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摘発相次ぐ不正車検、背景に競争の激化 大手参入で指定工場増加

10/28(日) 7:27配信 @S[アットエス] by 静岡新聞SBS

指定自動車整備工場が不正車検を行ったとして警察に摘発されるケースが近年、静岡県内で相次いでいる。
いずれも法定検査をしないことで時間短縮や費用削減につなげたり、不正改造車を受け入れたりして顧客を獲得していた。
車検業界ではフランチャイズ展開する大手企業やガソリンスタンドなどの参入が相次ぎ、県内でも指定工場数が増加。
家族経営など小規模事業所で経営が圧迫されることが、不正車検の背景にあるとみられる。

「町工場のような指定工場は、どこも資金繰りが苦しいはず」。静岡市内で指定工場を経営する男性は、知名度のある大手チェーンの事業拡大により、顧客が流出している現状に不安を吐露する。
手続きの早さと安さを求める顧客が多く、「サービスをできる限り削ってニーズに応えているが、新規顧客の獲得は困難。経営は常にぎりぎり」と明かす。

県内では2014〜18年、不正車検を行ったとして島田市や静岡市内の3社が県警に摘発されている。いずれの業者も短い所要時間や整備費の安さなどを売りに、口コミで顧客を獲得していたとみられる。

国土交通省静岡運輸支局によると、1989年度に661だった県内の指定工場数は、2016年度には1007と約1・5倍に増加。自動車性能の向上や点検作業の効率化などにより、規制緩和が進んだことが影響している。

「あまりに無理な値段や短期検査を求める顧客はお断りしている」。
静岡市内にある別の指定工場の担当者は、車検には未来の故障を回避する「予防整備」の意味合いもあると強調する。
「信頼できる検査をすれば、顧客も安心して車に乗れる。もう一度、車検の意義を考えてほしい」と呼び掛ける。

<メモ>指定自動車整備工場
国の指定を受け、国の検査場に代わって自動車の保安基準適合証を交付できる工場。民間車検場とも呼ばれる。
みなし公務員に当たる「自動車検査員」の国家資格を持つ工員を、工場内に1人以上配置する必要がある。指定工場のほかに、検査機関がある運輸支局などに車両を持ち込んで検査を受ける認証工場もある。
静岡新聞社