さて、「福沢諭吉とは誰か」。安川氏の一連の著作が実証したように、啓蒙思想家としてのごく初期を除けば、諭吉の著作には、アジア蔑視、好戦的、対外侵攻、
強権的植民地支配などに加えて、女性蔑視、弱者(低学歴者など)蔑視、貧乏人蔑視、などの言説が溢れている。その内容は、昨今の極右派の評論家・政治家・雑誌・
新聞やネトウヨおよびヘイトスピーチ団体による発言と酷似している。「歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は茶番として」(ヘーゲル)。
評者は諭吉に「元祖ネトウヨ」のタイトルを進呈したい。このような人物を、無自覚にも日本が最高金額の紙幣に飾り立てている限り、アジア諸国との真の友好関係を築くことは無理だろう。