>>266
>>267
実際にSan Francisco Peace Tratyの英文原文を読んでみますと、条約が効力を発する翌年四月二八日をもって終戦を宣言する第一条(a)に続く、独立を認めたとする第一上(b)の文面は、"The Akkied Powers recognize the full sovereignty of the Japanese people oveer Japan and territorial waters"となっています。これは、日本語訳では「連合国は、日本国及びその領水に対する日本国民の完全なる主権を承認する」と訳されています。

訳文は確かに、「日本国」の独立を認めた文言にも読めます。ところが、原文は、Japanese peopleと小文字でpeopleと言っているのであり、これは「日本人」、「もしくは日本の人たち」と訳すべきでしょう。「日本国民」と訳すのは誤訳です。

勿論、sovereigntyはフランス語語源で、ヨーロッパの伝統的な文脈では近代国家相互の対外主権と領土内の統治権の両方を表す言葉ですから、「主権」という訳語は誤訳ではないですが、統治権は人々にあるのであって、軍部や国家機関ではないという近代民主主義の理念を"full sovereignty of the Japanese people"と表現しているのであり、「領域の統治権は日本の人民にあると認識する」という統治権を表す文言には読めますが、日本という国の独立を認める意味での「対外主権」を表している文言と読むには無理があります。事実、同条約第二条以降は、対外主権の定義である、国としての最高独立性を強く制限しているのであり「対外主権」を表す言葉とするならばfullという言葉と本質的に矛盾しています。