「夫に嫌われたら終わり」と気付き震撼した日
中野 円佳
https://toyokeizai.net/articles/-/227053

ほぼ専業主婦になった筆者が味わった「恐怖」とは…
新聞記者を辞めた後、会社員と女性活躍に関する発信活動、さらに大学院生と3足のわらじを履きながらバリバリ働いてきた中野円佳さん。
ところが2017年、夫の海外転勤により、思いがけず縁遠かった専業主婦生活にどっぷり浸かることに。
そこから見えてきた「専業主婦」という存在、そして「専業主婦前提社会」の実態とそれへの疑問を問い掛けます。

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次に、家事分担だ。共働きだと家事は夫と分担しつつ、自分が苦手な領域については十分にできていないことに言い訳もできた。
育児についても夫に強硬な姿勢で参画せよと言えた。
それが、収入が大きく減り、しかも「Dependant's Pass」(帯同ビザ)という何とも嫌な証明書によってここで存在できている私。

「なんで私ばっかり(1歳児がエンドレスに出して散らかすおもちゃを片付け続けないといけないの)!」というセリフを飲み込むようになった。

このような思考は、夫に何か言われて思い至ったわけではない。
……でも、私は稼いでないんだし夫の仕事のおかげで生活できているんだから、家事・育児くらい私がやらないとじゃない?という気分になっていく。

そして最後に、自分でも衝撃的だったのだが、家におカネを入れていない、家事も苦手、となったときに、自分がここに住んでいられるたった1つの理由が、「夫の愛を確保できていること」なのだと感じたこと。正直自分でゾワッとした。

これも夫に直接言われたことなどないが……専業主婦の皆様が毎日おきれいにされているのはそういうことなの? 
愛されて、今の生活を保持するためなの? 
いや、彼女たちは家事も育児も立派にやっているから、綺麗にしているのは夫の愛を確保するためというわけではないか?  
いずれにしても、「夫に嫌われたら終わりなんだ」という事実は自分を驚愕させた。

夫とけんかして「お前なんかいらない」と言われたら、その瞬間、無職である私は明日から生活ができなくなり、そもそも帯同ビザだからこの国から追放される。

続く