しかし、原判決別紙7に記述されている控訴人の国籍関係の情報について、本件小説が言及する部分の文脈に照らし、
控訴人がもともと韓国籍の特別永住外国人であったが帰化して日本国籍を取得した事実を摘示することは、本件小説の内容の検証として意義を有することを否定することはできず、
これを記載することは本件書籍の目的にとっては必要であったこと、控訴人の国籍に関する情報は本件書籍の発行以前から種々の媒体において取り上げられてきたものであること、
本件書籍の記載には、差別を批判するコメントが添えられていることなどの諸事情を踏まえると、情報を公開されない法的利益が公表する理由に優越するとまではいえず、
プライバシー侵害として違法となるものではないことは、前記1説示のとおりである。
控訴人の国籍について、本件書籍の発行以前から週刊誌等で取り上げられていたことを、控訴人が容認していなかったとしても、上記判断を左右するものとはいえない。
ウ、上記ア、イ以外の本件書籍の控訴人に係るプライバシー情報についても、いずれもプライバシー侵害として違法となるものではないことは、上記1説示のとおりである。
控訴人の主張は採用することはできない。
3、結論
 以上によれば、控訴人の本件請求はいずれも棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。