>>269
続キ

現在もこの条約が有効である以上、英文、仏文、西文で条約を読んでいる国連加盟国の国々にとっては、日本はいまだ独立国ではないのだろうというのが私の率直な感想です。
国連が現在でも日本に対する敵国条項を削除しようとしないのも、こういうところから来るのでしょう。もちろん、我々は、サンフランシスコ講和条約で、日本は独立したと教わってきたし、その条約には「日本国」のことが書いてあると信じてきましたが、これは事実ではないというのが私の英文原文を読んだ本音です。

一九五一年九月七日に吉田茂主席全権は、サンフランシスコ講和会議でのスピーチで以下のように語っています。 "It will restore the Japanese people to full sovereignty,rquality,and freedom,and reinstate us as a free and equalmember in the community of nations."sovereigntyを「主権」という言葉であえて私が訳せば、「これにより日本の人々が主権を十分に取り戻し、平等と自由を回復するものであり、私たちを世界の民族のコミュニティに自由で平等な一員として再参加させるものである」ぐらいになるでしょう。

スピーチ全体を通して英文で示唆されているのは、日本の人々は、帝国主義により軍部に取られ失っていた主権を、この連合国との条約のおかげで取り戻すことができたので、世界のコミュニティに再参加できるようになります、という意味合いです。

ところがこれが、そうではなく、当時の内閣は「連合国の占領から、この条約で日本国が独立国家としての主権を取り戻した」といった意味合いで訳し、国会に報告しています。これも誤訳です。吉田茂首相のスピーチを全文読みましたが、文章からアメリカ人によって書かれたものであることは明らかで、その日本語訳を吉田茂首相は読み上げただけだというのが真相です。米国側公文書の資料ではそう記録されています。