である限り、その本質は権力関係にほかならない。「女性は偉大だよ」などと妙に
女性を褒めたたえる男性に感じる違和感はここにあったのか、と納得できる。
「中絶の自由」に関する記述も興味深い。ウーマンリブ(女性解放運動)のおかげ
で現在の日本では事実上、中絶を選択できるが、実はいまだに女性には法的な権利
がない。堕胎罪(刑法212条)が存在し、優生保護法上の「経済的理由」という例外
規定の拡張解釈によって中絶できるだけ。
 女性が自分自身の体をどうするか決めるのは国なのだ。また、ピルが日本に紹介
されてから20年も販売が許可されず、一部解禁後も医師の処方箋が必要という厳
しさだったのに対し、バイアグラの解禁までの期間はおよそ3か月。〈男の性は肯
定され、女の性はコントロールされる〉という言葉がずっしりと響く。 フェミニ
ズムを学ぶ意味は、“無自覚”に気づく点にあるとつくづく実感する。「思考
停止するな」という著者の熱いメッセージを一人でも多くの人に受け取ってほしい。
※女性セブン2013年10月3日号

http://news.mynavi.jp/news/2013/09/22/064/