282可愛い奥様2018/11/08(木) 14:43:48.68ID:8JmjXpfy0
>>281
P70
しかし、ぼくにとっては佐々木さんのハンバーガーショップ兼レストランは“仕事の原点”であった
し、女房(のちに離婚したが)と出会ったのもこの店だったのだ。
P176
そんなわけでいよいよ切羽詰まってしまったぼくは、久しぶりに実家の父親に電話を入れ、会い
たいからキタ新地まで出てきてくれと頼んだ。待ち合わせはあるステーキハウス。だが用件は言わ
なかった。「元気でやっとるのか」「はい…まあ、なんとか」ずいぶん長いあいだ会ってなかった
ので、おたがいに話すことは山ほどあるはずなのに会話はたったそれだけ。黙々とステーキを食べ
終わってしまった。店を出て別れ際に、父親がカバンから封筒を取り出してぼくに渡した。
「いろいろあるんやろ…持って帰れ」それだけ言い残すと、父親はもう歩き出していた。その後ろ
姿を、ぼくは黙って見送った。父親が渡してくれた封筒の中には三百万円が入っていた。