iPSで血小板1000億個 京大、5日間で作製

2018年7月13日 朝刊

血液成分の一つで止血作用がある血小板を、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用して、五日間で一千億個以上つくれる技術を開発したと、京都大の江藤浩之教授らのチームが十二日付の米科学誌セル電子版に発表した。

一回の輸血には一千億個以上が必要で、江藤教授は「輸血用の高い品質の血小板を大量に作製できるようになった」としている。

血小板は手術時の輸血やけがの止血などに使われる。
献血で集められるが、保存期間が短く慢性的に不足し、安定供給が課題になっている。

チームはこれまで、人のiPS細胞から血小板のもとになる巨核球という細胞を大量につくって凍結保存し、必要なときに必要な量だけ解凍して血小板をつくり出す方法を確立。
しかし一度に大量につくることは不可能だった。

通常、血小板は骨髄でつくられるため、研究では、マウスの骨髄の中を特殊な顕微鏡などで観察。
すると、骨髄の中の血流が不規則に変動する「乱流」が起きた際に、巨核球から血小板ができた。

チームは、乱流が血小板生成のカギとみて、乱流を人工的に起こせる円柱型培養装置(容量八リットル)を開発し、約一千億個の血小板を五日間で作製することに成功。
この血小板をマウスとウサギに輸血した上で、血管を傷つけると、止血が正常に行われた。