してから、カキコするよーにしようね、ガキ!
0024雪と氷の名無しさん
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2006/05/07(日) 15:57:57ID:eqEbECcI
>>23
かえでの執筆断念宣言キタワァww
0025雪と氷の名無しさん
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2006/05/07(日) 16:41:15ID:904LA3RP
死ねば
0027その0 一緒スレ700 ◆6o71hPpWcY
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2006/05/19(金) 00:51:07ID:MR4sHjnc
 生まれてこのかた、この私が、これほどまでに大量のレンズの標的にされ
たことがあっただろうか。私がこれまでにもっとも注目を集めた出来事とい
えば、ある競技大会に出場し、あれよあれよという間に3位に入賞してしま
ったことくらいだろう。その時でさえ、レンズの数はこの十分の一にも満た
なかったはずだ。

 私が今いる場所は、五輪で活躍した二人のアスリートの引退会見の席上だ。
雛壇というのだろうか、記者の人たちよりも一段高い場所に座らされている。
そして私は、こともあろうにこの二人の後継者として、私の左隣に座ってい
る少女とともに選出されたのである。目の前のテーブルにはたくさんのマイ
クが不揃いに並んでいる。この後、このマイクたちを通して、私の声が日本
中に中継されるのだ。

 腿の上で軽く握っていた手が、自分の意思とは切り離されているように勝
手に震えている。その手の上に私の隣の少女、いまや私にとってかけがえの
ない親友が片手をそっと重ねてきた。思い起こせば、この少女との出会いは、
桜が散って間もない5月初旬のことだった。
0028その1 一緒スレ700 ◆6o71hPpWcY
垢版 |
2006/05/19(金) 00:53:31ID:MR4sHjnc
 青森でこの冬一番の話題と言えば、何を差し置いてもカーリングだろう。
青森県代表のカーリングチーム「フォルティウス」が、日本代表としてトリ
ノオリンピックで大活躍し、一躍時の人となったのである。オリンピック後
に開催された日本カーリング選手権大会の期間中などは、マスコミやファン
の人たちによって青森市内及び近郊のホテルが占領されてしまった、などと
いう噂を聞いたほどだ。

 そして私、須藤真美も、この冬カーリングに関わった一人である。

 スポーツ店の陳列棚のどこを探しても冬物商品など見つからない季節にな
ろうというのに、フォルティウスの話題は尽きることがない。
 今も始業前の教室で男子が騒いでいる。「CMの小野ワロスw」とか「ゆ
りりんの胸に顔を埋めてえ!」とか「林田さんになじられたいいぃぃい!」
とか言っちゃってんの、もう見てらんない。

 かくいう私も、小野さん命なんですけどね。いやいや、小野さんなんて言
ったら罰が当たります。「菜摘お姉さまっ!」もうこれだね!
 できることならば直々に、菜摘お姉さまにタイを・・・じゃなかった、デリ
バリーを直されたい!!

「ところでよ、小野と林田がこのままチームを抜けちゃったら、補充メンバ
ーを入れないとヤバイだろ。こうなりゃカー娘も、テレビ局とタイアップし
て、全国オーディションでもやりゃいいんじゃねえの?な、いぐねいぐね
?」
 また能天気な男子がアホなこと言っちゃってるよ。モーニング娘。をパク
って、テレビでオーディションかよっ。菜摘お姉さまが仰るとおり、カーリ
ングはスポーツなんだから、勘違いしないでよね。

 そりゃ私だって、小学生の頃にはモーニング娘。に入りたくて、応募した
ことくらいあるわよ。一時審査で落とされたのは、近所の商店街に設置して
あったインスタントの証明写真ボックスがオンボロだったからという、ちゃ
んとした理由だってあるんですからね。

 それに、菜摘お姉さまはフォルティウスをやめるんじゃなくて、ちょっと
休養するだけなんだからね。必ず戻ってきてくれるんですから。
0029その2 一緒スレ700 ◆6o71hPpWcY
垢版 |
2006/05/19(金) 00:55:53ID:MR4sHjnc
「ねえ真美。あんたさぁ、フォルティウスの新メンバーに立候補してみた
ら?」
 隣の席の泰子が突然こっちに話を振ってきた。
「え、あたしが?」
「そうだよ、なんたって真美は高校選手権3位のスキップさまじゃん、うま
くいきゃリザーブくらいに滑り込めるかもよ」

 確かに私はこの冬、カーリングでちょっとばかり活躍しましたよ。たった
4ヶ月の練習期間で高校カーリング選手権大会、通称カーリング甲子園に出
場できて、ビギナーズラックで3位に入賞までしちゃいました。大会後は地
元のテレビにインタビューされたりして、ちょっぴり有名人気分も味わえち
ゃったりして。でも、それもほんの一過性のもの。今じゃ誰も私のことなん
か覚えちゃいませんから、残念!

 カーリングの技術だって、準決勝戦での一方的な展開、あれが本当の実力
なんだよね。圧倒的に有利な後攻なのに、連続スチールを決められちゃって、
もう手も足も出ませんでした。私のドローショットが下手っぴーなのは置い
ておくとしても、ドローを難しくするように確実にセンターガードを置いて
くるし、弾き出せない位置にカマーランドを決めてくるし、負けたのはもう
明らかに技術と戦術の差だよ。3位になれたからって自惚れるほどずうずう
しくないですよ、私は。

 それでも、第6エンドだったかな。サードの真理ちゃんが私の指示したコ
ースに絶妙のウェイトで投げてくれて、春香と舞っちががんばってスウィー
プしてくれて、狙った通りのダブルテイクアウト&ステイのスーパーショッ
トが決まった時の感動は、忘れられない。

 スキップって、みんなの最高の力を引き出すことが一番の喜びなんだって、
その時思った。それと同時に、連続スチールをされたのは、全部スキップの
私のせいなんだと、痛感した・・・。
 周りの人たちはよくがんばったって褒めてくれたけど、私は泣いた。家に
帰って一人になったとき、1点も取れなかったことが悔しくて、大泣きして
しまった。

 そういえばなんて名だったかな、私たちを破ってそのまま優勝したチーム
のスキップの子。同じ学年なのに、本当に凄いと思った。彼女はおそらく子
供の頃からカーリングの英才教育を受けてきたのだろうから、私のような付
け焼刃じゃどう足掻いたって歯が立たないよね。あーあ、もっと早くカーリ
ングの魅力に気付いていたらなぁ、なんて言ってもしかたないよねぇ。私も
努力しだいで、あんな凄いカーラーになれるのだろうか。死ぬ気でがんばれ
ば、追いつくことができるのだろうか。
0030その3 一緒スレ700 ◆6o71hPpWcY
垢版 |
2006/05/19(金) 01:04:17ID:MR4sHjnc
「ねえちょっと、聞いてるの。真美ってば!」
「・・・えっ?ええ〜っ、無理だよあたしなんて。まぐれでメダルもらっただ
けだもの」
 危ない危ない、一瞬別の世界に行ってたかも。この妄想癖はなんとかしな
いといけないな。

「でも短期間で上達したのは事実なんだからさ、あんたマジで才能あるんじ
ゃないの?」
「ないない。それにあたし程度の実力の人なんて、いくらスウィープしてテ
イクアウトしても追いつかないくらいいっぱい居るよっ」
「・・・真美さん、そこは笑ってあげるべきなのでしょうか〜?」
「うへへ・・・。ところでさ、今朝からあたしの後ろにあるこの机は何なのか
なぁ?」
「ああそれ。転校生らしいよ、さっき職員室で話してた」
「え、この時期に?」

 ゴールデンウィークも終わり、とっくに桜も散ってしまったこの中途半端
な時期に転校生。これは無い頭を使わずとも『訳有り』という言葉が浮かん
でくる。どんな『訳有り』なんだろうと想像する間もなく、担任の先生が教
室に入ってきた。

「起立!、令!、着席!」
 号令は私の役目だ。
「今日からこのクラスに新しい仲間が加わることになった、さあ、入って」
 現れたのは女子だった。結構可愛い子だな。でも眼鏡のせいでちょっと神
経質そうに見えなくもない。あれ?どこかで会ったような気が・・・。でもそ
んなはずないよね?

「おおみやあんなと言います。父の仕事の関係で北海道から引っ越して来ま
した。よろしくお願いします」
 黒板に自分の名前を書き終え、深々と下げた顔が正面を向いた時、何故か
私と視線が合ったような気がした。それもなんだか棘があるような・・・。

 もう一度黒板を確認すると『大宮杏奈』と書いてあった。・・・大宮・・・あっ。
こんなことってあるのだろうか、つい先刻まで考えていた、同じ学年で憧れ
のスキップ、まさにその人じゃないか。ど、どうして貴方が・・・。

「それじゃあみんな、仲良くやっていこうな。席は窓側の、そう須藤の後ろ
の席だな。須藤はこのクラスの委員長なので、分からないことがあったら須
藤に聞くんだぞ。それじゃあ、この前の続きから始める・・・」

 えっ、それだけ?何の説明もなしなの?彼女は常呂町のカーリングエリー
トのはずなのに。青森に引っ越してきたのにまさかそれを先生が知らないな
んて事は・・・。
 彼女が私の横を通った時、一瞬無言のプレッシャーを感じたような気がし
た。


続くかどうか不明
0031雪と氷の名無しさん
垢版 |
2006/05/19(金) 22:30:33ID:c2d3NZaa
>>27-30
生まれてこのかた、
まで読んだ
0032雪と氷の名無しさん
垢版 |
2006/05/20(土) 02:40:39ID:5I7N/m6O
と、とにかく続きを希望してみようw
0033その4  ◆6o71hPpWcY
垢版 |
2006/05/26(金) 23:42:03ID:XtQBSStX
 一時間目の授業はちっとも集中できなかった。背中に感じる視線が気にな
ってしかたがなかったのである。彼女はあの大宮さんに違いない。なぜこん
な時期に転校してきたのだろうか。それよりも、彼女はこっちでもカーリン
グをやるのだろうか。私たちのチームに入ってもらえるのかな。そうなった
らうれしいかも。

 でもうちのチームは今4人ちょうどだから、彼女が入ったら一人あふれち
ゃうよね。彼女のポジションはスキップだから、私があふれちゃうかも、ガ
ーン。でも彼女と一緒にやれたら色んなことが勉強になるだろうな。そんな
ことを考えているうちにチャイムが鳴った。それとほぼ同時に、『3年C組、
須藤真美と大宮杏奈、至急校長室に来るように』突然校内放送が流れた。

 ええ〜、私ぃ?校内放送で名前を呼ばれるなんて、17年生きてきて初め
ての経験だよ。
「ちょっと真美、何やらかしたのよ〜」
 泰子が他人事だと思って、お気楽な笑顔ではやしたてる。男子たちもなん
かわいわい言ってるし。
「知らないよ、それに大宮さんも一緒だなんて・・・」振り返ると彼女は冷や
やかな目で私を見つめながら、
「さあ、早く校長室へ連れて行ってちょうだい、委員長の須藤真美さん」そ
う言って私の袖を掴みながら立ち上がった。
「あたしはあなたの名前以外、この学校のことをほとんど何も知らないのだ
から」
0034その5  ◆6o71hPpWcY
垢版 |
2006/05/26(金) 23:43:58ID:XtQBSStX
 ノックをし、「失礼します」と告げてから校長室に入ると、校長先生の他
にも私たちを待っている大人の人がいた。
「授業中に突然呼び出してすまなかった。別に君たちを取って食おうという
わけじゃないから、まあそこに坐って」
 校長先生が妙に愛想のいい笑顔でそう言って、私たちにソファーを勧めて
くれた。そして、私たちの前の初老の男性とその人よりも少し若い男性の二
人が名刺を差し出してきた。名刺を貰うなんて、これまた初めての体験であ
る。名刺には『青森県カーリング協会』と印刷されてあった。簡単な挨拶の
後、初老の男性が本題を話し始めた。

「フォルティウスの小野選手と林田選手が休養に入っているのは知っていま
すね」
「はい」もちろん知らないわけがありません。大好きな菜摘お姉さまのニュ
ースは逐一チェックしているのだ。
「彼女たちがこの秋にも復帰して、来年の世界選手権はもちろんのこと、次
の五輪も目指してもらえるのではないかと、一部で憶測的な報道が流れてい
るが、実は彼女たちが競技から一線を退くのはもう決定事項なのです。それ
を公にできないのは、まあ、この世界の大人の事情というやつなのですが・
・・」

 ええ?そんな、菜摘お姉さまが現役引退?そんなことを考える間も与えて
くれずに、どんどん話が進んでいく。
「単刀直入に言うと、現在県の協会では二人の後継者を探しているのです。
秋のパシフィック選手権前に新メンバーを決定し、発表しなければなりませ
ん。そこで、あなたたち二人を新メンバー候補として推挙しようと考えたわ
けです」

 ま、マジですか。
「ちょっとまってください!大宮さんは過去の実績から選ばれるのは当然と
しても、どうしてあたしなんですか!あたしよりも上手な人はいっぱい居る
のにっ」
 私は慌てふためき、手をばたばたしながらそう言った。
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