http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090912-OYT1T00620.htm

 2009年度の国の補正予算に盛り込まれた高速道路6区間(計190キロ)の
4車線化事業について、国土交通省が東、中、西日本の各高速道路会社に
対する事業許可を、衆院選投開票日2日前の8月28日に出していたことが
わかった。

 事業を巡り、国会で整備方法などに問題があると指摘した民主党議員は
「大きな予算がついている事業をコソコソと許可するのは、国民無視としか
いいようがない」と厳しく批判。国交省は「単に月内に処理しようとしただけ。
選挙日程とは無関係」と説明している。

 2車線にして暫定開通している高速道路の4車線化は、4月に開かれた
国交相の諮問機関「国土開発幹線自動車道建設会議」(国幹会議)で、
渋滞や事故の解消を目的に、阪和道や高松道などの計6区間で決まった。
工事は本来、高速道路会社が採算を考慮して独自に行うが、今回は景気
対策として国費が投入されることになり、総額3510億円の事業費のうち、
補正予算に3255億円が盛り込まれた。

 関係者によると、東、中、西日本の各高速道路会社は補正予算の成立を
受け、8月10日、事業開始前の手続きとして、道路資産を保有する「日本
高速道路保有・債務返済機構」(高速道路機構)と協定を結び直し、機構は
同日、国交省に4車線化の業務実施計画を提出した。

 これに対し、国交省は同月28日、計画を認可。3社はその日のうちに、
具体的な工事に入るための事業許可申請を提出し、同省は即日、許可を
出した。

 4車線化事業を巡っては、民主党の馬淵澄夫衆院議員が5月の予算
委員会で「国幹会議の決定方法が拙速で、整備手法も問題」などと指摘、
麻生首相が「国の歳費、いわゆる税金を投入してもつくらなければならない
道路があるということが基本」などと答弁した経緯がある。

 計画認可が8月下旬に出されていたことについて馬淵議員は「民主勝利が
確実な中で認可が下りていたとは驚き。事業が世間の注目を集めていな
かったのを利用した、としか言いようがない」と話す。民主党はすでに、
執行されていない補正予算の凍結を表明しており、その場合、4車線化
事業も中断する可能性がある。

 佐々木信夫・中央大教授(行政学)の話「国交省は新政権下で改めて
政治判断を求めるより、駆け込みで許可した方がいいと判断したのだろう。
自治体の場合、首長選挙前はこうした判断を見送るのが通例だけに、
中央官庁は政権交代に対して、それだけアレルギーが強いということでは
ないか」

(2009年9月12日17時53分 読売新聞)